
タイトル:人がしっかり自然とつきあえば、森林の災害は減る
発行日:2005/02/04
読者の声
■ 藤田 恵 2005.2.4
<水害>
私のふる里・木頭村の隣の木沢村(木頭という地名もあり、県内にも木頭村と間違える人がいます)と上那賀町の、昨年の8月に全国的ニュースになった台風10号の2人死亡などの大災害は私からみれば完全な人災です。政治家も、官僚もマスコミも隠蔽しているようですが。
私は現地へ行き写真も撮ってきましたが、人災であると今直ちに学問的な立証はできませんが、山や川の大自然の中で育った私は体験的にも疑う余地は全くありません。これは、最近の全国の大水害にもほとんど当てはまると考えてられます。
1、人災の第一は、今さら言うまでもなく、杉林の間伐不足や遅れのため、林内の山肌を保護する下草(草や小さな木など)が生えないため、大雨で山肌がいっぺんに削られ大崩壊を引き起こしたのです。つまり、拡大造林後の放置による、保水力の低下と山肌の過大浸蝕です。
2、第二は、急峻な斜面に幅員が広すぎる農道や林道を、急峻な地形や崩壊しやすい土質などを十分に考慮しないまま開設したため、一例として、大量の雨水や伏流水により林道などの擁壁からまず決壊が始まり、道路や道路付近の崩壊から民家の流出などが発生したのです。
3、上記のような台風時は勿論のこと、恒常的に大量の土砂が河川に流入し、河床の上昇と共に、大きな淵が埋まり河川がほとんど直線化しているため、洪水時に流量の一時的な逓減が不可能となり、下流の流量が一挙に増大するため、破堤や杉などの流木が橋梁にかかり濁流を堰きあげるなどの水害が発生したものです。
4、これらの当面の解決策としては
1)間伐の促進と、間伐の遅れた「もやし状」(密植の杉が細くもやしのようになっているので、間伐をすると台風時に全て風倒木となる恐れ)
の林は皆伐して広葉樹を植林する。
2)地形により林道などの開設を規制する。
3)河川を直線化する安易な河川工事を規制する。
4)河川やその付近に可能な限り、防水林、遊水地、霞提を設ける。
等が考えられます。
<経済成長に依存しない政策以外にないのでは>
経済成長のためと言いながら、災害をもたらす日本の公共事業費は国際比較でも突出しています。例えば、経済開発協力機構(OECD)の調査によると、G7の日本以外の、米国、カナダ、英国、フランス、ドイツ、イタリアと比較すると、日本は国土面積で80倍、可住面積で200倍の公共事業費を使っています(「公共事業は止まるか」岩波新書14ぺージ以下)。つまり単純に言えば、欧米では1億円使しか使わないところを、日本の公共事業ではでは80億円から200億円も使うのが実態です。
「自然は有限で自然環境を破壊する無限の経済成長などあり得ません。経済成長に依存しなくても、安定した生活が出来る仕組みを創るという政策以外に人類が生き残る道もありません(日本では自民党から共産党まですべての政党の政策は経済成長を前提にしています)。この政策を早晩取らざるを得ず、不可逆的に進む環境破壊や環境破壊から来る災害を目の当たりにして誰にも明らかなことです」と私は訴え続けているのですが。
また、1950年代から薪や炭はプロパンガスに、椎茸もハウス栽培にと変わり、薪山(主に薪を伐っていた山)も炭焼山も、またナラやシデの椎茸山も、拡大造林(主に50年代(昭和30)から60(昭和40)代にかけて当時の農林省が全国的に実施した大愚策で、ブナや欅、ナラ、シデなどの広葉樹を価値の低い無用の長物と決めつけ、この広葉樹を皆伐させ、伐採跡地や原野にスギなどの針葉樹の人工林を造成することを莫大な補助金を付けて奨励した)のために丸裸同然になりほとんど杉を植林しました。この拡大造林によって適地ではない、奥地や尾根筋などに針葉樹が植えられたため、今日に至っても生育が不良な人工林が残されているほか、林業の停滞とともに広大な面積の人工林が手入れ不足に陥り、生物の多様
性を損ねているのです。さらに、用材生産以外の林業技術や広葉樹を扱う技術も後退してしまいました。その一方では今回のような大災害が日本全国で頻発する元凶となっています。これは私が数年前から予想し(拙書「脱ダムから緑の国へ」2004年緑風出版)、本格的な森林の保全を訴えておりますが、林業政策がこのままでは不幸にも私の予想の的中は今後も日本全国へ拡大するしかないでしょう。