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タイトル【No.278】なぜ教育基本法案に「教育振興基本計画」の条項があるのか? ─ 基本法と基本計画がセットになるまでの経緯 ─
発行日:2006/12/08
読者の声

◆ 中野氏(2006/12/08)

なぜ教育基本法案に「教育振興基本計画」の条項があるのか ─ 基本法と基本計画がセットになるまでの経緯 ─

今回の教育基本法の改正の核心的な問題点を提起していると思います。

小生は、現在サラリーマンをやっていますが、大学時代、教育学部に身を
おいたものとして、今回の教育基本法の改正は、非常に重要な(危険な)意味を
持つものであるにもかかわらず、マスコミや政治家(政党)などによる取り上げられ方
があまりにもお粗末なため、国民的な関心事(教育はどうあるべきか)になっていないというのが
現状だと考えています。
現行の教育基本法は、教育の理念法であり、戦後、戦前の教育
のあり方の反省を踏まえる中で、憲法改正とセットで施行されてきたものです。
したがって、戦後の国家と国民のあり方を規定する中で、国家と教育の関係を
規定付けてきたものであり、その中では、国家は教育の内容に関与することなく、
教育の条件整備につとめることがまさにその立法趣旨として貫かれていると考え
ています。
そういう意味では、まさに日本における教育の基本(理念)を定め、受け継いで
きた法律なのです。
今回の改正で、所管である文部省や自民党が目論んでいるのは、国家の教育
内容への関与の根拠付けを行おうということなのです。時の政権が「日の丸掲揚・
国歌斉唱をやれ」といわれれば、国民一人ひとりがやらなくてはならなくなるという
ことなのです。
なるほど、現在の教育にさまざまな問題があることは、十二分に理解できますが、
国家が教育内容へ関与することに前のめりになることには、明確に反対です。
これほど重要な意味を持った法律改正であるにもかかわらず、国民の中で、教育
基本法の改正内容について知っている人は、1%にも満たないと思いますし、背後
に隠された、文部省や自民党の教育基本法改正の意図を理解している人は皆無
に等しいでしょう。
教育基本法を改正する以前に、教育の専門家がもっとマスコミにも登場して、教育
(基本法改正)に関する論点を整理し、これからの教育とどう向き合うのかという国民
的議論の盛り上げを図ることこそが必要であると考える。
PS.今回初めて『構想日本』の記事を拝読しましたが、マスコミや政治家の切り口
とは違った卓見だと思います。これからも愛読したいと思います。

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