• 読者の声

タイトル【No.741】「靖国神社の入場券」
発行日:2016/01/28
読者の声

◆ 金子 昌司氏(2016/02/01)

「靖国神社の入場券」読者の声

「靖国神社の入場券」 元岐阜県加子母村長   粥川 眞策さんの寄稿を拝読しました。お説の通りと思います。

「…沖縄県民斯ク戦ヘリ、県民ニ対シ、後世、特別ノ御高配ヲ賜ハランコトヲ‥‥」と言うフレーズは10年か20年前に文庫本の帯で知ったと記憶しておりますが、最近発刊された「父・太田實海軍中将との絆」と言う文庫本の一部を立ち読みし、先のフレーズが太田實海軍中将の電文であることを知りました。

購入した本はまだ読了しておりませんが、沖縄戦の実相はいろいろな本で読んでおり、何よりも私の父が沖縄で戦死しておりますので、「…・後世、特別ノ御高配ヲ賜ハランコトヲ‥‥」の意味するところを理解しているつもりです。

父は、私が3歳の昭和16年秋に赤紙で応召し、満州の牡丹江に駐屯、部隊が沖縄に転戦の為昭和19年に渥美半島内の基地に一旦駐留、そこへ母に連れられて面会に行ったのが別れでした。

終戦になっても帰って来ないので、母は何度も当時の復員援護局に手紙で照会したと聞かされました。結局昭和22年に、沖縄・摩文仁にて戦死、と言う公報が埼玉県知事名で伝達され、骨壺の中身は爪と髪の毛でした。父が沖縄島民をどう扱ったのか、どんな最後だったのか知りようがありません。特進して陸軍伍長・勲八等白色柏葉章がその証です。

政治家は「…・後世、特別ノ御高配ヲ賜ハランコトヲ‥‥」の悲痛な電文に全く答えていない。外務官僚も同じ。
航空自衛隊の基地が幾つあるのか分かりませんが、二つの基地を一つに統合し、空いた基地へ普天間の部隊を移動させ、辺野古は白紙にする。

少なくとも沖縄の負担をまず一つ減らすべきです。

構想日本へ提案します。太田實中将の先の電文の全文を、衆参の全議員に配布してください。そして読後感を構想日本へ寄せる様促して下さい。


◆ 埼玉大学名誉教授 小野五郎氏(2016/01/28)

先人の遺産はきちんと引き継ぐべき

思い出すのは45年前のこと。

企画段階で暗礁に乗り上げていた海洋博について「開催の是非、するにしても止めるにしても後始末を」との特命を受けた折、時の屋良朝苗琉球首席から「全沖縄人の悲願なので是非開催を」と頭を下げられ、戦後沖縄に総てを押し付けてきた本土人の責任として開催せざるをえないと覚悟したものの四面楚歌の上、予算ゼロ。協会代表の引受け手も全くいないという体たらく。

已む無く辞表を秘書課に預け、自ら「協会設立準備委員会代表を名乗って」走り回ったものの、しょせん一介の若手事務官の話に耳を傾ける者などいなかった。

ところが、それを耳にした笹川良一船舶振興会会長が「戦争を知らぬ若い者が自分の首を賭けて沖縄のために取り組んでいるのに、それを見殺しになどしていいものか」と事務局を一喝し、「何に使うかなんかという細かい話は抜きにして好きなだけ金を出してやれ」と指示。お蔭で初年度資金が確保でき人も動き出して開催へと漕ぎつけたのだった。

だが、いざ企画が動き出し小生が担当を離れると、「沖縄への贖罪」のはずがいつか忘れられてしまったようだ。

我々は、直接「戦争を知らぬ」世代だからこそ、沖縄の人々に対して贖罪意識を持たなければならない。

それは、かつてASEANとの関係構築に当たった時、当時のインドネシアのマリク外相が「戦争を知らぬ日本の若者が我々のために骨を折ってくれているのだから」と積極的に動いてくれた時にも感じたこと。

すなわち、沖縄のみならず今次大戦や植民地経営の被害者となった国々・人々総てに対して抱くべき感情なのだと思う。

先人の築いてくれたプラスの遺産の恩恵に浴している以上、その負の遺産をも引き継ぎその返済に当たるのが当然ではなかろうか。


メルマガのご登録はこちら 過去のメルマガ一覧はこちら