• 読者の声

タイトル【No.748】「特ダネではないけれど(10) 保育園落ちた日本死ね!」
発行日:2016/03/17
読者の声

◆ 三好 正則氏(2016/03/21)

「特ダネではないけれど(10) 保育園落ちた日本死ね!」について、匿名での陳情要望はいかがなものか・・・?

埼玉大学名誉教授 小野五郎先生の話はよく理解できます。

まず、匿名での要望陳情はいかがなものかと思います。

国にしても地方自治体にしても匿名で要望があったものについては、審議のしようもないし、回答先不明では回答することもできません。

安倍総理を特別に擁護するつもりはないが、国会のあの場面では突き放したのではなく、至極当然の回答ではなかったかと思います。「やらせ」やら「偽ネタ」がまかり通っている今の時代ですから、匿名での要望には、あの時点では真偽の程がよくわからないのだから、慎重な答弁になるのはなおさらのことである。

名を伏せて要望するような内容ではなく、後に国会前で要望されたように、堂々と顔を見せて要望すべき事柄(待機児童問題)であったと思います。

さて、本題の待機児童の件については、短絡的に結論が出るような話ではないと思っています。
国が述べているように、中長期計画において待機児童問題の解消に向けた対策が必要と思われます。

どのような内容が盛り込まれるかは定かではありませんが、財政的にも苦しい地方自治体のみがその責を負うのではなく、雇用確保が難しくなる時代、企業にも努力してもらうことも重要なことで、労働者を確保する意味においても、より一層「企業内託児所」の設置を働きかけるべきであると思います。

また、中長期的に見れば労働環境はロボット技術の急速な進展によって人間の手を必要としない職場が増加すると言われています。

労働の場を分け合っていかなければ、労働者は職を失ってしまうことになります。
したがって労働時間のより一層の短縮が必要になってくるとと思われます。空いている時間で育児も可能となってくるでしょう。

また、例えばパソコン1台あれば、家庭で仕事をするような労働環境になってくるでしょう。それぞれの家庭で育児をしながら労働ができることにもつながってくるのではないだろうか。
今後早急に検討すべき多様な育児環境が考えられますが、「アイデアのある首相に変われば、その地域から待機児童がいなくなる可能性は高まると思う」発言は一面のみの短絡的な発言に思えるのですが・・。

いずれにしても、育児しやすい環境を整えることが重要であることは言うまでもないことです。


◆ 埼玉大学名誉 教授 小野五郎氏(2016/03/17)

炎上覚悟で言いますが

今回の松浦さんの話は全く同意しかねます。地域制その他があるとは思いますが、物事の一面しか見ていないのではないかと思い、フェミニストとしては少々辛い苦言を書きました。

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中身をすり替えてはいけない

小生は、現役時代、勤務の傍ら病妻を看病し、乳児を育てた経験がある。当時、専業主婦ゆえ保育園利用はさせてもらえなかった。したがって、育児の大変さとか支援体制の充実の必要性については痛いほど分かっている。

その上で、今回の問題を冷静に取り上げると、ブログ投稿者に聞きたいのは「日本が死んだ。保育園に入れた」でいいのかということだ。分かりやすく言えば「大衆迎合的保育・介護充実で国家財政破綻→日本経済壊→仕事は無くなった→あるのは保育・介護業界の仕事ばかり。だから、保育園・介護施設で働きながら子ども・老親を保育園・施設に預けている」。これは、揚げ足取りではない。現実に体験したことだが、わが家に来たベビーシッターの口から「自分の時間を持ちたいから子どもを保育園に預けている」と聞いたことがあるからだ。それと「税金を納めている」と言うが、園児一人当たり月額二三十万円の公費が投入されているという事実を知っているのか。「負担している」と言うのであれば、少なくとも健康保険並みの必要経費の三割は負担すべきだ。

もちろん、本当に経済的に困ってる家庭は、これまで以上に公費負担すべきだろう。ただし、その場合でも既存保育業界の既得権益、旧来型箱もの支援型事業の不効率さを排除するため、保育園・介護施設に対する助成ではなくより直接的な育児・介護家庭への助成に切り替え、どう使うかは各家庭の判断に任せるのが市場経済下の政策(バウチャー制など流用懸念に対する配慮は別)としては採るべき途である。こうして「負担能力に応じての負担」を加味すれば、一方で真に必要な家庭が「保育園落ちた」「介護失業」とはならないし、他方で選択肢の多い純民間(独立採算)保育園・介護施設が増えるはずだ。

こう言うと、一部政党などからは「既存予算の枠組みの見直しで財源捻出できる」という反論が出るに違いない。政治的立場論は別としても、たしかに現行予算には冗費が多く、その見直しは焦眉の急である。とはいえ既存組織を直ちに解散したりはできないから、実際に予算組み替え効果が出るのは、組み替えを始めてから少なくとも十年はかかろう。すなわち、その間に年齢構成は大幅に変わるから、枠組み変更はもっと長期的視点に立つことが求められる。

そもそも昼間忙しく働いている、だからこそ保育園・介護施設を利用したいと思っている人たちは、実際の保育・介護施設利用者の実態をよく見ておらず、業者や政治家や一部の為にする人たちの言を鵜呑みにしているのではなかろうか。もっと子ども自身、要介護者自身の身になって考えたらどうか。地域ボランティアとして活動を始めてみると、なるほど保育・介護現場の苦労には大変なものがあるし、それらを利用できずにいる人たちの辛さに触れることが多い。が、それと同時に、これら施設に高級外車で乗り付ける家族、夜遅くまでカラオケ三昧に耽るママ友なども始終目にする。そこでは、子どもたち、要介護者への配慮など二の次にしか見えない。結局、政治力が強い、あるいは、時間的余裕がある人たちの身勝手な行動によって、半端ではない数の真に困っている人たち発生しているように思うのだが。



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