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タイトル【No.844】「学術(全79分野) × 哲学」の対話で“専門”のあり方を問い直す
発行日:2018/02/01
読者の声

◆ 金子 弘氏(2018/11/24)

J.I.メールニュースNo.844 2018.02.01発行「「学術(全79分野) × 哲学」の対話で“専門”のあり方を問い直す」に対する読者の声

学術研究に対する国民の意識に関する一考察

金子 弘


経済発展をもたらす科学技術の革新的技術の創造への国民の期待は高い。科学技術の革新的技術の創造は、学術研究による知の創出を基盤としていることから、学術研究に対する国民の意識を明らかにすることを目的とした。

文部科学省科学技術・学術審議会学術分科会「学術研究の総合的な推進方策について(最終報告)」(平成27年1月)において、「国際的に注目されている研究領域への我が国の参画割合が低下傾向にあるなど、国際優位性に陰りが見えている」等とした上で、「現在の学術研究の在り方が、20年後、30年後、さらにはその先の我が国の在り方に決定的な影響を持つことは自明であり、現下の危機的状況を打破し、学術研究による知の創出力と人材育成力を回復・強化することが喫緊の課題である」と指摘していることから、我が国の学術研究は質の低下傾向にあるとともに、学術研究による知の創出を基盤としている科学技術の革新的技術の創造も同様であるといえる。

こうした中、内閣府大臣官房政府広報室「教育・生涯学習に関する世論調査」(平成27年12月調査)によると、「研究機能の強化(基礎研究や革新的な技術・考え方の創出など)」に関心があるとする者は32.9%、同「科学技術と社会に関する世論調査(平成29年9月調査)」によると、「10年後の日本の科学技術は諸外国に比べ進んでいる」とする者は60.5%となっていることから、国民全体に学術研究は質の低下傾向にあるという意識が低いとともに、科学技術の革新的技術の創造は学術研究の知の創出を基盤としているという理解がなされていないといえる。

従って、国民全体が学術研究は質の低下の傾向にあるという強い危機感を持つとともに、学術研究に対する適切な理解がなされるよう大学学部の一般教養科目において、文部科学省の大学学術政策に見識のある者が担当する学術政策を必修とすべきである。

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