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タイトル::【No.720】「国立競技場計画の見直し、整備計画づくりは公開の会議で」  
発行日::2015/08/27
本文:
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     J.I.メールニュース No.720 2015.08.27 発行

  「国立競技場計画の見直し、整備計画づくりは公開の会議で」

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【1】<巻頭寄稿文>

  「国立競技場計画の見直し、整備計画づくりは公開の会議で」

 千葉商科大学政策情報学部長・教授、東京工業大学名誉教授  原科 幸彦

【2】<お知らせ> 

   (1)「ふるさと住民票」反響続々!

   (2) 今月の構想日本の活動

 (3) 「現場みらい塾」 第3期 募集中(※日程変更)

【3】<ご紹介>

「第5回ラオス写真展」 

「ラオス手作り布展」

【特集】<国立競技場の建て替え>

   (1) 日本情報発信多言語ウェブサイト「nippon.com」に代表加藤の記事

   (2)《お知らせ》
     
     ・国会請願プロジェクト

     ・賛同署名募集

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【1】
 「国立競技場計画の見直し、整備計画づくりは公開の会議で」

 千葉商科大学政策情報学部長・教授、東京工業大学名誉教授  原科 幸彦

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・東京五輪成功には、計画の見直しを透明性高く進めることが必要。

・そのために公開の会議で整備計画の案を作る。

・関係閣僚会議で整備計画を決めることになっているが、その前に、公開の会議での計画案づくりが不可欠。

・全体のプロセスを透明性高く進めて、日本のガバナンスを示す。

以上のような提案を、7月30日に公表し、新聞などでも報道されたが、政府からの対応がなく、改めて8月17日に首相官邸の意見募集に応じた。

官邸の担当者からは、読んだとのメールを受信したが、もう時間もないので、改めて本メルマガでも訴えたい。

提案:合意形成を進めるため、公開の検討委員会を早急に設置
  
   遠藤担当大臣のもとに検討委員会を設置し、公開の会議で整備計画案を策定する。
   この会議は専門家とステークホルダーのハイブリッド(混成)の委員構成とする。
   十分な情報公開のもと、エビデンスに基づく議論を行えば、合意形成は早い。

ハイブリッドモデルによる公開の会議は、既に複数の成功例がある。

例えば、長野県での廃棄物処理施設紛争解決のプロセスでは、当時の田中康夫知事の判断でこのモデルが適用され、わずか半年ほどの公開の議論で、対立する主体の間の合意形成に成功した。

また、国際協力機構(JICA)の環境社会配慮ガイドラインは世界銀行も注目する高水準のものとなったが、緒方貞子理事長の時代に本モデルが適用されて、先進的なガイドラインが作られた。

成功の3条件:ポイントは透明性

(1)会議の場の設定
十分な議論を行うにはメンバー数を制約。経験則から、20名以内とし、専門家、ステークホルダーは多様なメンバー、明確に異なる主体をバランスよく選ぶ。
司会役としてのファシリテーターの選定が重要。ファシリテーターは、問題に対する知識、理解が深く、合意形成プロセスの経験者で、本事例では理工学と社会科学の双方に通じること。

(2)議論の公開
誰もがアクセスできる場を形成し、議論を進める。代表者による会議を公開で行う。傍聴席を多くとり、会議資料は傍聴者にも配布することで議論の透明性を確保する。議事録は発言者名を明記し発言順に記録し、公開する。議事録とともに会議資料も公開することが透明性確保の要諦。議事録は印刷物で配布の用意をするとともに、ウェブサイトでも公開する。

(3)十分な情報提供
情報には事実情報と、多様なステークホルダーの意見や態度、価値判断等の価値情報。事実情報は行政情報の公開をはじめ、必要な文献の収集、さらには専門家の招聘による最新情報の把握などに努める。
価値情報は意見収集やアンケート調査など多様な方法を用いて行う。これらの情報取集とともに、情報の理解を深めるために現地視察や、調査体験なども行う。

以上の3条件を満たし、適切なファシリテーターを選べば、ハイブリッドモデルによる委員構成の会議は問題解決をもたらす。

それは、専門家が合理的な判断を支える科学的技術的な情報を提供し、ステークホルダーが公正性に必要な多様な主体の意見を議論に投入できるからである。

透明性の高いプロセスで新国立競技場計画の見直しを行なえば、世界は日本のガバナンスを見直す。ガバナンスとは国民の声を十分に配慮することで、単なるトップダウンではない。

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原科 幸彦(はらしな さちひこ)

1969年東京工業大学理工学部卒。工学博士。国立公害研究所主任研究員、米国マサチューセッツ工科大学客員研究員、東京工業大学助教授、教授、研究科長などを経て2012年定年退職(名誉教授)。以降、千葉商科大学政策情報学部長・教授。専門は社会工学で環境計画・政策分野、参加と合意形成研究。放送大学で長期間、環境アセスメントの講義を担当。日本計画行政学会会長、 国際影響評価学会(IAIA)会長などを務め、著書に『都市・地域の持続可能性アセスメント』など。
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【2】(1)「ふるさと住民票」反響続々!

仕事などで居住地を時々変える必要がある人や、ふるさとに強い愛着を持ちながらも離れた都市で暮らす人など、近年住民と自治体との関係が多様になっています。住民と自治体を従来の「単線」から「複線」的な関係(柔軟な関係)に変えることを目的として、「ふるさと住民票」の仕組みの提案を、8月20日に記者発表を行いました。

記者発表には、共同呼びかけ人の中から、群馬県太田市の清水聖義市長、埼玉県和光市の松本武洋市長、香川県三木町の筒井敏行町長、群馬県下仁田町の吉弘拓生副町長、鳥取県日野町の山口秀樹副町長、元我孫子市長で中央学院大学教授の福嶋浩彦さん、構想日本代表の加藤秀樹の7名が登壇。参加した記者は約40名にも上りました。

以下は参加された方の主な発言です。

●松本 和光市長
 和光市には転勤者の多い自衛隊の官舎があるなど人口の流動性が高い。これまでは一時居住の人たちが和光市民という自覚を持つことが出来ないという課題に対する切り口がなかったが、ふるさと住民票はそれを解決する大きな足掛かりになる。

●清水 太田市長
 近年、茅ケ崎市で太田市の関係者のオーケストラ演奏がある。茅ヶ崎を第2のふるさとと捉える人もいる。多くの人がそういうところを1つや2つ持っている。自分の関わる地域をもっと広くするような感じを持ってもらうことを考えている。

●筒井 三木町長
 三木町には香川大の農学部、医学部、附属病院があり、人口の1割程度の人が昼間働いているが住民登録をしていない。このような人たちにふるさと住民になってもらい、行政に直接反映できるくらいに町の活動に参加してもらいたい。

●山口 日野町副町長
 日野町は人口3500人程度だが、夏には祭りがあり普段の倍程度の人が集まる。法令上の住民ではないが、そのような人たちに町の現状を知ってもらい、帰ってきた時には同じようにサービスを提供し、町で計画するときには外の目で参加してもらう。そのような人たちの関わりを深めた町づくりをしていきたい。

●下仁田町 吉弘副町長
 ふるさと住民票は、下仁田町のファンを作るための一つの良いきっかけとなる。まず下仁田に関わってもらい、下仁田に来てもらう。たとえば、ふるさと住民票を使い、ふるさと農園というアプリのゲームを作り、参加してもらい、収穫になったら、実際に農産物を届けるような仕組みを考えてみたい。

●福嶋 中央学院大学教授
 産む世代の減少を考えれば、出生率の向上も人口減少を止めることが出来ないことは明らかだが、ふるさと住民票の数の増加を目指せば、これにより、協力や思いを持ってくれる人を増やすことが出来る。地方創生の中心である総合戦略にも資する。

●加藤 構想日本代表
 今回の取組みの一番の目的は、単線型の自治体-住民の関係を柔軟なものにすること。具体的な活用法は個々の自治体にばらつきが出て構わないと考えている。政府の政策と違い、今回のアプローチは弾力的。それこそが「自治」。

今回の発表をキックオフとして、今後全自治体に呼び掛けていく予定です。皆さんも是非「ふるさと住民」になりましょう!

 <共同呼びかけ人>
   片山 健也(北海道ニセコ町長)
   高橋 正夫(北海道本別町長)
   菅野 典雄(福島県飯舘村長)
   清水 聖義(群馬県太田市長)
   金井 康行(群馬県下仁田町長)
   松本 武洋(埼玉県和光市)
   景山 享弘(鳥取県日野町長)http://www.town.hino.tottori.jp/item/34839.htm#ContentPane
   筒井 敏行(香川県三木町長)http://www.town.miki.lg.jp/life/dtl.php?hdnKey=2780

   福嶋 浩彦(中央学院大学教授・元千葉県我孫子市長)
   山下 祐介(首都大学東京准教授)
   加藤 秀樹(構想日本代表)

   事務局 構想日本(伊藤、茂垣、山本)
    TEL: 03-5275-5607 FAX: 03-5275-5617 Email: info@kosonippon.org

 ※配布資料はこちらからご覧いただけます。
    http://www.kosonippon.org/project/detail.php?id=681

 《 記事 》

 日本経済新聞  http://www.nikkei.com/article/DGXLASFB20H0I_Q5A820C1EAF000/

 NHK前橋放送局  http://www3.nhk.or.jp/lnews/maebashi/1066869871.html?t=1440046285

 産経ニュース   http://www.sankei.com/politics/news/150820/plt1508200026-n1.html

 朝日新聞DIGITAL http://www.asahi.com/articles/ASH8N45W2H8NUGTB002.html

 NHK NEWS WEB  http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150820/k10010196211000.html

 毎日新聞     http://mainichi.jp/select/news/20150821k0000m010003000c.html

 YAHOO!ニュース http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150820-00000543-san-bus_all

 山陰中央新報   http://www.sanin-chuo.co.jp/news/modules/news/article.php?storyid=554476005

 北海道新聞    http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/life-topic/life-topic/1-0170301.html

 8月25日(火)NHK 「NEWS WEB」 《シェアしたい!》 で取り上げられました。http://www3.nhk.or.jp/news/newsweb/

 その他メディア情報一覧はこちらから   http://www.kosonippon.org/article/index.php  

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(2)《今月の構想日本の活動》

   ※延期(台風のため)8月25日 香川県三木町「第2回まんで願いきいきタウン構想策定委員会」9月1日(火)に変更

   8月27日 千葉県富津市 「第3回富津市民委員会」 

   8月29日 福岡県 大刀洗町住民協議会(1)

   今年度の実施一覧はこちらからご覧いただけます→ http://kosonippon.org/blog/?page_id=145

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(3)「現場みらい塾」 第3期 募集中

政策シンクタンクPHP総研と共同で昨年度スタートした「現場みらい塾」。

その特徴は、

  1.地域経営の第一線で活躍している講師陣

  2.最先端の政策や手法のトレンドを学びとる講義プログラム

  3.自ら考え、取り組むことで体得する実践プログラム


受講生の満足度が高かったこともあり、今年度は第2期(5月~8月)、第3期(11月~2016年2月)を開講することとしました。

自治体職員を主な対象としていますが、それ以外の方も参加可能です。是非お申込みください。

『第3期』は次の通り  ※日程が変更になりました

第1回:11月22日(日)13時~18時半、23日(月)10時~16時
第2回:12月12日(土)10時~18時
第3回:2016年1月16日(土)10時~18時
第4回:2016年2月6日(土)13時~18時半、7日(日)10時~16時

※第3期日程は予定のため今後も変更の可能性があります。

その他詳細はこちら

http://research.php.co.jp/event/2015/05/16.php

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【3】<ご紹介>

 構想日本が応援している活動に関するお知らせです。
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 「第5回ラオス写真展」 

 ラオスの少数民族の村を訪ね、伝統染織技術を記録して回る傍ら、行きた技術として残す活動をしている。

 また、村人から自然と共に生きる知恵を学びながら村の暮らしを撮り続けている。


◇日時 8月28日~9月6日 10時~17時

◇場所 兵庫陶芸美術館コミュニティギャラリー(兵庫県兵庫県篠山市今田町上立杭4)

      http://www.mcart.jp/workshop/event.html

◇休館日 月曜日


 「ラオス手作り布展」

 ラオスの田舎では、今も綿の種をまくところから始まる布づくりが行われているます。

 しかし経済発展が進み、家庭でのものづくりをやめつつあります。伝統技術を残してほしいという願いから、一緒に布づくりを始めました。

◇日時 9月12日~23日 10時~18時

◇場所 古杉邸 篠山市大沢147(JR篠山口駅西口徒歩3分)

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【特集】<国立競技場の建て替え問題>

  (1)日本情報発信多言語ウェブサイト「nippon.com」に代表加藤の記事が掲載されています。

  《国立競技場問題の本質》 

  2020年7月、東京オリンピックの開会式は近代オリンピックの歴史に残る画期的なものとなった。

  神宮の森に囲まれ、真ん中に赤レンガ色のトラックがある11万m2の真っ青な芝生。

  世界各地からの選手たちはその芝生の上で互いの参加を祝福し、健闘を誓いあった。

  そこには外界を遮断するスタジアムの高い壁もなく、ましてや屋根もない。

  真っ青な芝生の上での交歓には、世界からの観戦者が加わり、その様子が最新技術によるネット中継によって世界中で共有、体感された。

  オリンピックの開会式が近未来デザインの巨大なスタジアムと過剰な演出の競い合いから解放されることの素晴らしさを世界が実感した瞬間だった。

   続きはこちらから御覧ください →  http://www.nippon.com/ja/currents/d00188/                 

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 今、指摘されている問題点を、あらためて見なおしてください。

 上記以外に、1年前からお伝えしていた記事です。御覧ください。

 「新国立競技場の建て替えは将来世代に誇れることなのか」2014年5月2日 YAHOO!ニュース

  http://bylines.news.yahoo.co.jp/katohideki/20140502-00035003/

 「国立競技場解体予算を徹底解体しよう。」2014年10月3日 YAHOO!ニュース

  http://bylines.news.yahoo.co.jp/katohideki/20141003-00039651/

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 (2)《 お知らせ 》

 ・新国立競技場 「国会請願プロジェクト」

 「神宮外苑と国立競技場を未来へ手わたす会」の「国会請願プロジェクト」

 ◎請願事項

 請願事項2.簡素で使いやすいメインスタジアムの計画にすぐに取り掛かってください。

 日本の信頼できる建築家たちは、2020東京オリンピック・パラリンピックまでに素晴らしいスタジアムを完成させるでしょう。

  http://2020-tokyo.sakura.ne.jp/cn16/pg201.html

  詳細は上記を御覧ください。   *国会請願には自筆の署名が必要です。


 ・賛同署名募集のお知らせ

 「神宮外苑と国立競技場を未来へ手わたす会」は緊急声明の賛同署名を募っています。

 1,000兆円の赤字を抱えるわが国で、震災被災者、原発避難者がいまだ20万人も故郷や家を失ってさまよっているこの国で、現行計画に突入すれば、亡国の事業といわざるを得ない。

 都税による500億円の負担、都有地の供出、都営霞ヶ丘アパートの住民の追い出しも認めない。

 私たちは、国民の代表機関である国会で、有識者会議の各委員を証人喚問し、国民全体の利益に関わるこの問題をどう判断したのか、論議がつくされることを望む。(一部抜粋)


 ご賛同いただける方は、下記サイトでご署名ください。

  ◎チェンジ・オルグ【2,520億円の新国立競技場を許さない】(現在85,000人超)

   https://www.change.org/ から 「巨額の建設費をかけない新国立競技場 」で検索してください。
 
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