事業仕分け

構想日本が考え、2002年に初実施

それまで20年来、行政改革の議論は行われていましたが、行政の効率化は一向に進みませんでした。
そこで構想日本は、抽象論ではなく「現場」の視点で行政の事業を洗い直し、無駄をなくすとともに、その事業の背後にある制度や国と地方の関係など行財政全体の改革に結び付けていくために「行政の事業仕分け」をはじめました。消費者目線で会社の事業、商品を見直すのと同じ発想です。
これは、住民、国民が税金の使いみち、すなわち政治や行政が行っていることを「自分ごと」として考える始まりなのです。
個々の事業を、しかも継続的にチェックしているのは世界でも他には例を見ないでしょう。

政府、国会、多くの自治体で実施

2002年に岐阜県から始め、自治体での事業仕分けはこれまでに100以上の自治体で250回余り行ってきました。
国の事業については、2008年に自民党無駄撲滅プロジェクトチームが初めて実施しました。その後、民主党政権時には政府が行い、現政権でも「行政事業レビュー」として継続しています。
また、国会では2011年に衆議院決算行政監視委員会で事業仕分けが行われました。国会で与野党の議員に民間人が加わり、税金の使い方の議論が行われたのは憲政史上初のことです。
また、海外でもインドネシア国会、OECDなどで国民参加による新しい民主主義の手法として注目されています。

効果

「事業仕分けはパフォーマンスだ」という人がいますが、それはマスメディア経由の印象で言っているのでしょう。仕分けの議論は実際には現場の人がリードするので、具体的で、結論の多くが行政運営に活かされています。審議会の抽象的な議論などより実現度がはるかに高いのです。
政府の事業仕分けでのスーパーコンピューターがその典型です。「2位じゃダメなんですか」という発言ばかりが注目されましたが、議論では、スパコンは道具、その道具のスピードを競うことが目的ではないはず、スピードよりも使うためのソフトがはるかに重要、という声が使う側の科学者から多く出ました。結局スパコン「京」は大きい成果を出すことなく、7年間使われただけでスクラップになりました。なおその後、文部科学省は「今後のスパコン開発においてはスピードによる世界一を目指すのではなく、省エネ性能など総合的な性能を追求していく」と方針を出し、そして新たに開発中のスパコン「富岳」は、「利用者の使いやすさに重点を置き、実用性をさらに向上させる」ことになりました。(ただ、「生鮮食料品」と揶揄されるほど”賞味期限”が短いスパコンのハード開発に税金を投入し続けるのかという問題はあります。)
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実現度は73%

自治体の事業仕分けでは、仕分けの結論の通りか、より厳しい対応が行われたのが73%を占めます。事業仕分けの結果によって、行政の仕事がより良い形に見直されているのです。

公務員の「気づき」

仕分け対象の事業を担当する職員の多くは、議論のための基礎資料として事業ごとに作る「事業シート」の作成、仕分けでの議論を進めるうちに変わっていきます。職員の意識改革効果も大きいのです。アンケートでは「職員の意識改革につながった」、「説明責任の重要性を痛感」、「外部の視点で事業の見つめなおしにつながった」の合計が9割以上です。行政の改革、改善を継続させるには公務員自身が変わることが不可欠です。

歳出削減効果

もちろん歳出削減効果もあります。
政府では2009年以降推計8兆円の削減効果がありました。
また自治体では、滋賀県高島市で予算総額の1割弱にあたる約20億円の歳出削減に結び付けるなど多くの成果が見られます。