2015.03.25
伊藤によるJIフォーラム実況ツイート
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ディレクターの伊藤による実況中継です。正確性よりも場の雰囲気をお楽しみください。
「2時間集中し続けるのは相当つらい(伊藤談)」

210回目の構想日本JIフォーラムスタート。テーマは「統一地方選を自分事に」。ゲストは山梨学院大学教授の江藤俊昭さん、「食べる政治」代表の増沢諒さん、福岡県大刀洗町長の安丸国勝さん。

まずは増沢さん。
「例えば防災について考えようと言っても難しそうとなる。ただ、最近の備蓄用非常食はかなり美味しくなっていて、それを食べることで防災に関心を持つことも出来る。そのような活動をしている」
「政治となると圧倒的に男性が多い。しかし食べることを切り口にすると女性が参加しやすくなるし、話にも入りやすい。話題にもなりやすい」

続いて安丸町長。
「福岡県大刀洗町は15500人の町。2010年度から3回事業仕分けを実施。対象の事業は聖域なく出したため、非常に厳しい結果も多くかった。しかし、それこそが将来の住民のためになる。引き続きやっていきたい」
「今年度は住民協議会を実施。無作為抽出で1000人に送付し80人くらいから応募があった。その中から約50人が協議会に参加。来ている人の大部分は今まで役場と関わってきていない人たち。しかし、議論していくことによって他人事から自分事に変わっていった」
「この協議会を条例で設置したので、一定の権限を持っている。この取組をこの1年間で9回実施。最初のテーマはゴミ問題だったが、その時の答申を受けてゴミ袋の大きさを変えることにした。具体的な変化が見えている。これで終わらせることなく来年度も継続していく。」

続いて江藤先生。「今後18歳に選挙権年齢を引き下げることになる。しかし年齢を引き下げるだけで良いわけではない。若い世代の投票率が更に下がることになるかもしれない。実感を持たないと行動にはつながらない。政府は市民教育に力を入れ始めたが勉強の域を超えない」
「安丸町長がやっておられる住民協議会は素晴らしい取組み。その先には地方議会の必要性にまで行くだろう。そのまま議会が萎縮してしまっては本当にいらないことになるが、これを契機に議会の役割について本気で議論をする絶好のチャンスとも言える」

増沢「ネットは波及効果が高い。しかし、クリックだけの行動なので実感が少ない。ネットの世界でビジネスをしていながらも試行錯誤した結果、食べるという最も身近でかつ紙媒体やリアルな行動から広がりを作ることが出来た。その方が手応えがあった」

安丸「議会はすべて反対をするわけではないが、早すぎると言われる。民間企業を経営していた立場からすると今ですら遅いと感じている。二元代表制なので本来は議会と首長は両輪のはずだが議会はうまく機能していないように感じる」

江藤「今までの議会は追認機関で良かったが、議会基本条例の動きが出始めて以降、大きく変わってきていると思う。その流れに議員側がまだ分かっていない部分がある。」
「今は国も地方も政治も行政も、非政治が蔓延している。市場原理主義は政治行政を軽視する。反政治でもある。争点の単一化は劇場型を作りやすい。結果、政治家や行政職員を敵とみなす。このあたりは議会だけが頑張っても変わらない問題」

安丸「住民協議会に議員は入っていない。協議会設置の時は明確な反対は1人くらい。その時はどんなことをするのかよく分からなかったからだと思うが、これが続くと議員の役割が問われるようになると思う人が増えてきた。本来は町長ではなく議会が設置すべきだと思っている」

増沢「政治は胡散臭いとよく言われるが実感として同世代に抵抗感がない。『食べる政治』の『政治』の言葉にはインパクトがある。日本の20代の社会貢献意欲は70%程度で他の国よりも高い。政治参加というと漠然としているが具体的に議員インターンをすると意識が高まる」

江藤「住民協議会を議会に繋げるという話が重要。住民の声を政策提言に活かすということは議会基本条例の理念そのもの。政治を特殊として見るのではなく社会活動の一つとして捉えることが大切。住民協議会もその一つと言える。」
「地方議会選挙は誰に投票していいかわからない人が大半ではないか。有権者の問題というよりは選挙制度に問題がある。今の地方議会は大選挙区単記非移譲式(市全体で選挙区が一つ、1人だけを記し、他の候補者に得票数を移譲することが出来ない)で世界に例がない」

増沢「投票に行くための理由を数式にした研究者がいる。ベネフィット/コストと義務感のバランスを数値化。投票日に雨が降ると行きにくくなるためコストが大きくなる。最近、大学やイオンで期日前投票が出来るような動きが出ている。利益が出るため投票率は上がっている」

江藤「選挙では争点が明確にならないことが多い。これは議員ではなく住民側から争点を作ることがあっても良い。そういうのはインターネットでやりやすい。『逆マニフェスト』(選挙の時に市民にどう考えるかを投げかける)という動きも出ている」

増沢「以前、20代しか参加できない国会議員向け意見交換会を開催。テーマは20代のための政策は何をしているか。何もしていない政党もあれば中身がたくさんある政党もあるなどとてもおもしろかった」

加藤「大刀洗の住民協議会は仕分けの無作為抽出による市民の評価から派生した取組み。議論していくうちに意識の変化が明確だった。行政がやることは難しいことばかりだが『楽しかった』という感想が出るほど。まさに自分のことにつながった証拠」

安丸「選挙に行く人は60代以上がほとんど。だから子どもに選挙に行くように伝えることが重要」

江藤「政治に入る間口を広げることが大切。住民協議会のような抽選方式はまさにその実践例。どれだけ投票率を上げようと言い続けても実体験がなければ変化は起きない。」