無作為抽出

公募をすると、特定の人が参加する。無作為で選ぶと、いろんな人が集まります。

「無作為抽出」の方法

つまり「抽選」方式で募る。

自分ごと化会議の参加者は、無作為抽出によって選ばれます。”無作為”とは、何の意図もない、偶然に任せる、という意味。つまり、抽選(くじ引き)による選び方です。「まちのことを議論するのは議員などの決まった人」という思い込みがあります。また、公募による住民会議を開くと、議論のテーマへの意識が高い人や利害関係者など、特定の参加者に偏る傾向があります。団体からの推薦や市長などの指名で決めるやり方も同様の課題があります。抽選(くじ引き)なら、年齢、性別、住む地域、職業、価値観などが異なる、多様なふつうの住民の参加が可能になるのです。

あなたにも「当選」の連絡が来るかも。

自治体の住民基本台帳や選挙人名簿から無作為抽出した住民に案内を送付し、希望者を募ります。「まちの課題や未来について考える会議の参加者候補に、抽選で当たりましたので、ぜひご参加ください」。このような手紙が市町村役場から、ある日突然、あなたのもとに届くかもしれないのです。

ふつうの人の「生活実感」で対話。

「こんな場ができるとは思わなかった」「いろんな立場の人の意見が出る」といった声を、自分ごと化会議の参加者のみなさんからよくいただきます。無作為抽出だからこそ、行政や地域のことに関心はあるのに、これまで接点がなかったふつうの人たちを巻き込める。さらに、専門用語ではなく、ふつうの人の素朴な生活実感をもとにした対話ができるのです。実際に自分ごと化会議を体験したら、選挙で選んだ議員より、いい議論ができていると感じるでしょう。

自分ごと化会議の無作為抽出の応募率は
4%(平均)。

例えば無作為に1000人を選び、案内を送った時に、50人の参加希望者が集まった場合、応募率は5%です。ドイツの類似の市民参加の手法「プラーヌンクスツェレ」の相場は5%と言われています。世界的に見ると選挙の投票率は圧倒的に低い日本人ですが、無作為抽出手法ならば日本人の行政への関心は低いとは言えないのです。

時系列で見る熟議プロセスに対して高まる関心の波
抽選代表による熟議プロセスの数の経年変化(年間合計、年間平均)、1986年~2019年
出典:学芸出版社『世界に学ぶミニ・パブリックス くじ引きと熟議による民主主義のつくりかた』 P.85
OECD(経済協力開発機構)Open Government Unit 著 日本ミニ・パブリックス研究フォーラム
坂野達郎・篠藤明徳・田村哲樹・ 長野基 ・三上直之・前田洋枝・坂井亮太・竹内彩乃 訳

世界で強まる「無作為抽出」導入の動き。

無作為抽出は、海外では「くじ引き民主主義」と呼ばれ、いまではヨーロッパ諸国を中心に導入する動きが強まっています。その歴史は古代ギリシャまでさかのぼり、当時は公職を決める際にくじ引きが採用されていました。また、市民が司法に参加する陪審制はアメリカやイギリスでは伝統的に行われていますが、日本でも2009年に裁判員制度がはじまり、無作為抽出は少しずつ浸透しています。今後、民主主義の立て直しの議論が深まってくると、無作為抽出という手法はさらに注目されるでしょう。

無作為抽出(くじ引き民主主義)が
詳しくわかる本

あなたも当たるかもしれない 「くじ引き民主主義」の時代へ
あなたも当たるかもしれない
「くじ引き民主主義」の時代へ
著者 : 伊藤伸