2015.07.09
「行革国際交流」~インドネシアの官僚との意見交換会~

現在、構想日本にてインドネシアの官僚との意見交換会を開催中です。

インドネシア政府の数名の官僚が現在、政策研究大学院大学に留学しており、そのうちのお一人が今年度構想日本でインターンシップをされています。そのご縁によって今日は、インドネシアから留学をしている5名と日本の官僚、地方自治体職員、JICA職員、そして加藤や構想日本スタッフで、日本のシンクタンクのあり方や行政改革、事業仕分けの実際について説明をし議論しています。

インドネシアと構想日本の関係は実は深く、2012年にインドネシアの上院(DPD)に呼ばれて、国会議事堂にあたるところで国会議員や研究者に対して事業仕分けの研修をしています。

当時のインドネシアは汚職が社会問題化しており(日本の会計検査院にあたる「汚職撲滅委員会」の委員長が賄賂で逮捕された)、仕分けの手法によって汚職がなくならないかという問題意識から呼ばれたのです。その時、「仕分け人には賄賂のリスクはないのか? お金をもらって都合の良い議論をすることになるのではないか?」という質問がありました。日本ではまったく想像しないことが選択肢として入っていることが衝撃でした。

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以下、主な議論です。
●事業仕分けに大変関心を持った。特に無作為に選ばれた市民が判定をするという手法やそれによって市民が町のことに当事者意識を持つということは素晴らしいと感じた。

●事業仕分けの結果はどの程度、その後の政策に結びついているのか?
⇒地方自治体の仕分けの結果は約8割の事業が反映している。事業仕分けの結果は拘束力を持つものではなく最終決定は議会や首長である。その中で8割程度の結果が反映しているのは、市民による判断は一定の重みがあると感じている。

●国の事業仕分けはどの程度できているのか?
⇒民主党政権時代にスタートし、現政権でも行政事業レビューという名前で同様の手法は継続されている。削減された金額や対象となる事業の規模などは小さくなっているが、すべての事業について事業シートを作成し公開していたり外部性を確保していることなど、このような仕組みが内生化できていることがとても重要。

●日本では国と地方自治体の関係はどのようになっているか? インドネシアは国も地方政府も同じ行動をしており、また一緒になって国民をコントロールしている。
⇒分野によって異なるが相対的に国の地方に対する関与は大きい。国の立場から考えると、地方自治体が悪さをしないよう監視できるというメリット、地方がまったく頭を使わなくなるというデメリットがある。
⇒予算や制度上はそれほど国の関与は少ないとも言えるが、国の補助金にある制約など実質的な関与は非常に大きい。また、制度ではなく実質面として国、都道府県、市町村が縦の関係になっており、それが国のコントロールと地方の依存につながっている。

⇒(インドネシア)基本的な国と地方の関係は日本とインドネシアであまり大差がなく国の実質的関与は強い。インドネシアは地方の首長と財務省、国家開発計画庁が一緒になって翌年度の予算を議論する枠組みがあるが大統領が打ち出す方針の中での議論となる。プログラムを作ろうとすると企画庁、国の予算を使おうとすると財務省、計画を作ろうとすると国家開発計画庁の関与が必要となり、地方政府からするとどこと話をすればよいかわからないという問題点がある。ただし、2001年の新自治法制定後は一定の財源は地方政府にも与えられ地方の自主性が増えている。

●防災もしくは減災についての予算はあるか? あるとすれば仕分けの対象になるか?
⇒予算はかなりの規模でついている。事業仕分けの対象にもなった。仕分けの対象は特定分野を外すことなく全分野を対象にした。
●東日本大震災以降の国での対策は行っているか?
⇒がれき除去、避難対策、除染対策など幅広く国で実施している。

●インドネシアでは年度内に予算を執行できないケースが多い。日本ではどうか?
⇒日本の地方自治体では、翌年度に繰り越すという制度は持っているが、できる限り年度内で執行できるように努力するしほぼすべては年度内に消化している。国も基本的には変わらないが、補正予算については年度途中に決まるので使い切れず翌年度に繰り越すことも多い。

●事業仕分けによる財源効果はどのくらいか?
⇒国レベルでは初めの2年間で約4兆円の財源効果(削減+最優確保額)。地方自治体では集計していない。そもそも、事業仕分けはお金を削ることが目的ではなく、個々の事業だけでなくその背後にある組織や制度の課題を抽出することにある。

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インドネシア国会での研修の時も同じことを感じましたが、初めから質問がたくさん出て、かつ本質的な質問が多い。このような質問は、我々の活動の根源を見つめ直すことにもつながります。

インドネシアは日本の「交番制度」を取り入れるなど親和性の高い国ともいえます。
「行革国際交流」今後も広げていきたいです。