【No.989】「今こそローカリズム・日本の祭シリーズ 第五十一弾 輪島の来訪神 ―面様年頭(めんさまねんとう)2019・1・14」 |至学館大学 コミュニケーション研究所長  石田 芳弘氏 |
2020.12.17

【No.989】茨城県東海村で「原発」をテーマに自分ごと化会議を開催 12/19

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構想日本メールマガジン【No.989】 2020.12.17 発行

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<目次>

【1】お知らせ

「ツルツル世界とザラザラ世界 世界二制度のすすめ」加藤秀樹(著)発売中

【2】今後の活動予定

原発問題を考える「自分ごと化会議(名称未定)」12月19日(土) 茨城県東海村

【3】ご紹介

(1) 全国初!住民による住民のための無作為抽出の住民協議会「自分ごと化会議in松江」第2期 ~クラウドファンディングのおしらせ~

(2)「藤田早苗さん講演会」

【4】巻末寄稿文

「今こそローカリズム・日本の祭シリーズ 第五十一弾 輪島の来訪神 ―面様年頭(めんさまねんとう)2019・1・14」

至学館大学 コミュニケーション研究所長  石田 芳弘

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【1】お知らせ

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皆さま、既にご覧いただけましたでしょうか。

構想日本 代表 加藤秀樹が、満を持して皆さまへお届けします。
これからの社会に必ず大きいインパクトを与える指針の書です!

「ツルツル世界とザラザラ世界 世界二制度のすすめ」 加藤 秀樹 (著)

本書は、格差や貧困から民主主義の危機、地球温暖化にいたるまで様々な現代社会の弊害を貫く原因を整理し、これからの「世界の仕組み」「日本の仕組み」「私たちの生き方」のデッサンを具体的な事例を交えて示します。
これからの生き方を模索している人、政治や経済の将来を考えたい人、地域を元気にしていきたい人などに是非、読んでいただきたいです。

☆京都大学前総長 山極寿一氏 推薦文☆
「新型コロナウィルスによるパンデミックで立ち止まった時、見えてきたのはこれまで歩んできたグローバリズムと科学技術偏重社会のゆがんだ姿だった。
このままでは経済が回らなくなり金融危機に陥って世界も人間も崩壊する。これまで『構想日本』を主宰し、日本の政策に鋭く切り込んできた著者は処方箋として『ツルツル世界』と『ザラザラ世界』の二制度を提案する。
それは『生き物としての人間』を中心に据えた新しい国の在り方だった。」

構想日本HP → https://www.kosonippon.org/wp-manager/book20201207/
Amazon書籍販売 ページ:https://www.amazon.co.jp/dp/B08PL2VS1G/

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【2】今後の活動予定

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原発問題を考える「自分ごと化会議」12月19日(土) 茨城県東海村

原発再稼働に関する村民全体の意向を把握するにあたって、再稼働の賛否を明確にしている村民だけでなく、これまで原発についてあまり考えたことのない人や原発との繋がりの薄い人など、多様な村民の思いを把握していくことを目的に“原発問題”をテーマに話し合う「自分ごと化会議」を開催します。

傍聴を希望される方は、下記注意事項にご留意の上、ご来場ください。

東海村「自分ごと化会議」第1回

【テーマ】原発問題
内容:1.東海村「自分ごと化会議」の説明 2.基調講演 3.参加者及び有識者による全体協議
【日 時】12月19日(土)14時~17時30分(受付:13時30分~)
【場 所】東海村産業・情報プラザ(アイヴィル)多目的ホール(茨城県東海村舟石川駅東三丁目1番1号)
【参加費】無料

問い合わせ先  東海村 村民生活部 防災原子力安全課 消防防災・原子力安全担当 電話番号:029-282-1711
東海村HP → https://www.vill.tokai.ibaraki.jp/soshikikarasagasu/somminseikatsubu/bosaigenshiryokuanzenka/6/genshiryokukouenkaichousakenkyuu/5368.html

※傍聴者の注意事項
(1)傍聴の際は、受付名簿に氏名・連絡先等を記入してください(事前申し込み不要)。
(2)受け付け時に検温を実施します。体調不良の方は入場をお断りさせていただきます。
(3)傍聴時はマスクを着用してください。傍聴者多数の場合は、入場制限を実施します。
(4)傍聴時には、発言、写真撮影、録画、配信等、会議の運営の妨げになる行為はご遠慮ください。

☆彡「“原発問題”を自分のこととして考えるとは?」講演会☆彡

「自分ごと化会議」を開催するにあたり、多くの方に関心をもってもらうため、事前に講演会を開催しました。
「原発」をテーマに自分ごと化会議を開催したパイオニア「自分ごと化会議in松江」の様子などを伝えました。
構想日本代表の加藤と、総括ディレクターの伊藤も登壇しています。

東海村公式チャンネル →  https://www.youtube.com/watch?v=v9-ENdT0CHk (7m15s~ 加藤秀樹、17m53s~ 伊藤伸)

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【3】ご紹介

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(1)全国初!住民による住民のための無作為抽出の住民協議会「自分ごと化会議in松江」第2期

~クラウドファンディングのおしらせ~

第1期(2018年11月~2019年2月)は「原発を自分ごと化する」をテーマに議論し、その成果を『9つの提案』としてまとめ、中国電力、松江市長、島根県知事、世耕経産大臣(当時)にお渡ししました。
今回、第2期(2021年2月~)では、「自然エネルギー」をテーマに、新たに無作為抽出した松江市民による議論の場を作ります。

まちの問題を「自分ごと」として考える市民を増やしたい!
そのために職業や年代、興味・関心などが異なる多様な市民が集まって、自由に安心して対話する場を作りたい!
そうした思いで、「自分ごと化会議in松江実行委員会」は活動しています。

自分ごと化会議を行政ではなく、住民が主催して行う全国初めての試みです。

クラウドファンディングで支援いただいた資金は、自分ごと化会議を運営するために(下記)使わせていただきます。
皆さまにもこの取り組みに、支援という形でご参加いただければ幸いです。

ご支援いただいた資金の使い道は以下の通りです。
・講師、問題提起者への謝礼
・会場使用料
・無作為抽出者への会議案内 印刷・送付費用 など

詳細はこちらから → https://readyfor.jp/projects/kaigi2027

皆さまからのご支援、ご参加、お待ちしております。

※自分ごと化会議in松江 第2期 事前勉強会(動画)
11月29日に自分ごと化会議の活動や意義を知っていただくための勉強会を開きました。
YouTubeでの視聴可能です。こちらから →  https://youtu.be/4vf0u3UPtz4

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(2)「藤田早苗さん講演会」

これまで秘密保護法や共謀罪、日本の表現の自由の現状を国際社会に伝えてきた、イギリス在住で国際人権基準の研究者である藤田早苗さんが2020年12月に一時帰国し、全国各地で講演を行います。
詳細はこちら→ https://hyogen-tsutaeru.jimdo.com/

大阪「世界からみた日本のヒューマンライツ:メディア・新型コロナ・女性・貧困・差別」
日時:2021年1月9日(土)14:00~(13:30開場)
開場:大阪市中央公会堂 大会議室
定員:56名(当日のコロナ感染の状況により定員数の変更の場合あり)
※カンパ制  連絡先 25bun64bun@ezweb.ne.jp 文箭(ぶんや)まで

○大阪「世界から見た日本の人権 表現・報道の自由、ジェンダー、貧困、移民+」
日時:2021年1月16日(土)13:30~15:30
会場:岸和田市立男女共同参画センター
定員:60名(申込不要・当日先着順)
主催:岸和田女性会議 お問合わせ:080-4984-5226

オンライン学習会「日本を外から学ぶ学習会」 テーマ「日本の貧困問題」
日時:2021年1月23日(土)19:00~(日本時間)
登壇者:奥田 知志氏(NPO法人抱樸理事長)、藤田 早苗氏
参加費:3ポンド(約400円) ZOOMにて開催 詳細は後日
学習会FBページ:https://www.facebook.com/japanfromoverseas/

○東京 藤田早苗氏学習会(仮)
日時:2021年1月30日(土)14:00~16:00(予定)
会場:入新井図書館(東京都大田区大森北1丁目10-14)
主催:連絡先:フェアな民主主義(03-6303-8671)
活動の詳細はこちら → https://hyogen-tsutaeru.jimdofree.com/

上記、ご来場の際はマスクの着用をお願いします。
発熱や咳、喉頭痛などの症状がある人は来場を控えてください。

☆彡☆12月4日に行われたオンラインセミナーが視聴できます☆彡☆

「日本は本当に自由な国なのか?」~国連自由権規約委員会にNGO共同レポートを提出~
登壇者:望月衣塑子氏、藤田早苗氏、海渡雄一氏、近藤ゆり子氏
Youtube URL → https://www.youtube.com/watch?v=k-Fi1KHA02M&feature=youtu.be

■カンパのお願い■ 情報を集めて発信するには、先立つものも必要です。ご協力をいただければ幸いです。
郵便振替
口座番号:00870-7-216543
〇八九(ゼロハチキュウ)店 当座 0216543
加入者名:日本の表現の自由を伝える会

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【4】「今こそローカリズム・日本の祭シリーズ 第五十一弾 輪島の来訪神 ―面様年頭(めんさまねんとう) 2019・1・14」

至学館大学 コミュニケーション研究所長  石田 芳弘
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2018年11月、全国10か所の「来訪神―仮面・仮装の神々」が一括ユネスコ無形文化遺産に登録された。これに先立つ2年前、「山・鉾・屋台行事」が同登録に先行した。

山・鉾・屋台は都市の祭であるが、今回の来訪神は農山村の祭である。ユネスコ無形文化遺産の犬山祭保存会長としては両者のちがいも知っておかなければならないと思い、輪島の来訪神・面様年頭を見に行った。

最近、政府はインバウンドといって外国人観光客誘致に熱心であり、国土交通省中部運輸局が中心に「昇龍道」という観光モデルコースを作っている。愛知県の知多半島のセントレア空港を起点とし北上、岐阜県・富山県から石川県能登半島の輪島までが丁度龍の形に似ているところからそう呼ぶユネスコ無形文化遺産登録の祭ルートだ。

犬山からその昇龍道に沿って東海北陸道を車で5時間、日本海の冬風を受けながら輪島に到着したのは1月13日宵闇の迫る頃だった。

ホテルに一泊して輪島の街並みを散策しながら祭と観光についての情報を収集した。輪島市役所文化課の職員にもレクチャーしてもらった。Cultureとは文化のことでありcultivateとは耕すという意味ゆえ文化はその土地の土や水と不離一体の関係にある。祭文化を知るにはその土地を見、その土着に育まれた人たちに接し、エートスと呼ばれるその土地独特の倫理観みたいなものを知ることが不可欠であると考えている。

ところで、来訪神とは年に一度決まった時期に人間の世界に来訪する神のことである。日本で一番有名な来訪神は秋田県男鹿(おが)(ここが今回ユネスコに登録された10か所の祭の事務局をしている)のナマハゲであるが、能登半島の来訪神は1月2日能登町、皆月日吉神社の神事であるアマメハギと、輪島市の1月14日重蔵(じゅうぞう)神社・輪島前(さき)神社の面様年頭※1である。

輪島市の全国に名をとどろかせている名物は朝市であるが、この朝市の中心となっている重蔵神社の祭が面様年頭。神職者が氏子の家を御幣でお払いしながら年頭の祝詞を述べて回るという行事。一方の輪島前神社のエリアは小学6年生の児童二人が仮面をつけ、これまた氏子の家を「めんさまねんとう!めんさまねんとう!」と大声で言いながら訪れる。

神社の神職にいただいた資料には次のような一文が書かれていた。「輪島前神社の面様年頭が他の行事と大きく違うのは、面様は夫婦の神様で遠い山の彼方から幸せをもたらすためにおいで下さることです。(中略)神様は14日に来られ20日までの1週間輪島前神社に滞在され山へと帰ってゆかれます。遠い昔からずっと輪島崎の町においでくださる神様をこれからもお守りしたいものです。」

来訪神を「まれびと」と呼んで日本人の思想に位置づけたのは折口信夫である。私が祭の研究を始めた時、最も傾倒した先達は中沢新一さんだったが、この中沢さんの著書に「古代から来た未来人」という折口信夫論がある。我が国民俗学の創始者柳田国男は祖霊こそが日本人の神観念の原型と考えたのに対し、折口は神観念のおおもとにあるのは共同体の外からやってきて何か強烈に異質な体験をもたらす精霊の活動であるに違いないと考え「まれびと」の言葉を生んだ。現世(うつしよ)と常世(とこよ)※2とをつなぐ来訪神が宗教や芸能や文学を創造したと考えた。

そんなことを考えながら面様年頭を観察していると「祭の中には化石化された歴史的感情が保存されている」という哲学者梅原猛の言葉を、更にユネスコ無形文化遺産の「人から人へと継承される芸能や祭礼、社会的習慣、伝統工芸技術などが、人類の無形文化遺産として重要であること」という基準も思い出した。

まさしくこの一昔前の日本人にとっては当たり前の正月の迎え方が、何の気負いもなく粛々と持続している姿に誠に重要な地域コミュニティの安定さを感じた。

日産自動車のゴーン事件が話題になるグローバルエコノミー襲来の時代、手仕事の輪島漆器をかたくなに守り続けるこの町で来訪神の物語は普段通りつながれようとしていた。

能登半島や輪島は、ユネスコの提唱する「サステナブルなライフスタイルを継承するのはバイオリージョン(地域生命体)」という概念を具体的に指ししめしてくれる。

今こそローカリズムのモデルだ。

※1 ユネスコ無形文化遺産の登録名は、面様もアマメハギで統一されています。
※2 現世(うつしよ)現実世界 常世(とこよ)死後世界 二律する世界観

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石田 芳弘(いしだ よしひろ)

愛知県議会議員、犬山市長、衆議院議員など、地方、中央の政治と行政を経験。特に教育、文化行政に力を入れた。「まちは生涯学習の最良の教室である」というのが持論であり、学校教育も生涯学習の一環であると考え、市民が教師の総合学習や全市博物館構想を推進。また、シンクタンクの研究員として先進国の地方議会を視察、研究。我が国地方議会も議院内閣制を導入すべしという、地方議会改革論議のオピニオンリーダーである。
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(編集後記)

数年前「プライマリーバランス(PB)」や財政の話を、財務省の方から聞いた。
2020年度の経済財政白書から「25年度に国・地方のPB黒字化を目指す」が消滅。
元々賛否両論ある考え方ですが、方向転換でしょうか。2021年度予算105兆円超。

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