【No.114】変わることと変わらないこと
2003.09.19

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変わることと変わらないこと
JIメールニュースNo.114  2003.9.19
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■■ 目次 ■■
1.《日本の教育》変わることと変わらないこと
2.《第75回「J.I. フォーラム」のご案内》

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1.《日本の教育》変わることと変わらないこと
構想日本 政策アナリスト
近藤 学

8月1日付のJIメールニュースで「古山塾」主宰の古山明男さんは、い
まの教育行政が抱えている根本的な問題点を鮮やかに浮かび上がらせ、そ
の多くに私はとても共感を覚えた。
ただ、ひとつだけ悩んでいることがある。それは古山さんが「教育と一
般行政の分離」は教育が政治潮流や利権に左右されないための大事な原則
であり崩すべきではない、と述べたことについてである。

まず、教育と一般行政の分離とは言っても実態はどうか?国の行政機関
である文部科学省が教育に関して大きな権限を有しているのが現実だろう。
次に、教育は政治に左右されてはいけないのだろうか?政治家は国民に
よって選ばれる。国民の選択した政治が教育を左右できないということは
結局、国民が教育を左右できないということだと思う。
もちろん、政治的利害という意味での政治に教育が巻き込まれるのは問
題だし、利権に至っては論外である。与党の有力政治家が内閣に入らない
という現状を正した上で、教育の大きな枠組みについて国民の意向がきち
んと反映されることが望ましい。
これは何も教育だけに限らない。あらゆる分野に当てはまる。先ごろ話
題になった三位一体の改革でも、影の主役は霞ヶ関の各省庁だった。ある
大臣は「大臣はみな事務方の出先機関である」と述べたがおそらく本音に
近いだろう。
活発な議論と熟慮を経た上で国民の多くが必要だと思えば、教育の仕組
みや内容、おカネの使い方を大きく変えるべきだと私は思う。もし不都合
が生じて前の方が良かったならば、そのとき元に戻せばいいではないか。
子どもたちが翻弄されるのを懸念する人がいるかもしれない。
ただ、私は先日驚いたことがある。それは小学校高学年や中学校の社会や
理科の問題集を見たときのことだ。30年ほど前、私が学んでいた時代と内
容が同じではないか!
ごく一例をあげると「1232年に鎌倉幕府が定めた法律は何か?
またその時の執権は誰か?」(答えは御成敗式目、北条泰時)。

私の世代では多くの人が「入試に勝つ=幸せ」という方程式を信じてい
たので、内容を疑わずに勉強した。しかし”勝利の方程式”が崩れつつある
今、私は子どもたちへの同情を禁じえない。
もちろん挨拶などの礼儀、命を大切にすること、思いやり、責任感、
謙虚さ、我慢などは、時代がいくら移り変わろうとも子どもたちに身につ
けてもらいたい事柄だ。
しかしそれらのベースを小学校や中学校で教えるのは無理がある。もっ
と小さいときから家庭が中心になって教えるべきことだと思う。そうした
人間として生きていく上で最低限必要な事柄以外については変わらないこ
との方が私は恐ろしい。
かつてイギリスのブレア首相は「私の政権には三つの優先課題がある。
それは、教育、教育、そして教育である」と述べた。アメリカのクリント
ン元大統領も教育政策には熱心だった。
政治を通じて我々の意向が教育をはじめ大きな枠組みを左右しない日本
の現状、もしかするとそれは国民の政治や政策への無関心を醸成している
のではないかと私はいま疑っている。
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2.《第75回「J.I. フォーラム」のご案内》
「住民基本台帳ネットワーク」
-本当に便利? 管理システムに組み込まれる?-
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8月25日から住民基本台帳ネットワークが「本格稼働」しました。全
国の市町村ではICカード(住民基本台帳カード)も発行されはじめまし
た。このカードがあれば、全国どこでも住民票の交付が可能になります。
一方で、コストがかかるばかりで住民への利便は小さいなどの理由でネッ
トワークに参加しない自治体もあります。個人情報保護の視点から自治体
の参加に疑問を投げかけるNPOの声もあります。
ネットワークの様々な問題を指摘しつづけている櫻井氏、行政の第一線
で関わっている山田氏と江原氏を招いて、個人情報保護法に詳しい池田氏、
以前からこの問題について取材を重ねてきた高成田氏に全体を取りまとめ
ていただき、住民の視点から何を考えなければならないかの議論をして戴
きます。

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日 時  :平成15年9月30日(火)
会 場  :銀座ソニービル8階 ソミドホール
開 演  :午後6時30分(開場:午後6時00分)
討論者 :池田 信夫(独立行政法人経済産業研究所上席研究員)
江原 昇(東京都練馬区職員/練馬区改正住基法問題研究会)
櫻井 よしこ(ジャーナリスト)
山田 宏(東京都杉並区長)
コーディネーター:高成田 享(朝日新聞論説委員)
主 催  :構想日本
定 員  :160名
参加費  :2,000円(シンクネット・構想日本会員は無料です)
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参加希望の方は、下記のメールアドレスにお申し込み下さい。
forum@kosonippon.org
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参加ご希望の方は、誠に恐縮ですが9月29日までに出欠の是非を
お知らせ願います。
お問合せ:構想日本・西田(電話03-5275-5607)
*シンクネット・構想日本の会員は8月からフォーラム参加費は無料
になっています。申込が必要ですのでご注意ください。また、申込
の際は会員番号をお知らせ下さい。
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