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【No.115】米国の寄付文化

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米国の寄付文化
JIメールニュースNo.115 2003.9.26
窓口はこちら! info@kosonippon.org
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■■ 目次 ■■

1.《寄稿》米国の寄付文化
― その発展を支えるファンドレイズ活動の実態とその機能 ―
Thirteen/WNET New York (PBS全米公共テレビ放送ニューヨーク局)
資金調達部メジャーギフト・グループ ファンドレイザー
大西たまき
2.《第75回「J.I. フォーラム」のご案内》
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1.《寄稿》米国の寄付文化
― その発展を支えるファンドレイズ活動の実態とその機能 ―
Thirteen/WNET New York (PBS全米公共テレビ放送ニューヨーク局)
資金調達部メジャーギフト・グループ ファンドレイザー
大西たまき
AAFRC(American Association of Fundraising Counsel) Trust for
Philanthropyはこの6月23日、統計資料 Giving USA 2003 にて米国の
2002年度寄付総額が2,409億ドル(約30兆円)と発表した。これは、その
前年度総額の2,385億ドルに比べ1パーセントの伸び(インフレ調整後は
0.5パーセントの減少)である。9/11テロ、それに続く不況と金利の引
き下げ、そして6パーセント近い失業率という暗雲たる状況下で依然伸び
続ける寄付総額に、AAFRCTrustの会長レオ・アーノルト氏が「アメリカの
フィランソロピー(社会貢献活動)精神回復を証明するもの」と自信を示
すのも当然であろう。
こうしたアメリカ人の手厚い寄付活動はどこからくるのであろうか。そ
の答えは、寄付者の約8割が「寄付を求められたから」と意外な程単純だ
(Giving USA 2001に発表されたマルクスの調査による)。寄付税制、キリ
スト教精神に基づくチャリティの伝統、ロックフェラー達富豪の存在とそ
の個人財団の多さ、こうしたアメリカの現状は日本でも知られるところだ
が、その陰に「寄付を頼む」つまりファンドレイズ(資金調達)機能が常
に存在していた事実は意外な程議論されない。
アメリカではファンドレイズ担当者(ファンドレイザー)は戦前から既
に存在していたと言われ、その台頭はまさに米国フィランソロピー史と重
なる部分が多く非常に興味深い。ファンドレイザーの役割が強く認識され
たのは戦後直後、不況を生き抜く為非営利団体がファンドレイズ部を設置、
John Price Jones等の専門コンサルティング会社に経験豊かなファンドレ
イザーを求めたのがきっかけだ。さらに、1969年租税法(財団とその寄付
活動を連邦議会で精査、見直し)への反論としてフィランソロピーの実態
と必要性を訴えるべく作られた Peterson Commissionに続き、Filer
Commissionの研究調査活動のためにAAFRCがそのファンドレイズ・スキルを
無償提供、目標額以上の230万ドルを集めた(調達にかかった費用は調達額
の2パーセント未満)。この一連の出来事はファンドレイザーの専門スキ
ルと必要性を世間一般に一層知らしめることとなった。
それから30年、寄付文化が熟成したアメリカでは寄付を求められる事が
むしろステイタスとすら考えられる世の中になった。金銭以外に不動産や
株式等多様な個人財産が寄付されている中、免税などの知識も必要とされ、
担当別に専門化されたファンドレイザー達はDirector of the Major Gifts
(大口寄付担当部長)、GrantWriter(財団、政府等申請書作成担当者)、
或いはSpecialEvent Associate(イベント・ファンドレイズ担当者)等の
専門別の肩書き/名称でも一般に認知される。私が勤務するPBSニューヨー
ク局でも550人程の常勤スタッフのうち5分の1を占める資金調達スタッフ
の業務は、
・建物、基金等特定の資本財調達の為のファンドレイズ
・テレビ、インターネットによるファンドレイズ
・大口/小口寄付
・くじ
・月賦払い
・財団
・政府
・企業
・データベース・マネジメント
・カスタマー・サービス
等細分化されている。外部の会計士、弁護士等も我々のファンドレイズ業
務に大きく貢献する。
しかしながら専門そして時代を超え共通する普遍的姿勢は「伝統的な知
恵がフィランソロピーを教えた、すなわち(寄付活動は)かなりの部分が
人間の直接的なやり取りに基づく」(GivingUSA 2001より)ごく基本的な
ものだ。ファンドレイズ業務には「寄付を頼む」以外に「寄付を頂き感謝
する」Stewardship/Acknowledgementと呼ばれるプロセスも含まれる。寄
付を頼まれ、寄付をし、その意義と有り難さを実感できれば寄付者は次の
年も必ず戻ってくる。こうした人間同士のごく自然なやり取りがアメリカ
の寄付文化を発展させ、現在の様なフィランソロピー大国を作り出したと
いう原点を我々は忘れてはならない。

<大西たまき氏プロフィール>
東京芸術大学音楽学部楽理科卒、愛知県立芸術大学院(音楽学)修士、コ
ロンビア大学院芸術経営学科修士。オルフェウス室内管弦楽団、カーネ
ギーホール他を経て1999年8月より現職。読売新聞「海外の文化」にてニ
ューヨークのクラシック音楽界に関するコラムを定期執筆。
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2.《第75回「J.I. フォーラム」のご案内》
「住民基本台帳ネットワーク」
-本当に便利? 管理システムに組み込まれる?-
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8月25日から住民基本台帳ネットワークが「本格稼働」しました。全
国の市町村ではICカード(住民基本台帳カード)も発行されはじめまし
た。このカードがあれば、全国どこでも住民票の交付が可能になります。
一方で、コストがかかるばかりで住民への利便は小さいなどの理由でネッ
トワークに参加しない自治体もあります。個人情報保護の視点から自治体
の参加に疑問を投げかけるNPOの声もあります。
ネットワークの様々な問題を指摘しつづけている櫻井氏、行政の第一線
で関わっている山田氏と江原氏を招いて、個人情報保護法に詳しい池田氏、
以前からこの問題について取材を重ねてきた高成田氏に全体を取りまとめ
ていただき、住民の視点から何を考えなければならないかの議論をして戴
きます。

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日 時  :平成15年9月30日(火)
会 場  :銀座ソニービル8階 ソミドホール
開 演  :午後6時30分(開場:午後6時00分)
討論者 :池田 信夫(独立行政法人経済産業研究所上席研究員)
江原 昇(東京都練馬区職員/練馬区改正住基法問題研究会)
櫻井 よしこ(ジャーナリスト)
山田 宏(東京都杉並区長)
コーディネーター:高成田 享(朝日新聞論説委員)
主 催  :構想日本
定 員  :160名
参加費  :2,000円(シンクネット・構想日本会員は無料です)
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参加希望の方は、下記のメールアドレスにお申し込み下さい。
forum@kosonippon.org
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参加ご希望の方は、誠に恐縮ですが9月29日までに出欠の是非を
お知らせ願います。
お問合せ:構想日本・西田(電話03-5275-5607)
*シンクネット・構想日本の会員は8月からフォーラム参加費は無料
になっています。申込が必要ですのでご注意ください。また、申込
の際は会員番号をお知らせ下さい。
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