【No.127】大局観をもった外交論を
2003.12.19

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大局観をもった外交論を
JIメールニュースNo.127  2003.12.19
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■■ 目次 ■■
1.《2004年を前に》大局観をもった外交論を
2.《第79回「J.I. フォーラム」のご案内》

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1.《2004年を前に》大局観をもった外交論を
-国益を考えた議論をしよう!-
構想日本 政策委員
丹治 幹雄
イラクで我が国の外交官が2名殺害された。詳細は定かではないが、テロに
よるものという可能性が強いようだ。これに対し、自衛官の命に関わるか
ら自衛隊を派遣すべきでないなどの議論が行われている。
もちろん自衛官に限らず我が国の国民の生命を守るのは政府の最大の役割
である。だが、生命の危機があるから、ということがイラク問題に関する
我が国の国益との関連で、国会で議論するに適切なことなのだろうか?
現在問題になっていることは、一つは9.11を始めとしたテロに対する
対応であり、もう一つがイラクという国の自立である。議論すべきは、こ
のことに対する我が国のスタンスであり、自衛官の命が危ないかどうかと
いう情緒的な問題ではないのではないか?
いや、自衛官の命について議論することの必要性はもちろんあるにしても、
それは政府内で止めるべきことなのではないか?自国の兵士(あえて兵士
と呼ぶが)の危険があるから日本はテロに屈する、という印象を与えた場
合、日本は一番攻め易い国と見られる。要は一人傷つければおびえて何も
出来なくなるということにならないか?
極論すれば、国論が自衛官の安全性に終始していた結果として、イラクの
テロリストが今回の暴挙に出た可能性すら考えられるのではないか?あえ
て、より本質的な議論を求めたくなるのである。
そして、我が国の国際政治におけるあり方を考える際、世界中でまだ殺し
合いが起きている人類の社会の中では、やはり現実を踏まえた議論が求め
られる。
そもそも独立国であるのに外国の軍隊が何万人の規模で駐留し守られてい
ることことをどう考えるのか。そして彼らが命をかけて我が国国民を守っ
てくれると信じているおめでたさを我々は認識する必要がある。
そして一方で米国が、おそらく十分な認識もなく、今回イラクへ侵攻する
ことでイスラムという一大勢力のトラの尻尾を踏んでしまったこと、また
日本は安全保障という国の首根っこを押さえられているため米国の「属
国」であるという風な見方もあるというような認識に立てば、実は我が
国に与えられた選択肢は、現在の時点では極めて限られているということ
を理解すべきなのである。
このように現実を踏まえて選択肢を探るとすれば、今筆者が考え得る選択
肢は、米国追随型を除けば我が国が自ら軍備を持つことが一つだが、これ
は先の大戦の記憶から国際政治の舞台では認められないだろう。だとすれ
ばアジアとの連合軍というのはどうか?
もう一つはスイスのような永世中立国の宣言だ。ただ、これまた平和憲法
に基づいた情緒的な判断は極めて危険なのだ。スイスが何故あのようなこ
とが出来たか?それは世界の金を集めているという一つの事実に尽きるの
であり、我が国にこれに匹敵するような何かがなくては、殺しあうという
人類の避けることの出来ない現実から安易に逃れることは出来ない。
いずれにしても、ややもすると感情論になりがちな安全保障の問題に関し
て、現在の我が国の議論の仕方が問題なのではと思う次第だ。是非我が国
のおかれた現実を踏まえ、将来へ向け自国をどう守りつつ世界に貢献する
かという観点から真剣な議論が戦わされることを切に期待する。
◆代表の一言
丹治さんの意見への賛否は別にして、希望的観測ではなく現実を把握し、
観念的なヒューマニズムや偏狭なナショナリズムではなく、国益を冷静に
議論すべきという指摘は外交に限らず今の日本に最も欠けていることだと
思います。読者のみなさんの大いなる反応を期待しています。
(構想日本代表 加藤秀樹)
*「読者の声」の掲載についてお知らせ
これまで、読者のみなさんからJIメールニュースに対し多くの反響を
頂き、随時メールニュースでご紹介してきましたが、週刊ではすべて
掲載することが難しい状況になっています。そこで、みなさんから
頂くご意見などのメールは、すべてバックナンバーのホームページに掲載
させて頂くことになりました。
現在、準備中で1月中には作業完了の予定です。みなさんには、完了
次第改めてくわしくご案内致します。
( https://www.kosonippon.org/wp-manager/mailnews/log.html )

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2.《第79回「J.I. フォーラム」のご案内》
開発援助を通して考えた「人間の幸福」
- 何が先進国・何が開発途上国?-
日本をはじめいわゆる「先進国」は、「途上国」に毎年莫大な金額の開
発援助を行っています。その結果、インフラの整備、医療水準の向上ある
いは、経済成長など一定の「成果」は上がっています。一方で、為政者の
モラル低下、部族間紛争、環境問題など弊害も目立っています。これまで
の開発援助が本当に住民たちに幸せをもたらしたのでしょうか?
ケニアでの20数年の経験をふまえた岸田氏の話を中心に、援助のあり
方、ひいては私たち自身の生き方、そして本当の人間の幸せとは何かにつ
いて考えましょう。
日 時  :平成16年1月27日(火)
会 場   :銀座ソニービル8階 ソミドホール
開 演  :午後6時30分(開場:午後6時00分)
討論者  :岸田 袈裟(食物・栄養研究家)
五月女 光弘(外務省 特命全権大使(NGO担当))
依頼中
重田 真義(京都大学大学院助教授)依頼中
コーディネーター :蟹瀬 誠一(ジャーナリスト)
主 催   :構想日本
定 員  :160名
参加費  :2,000円(シンクネット・構想日本会員は無料です)
☆参加ご希望の方は1月26日まで下記にご記入の上、ファックスにてお申し
込み下さい。
返信宛先 構想日本FAX:03-5275-5605
お問い合せ 構想日本・西田 TEL:03-5275-5665

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