【No.156】「現場が主役」の教育改革をめざして
2004.07.16

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「現場が主役」の教育改革をめざして
JIメールニュースNo.156  2004.7.16
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■■ 目次 ■■
1.《提言》「現場が主役」の教育改革をめざして
2.《第85回「J.I.フォーラム」のご案内》
3.《お知らせ》

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1.《提言》「現場が主役」の教育改革をめざして
構想日本政策スタッフ 室田 真一
青少年犯罪の激化、不登校の増加、学力の低下・・・ 今日、教育をめ
ぐる問題は後を絶ちません。そして、こうした問題には、「親や学校はど
んな指導をしているのだ!」「首長や教育委員会はきちんと対応している
のか!」など、現場の責任を追及する声が必ず出てきます。
たしかに現場が自らの行う教育に「責任」を持つことは当然です。ただ
一方で、そもそも今の制度の下で、その(結果)責任を果たすのに必要な
「判断や活動の自由度」(=権限)が現場にどれほどあるのかという問題
もあります。
●身動きのできない現場
義務教育では、大半の子供たちは市町村立の学校に通っていますが、現
場の主な当事者である「学校」や「市町村」の権限は極めて小さいのが実
情です。
例えば、どんな先生を何人採用し、どこの学校に配置するか。1クラス
の子どもの数を何人にするか。何をどの教科書でどのくらいの時間で教え
るか。こうした日々の教育活動を左右することを、学校運営のトップであ
る「校長」や、学校の設置者である「市町村(教委)」は独自の判断では
決められません。多くの場合、「県(教委)」に権限があるか、「国」の
基準などに従わなければなりません。
このように今の国の教育行政は、カネ、ヒト、組織運営、教育内容など
多岐にわたって現場を画一的にコントロールしています。現場からはほど
遠い国や県が、現場のことを細かく決めているのです。これでは、現場は
やる気や創意工夫を発揮できません。それ以上に、現場には依存心が強ま
るので、創意工夫に必要な技能が身につかず、責任意識も薄れがちになり
ます。
●特区が物語る「制度の壁」
こうした状況に対し、全国各地から現場への権限移譲を求める「教育特
区提案」がこれまで数多く出されました。しかし、その多くは「今の制度
と整合しない」などの単純な理由で却下されてきました。例えば、最近の
第4次提案では、総数338件のうち教育分野の提案は71件で最多でし
たが、これらの提案が求めた規制緩和の項目のうち約88%が「緩和は不
可能」として退けられました。
このことは、教育の現場が今の制度にどれほど不満を持っているか、そ
して、その制度の壁を崩すのがいかに難しいかをよく物語っています。
●提言:現場のことは現場に!
この現状を打破するため、構想日本は提言「教育行政改革」をまとめ、
先月発表しました。その趣旨は、現場の多様な試みを阻んでいる画一的な
教育行政(国のコントロール)を改め、現場の当事者(保護者・住民、学
校、市町村)に判断をゆだねるとともに、責任を十分に持たせること。そ
れによって現場の発想力や責任意識を高め、教育活動を多様化します。同
時に、現場の活動が期待した結果を生んでいるかを見極めるため、「情報
公開」と「評価・点検」を徹底します。主な内容は以下のとおり(「公立
の小中学校教育」が主な対象)。
1)教員の人事権
市町村(首長または教委)が持つ。
2)教育の財源
教育に限定した国からの「特定交付金」で賄う。使途は自治体の判断
にゆだねる。
3)行政組織(教育委員会)
・教育委員の人数・選び方、権限(学校教育以外)などを首長の判断
で独自に設計できる。
・首長の判断で教委を置かないこともできる(ただし、住民投票での
承認が必要)。
4)学校の運営
・校長が一定の範囲で人事権と予算権を持つことができる。
・NPO、住民団体等の民間組織が公立学校の運営主体になれる。
5)教育内容・方法
・カリキュラムや授業時数(年間の授業回数)は、各学校で柔軟に
編成できる。
・教科書は、各学校で自由に選ぶことができる。
6)評価・点検
執行者と評価者を分離する。「学校評議会」等を通じ保護者・住民も
積極的に参加できる。

●改革を望む全ての人のために
この提言が目指すものは、一部の特別な人ではなく、現場で改革を望む
全ての人が創意工夫を発揮でき、その試みが成果にきちんと結びつくよう
な環境を整えること。今後、この提言をたたき台に「現場が主役」の教育
改革が行われるように、ぜひ皆さんとともに奮闘していきたいと思ってい
ます。
※提言の要約や本文はこちらで入手できます。
→ https://www.kosonippon.org/wp-manager/prj/edu/
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2.《第85回「JIフォーラム」のご案内》
女性必見!男性超必見!!
-女性リーダー達の勇気と元気と心配り-
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「JIフォーラムは、男の理屈っぽい話が多い」という感想を時々戴きます
(本当はそうでもないのですが)。男だ女だと分けること自体、意味がな
いことだと思います。しかし、私達の回りを見渡すと、女性の方が最近は
どうも元気なようです。
そこで今回は、様々な分野でリーダーとして慕われ、また腕を振るって
いる4人の女性たちに、実体験に基づいた臨場感のある話をふんだんにし
て戴きます。話の引き出し役は、人の能力と魅力を引っ張り出すプロの
渋谷さんです。
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日 時:平成16年7月27日(火)
会 場:銀座ソニービル8階 ソミドホール
開 演:午後6時30分(開場:午後6時00分)
討論者:小笠原 敬承斎(小笠原流礼法宗家)
牧嶋 博子(TBS報道局社会部担当部長)
野村 るり子((株)ホープス代表取締役)
本井 稚恵(アクセンチュア(株)パートナー)
コーディネーター : 渋谷 和宏(日経ビジネスアソシエ編集長)
主 催:構想日本
定 員:160名
参加費:2,000円(シンクネット・構想日本会員は無料です)
懇親会参加費:3,500円
※今回からゲストを囲んで懇親会を開催いたします。
事前申込のみ承ります。
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参加ご希望の方は、7月26日までに出欠の是非を、下記のメールアドレス
にお申し込み下さい。
forum@kosonippon.org
お名前
所属
ご連絡先

懇親会         参加する      参加しない
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お問合せ:構想日本・西田(電話03-5275-5607)
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3.《お知らせ》
●「権力の道化」 櫻井よしこ  (新潮社)
「新潮45」2~5月号で道路公団改革の決定プロセスを克明にレポートし
てきたジャーナリストの櫻井よしこさん。これに大幅に加筆修正を加えた
本が出版されました。民営化が全く形だけになった背後に何があったのか。
国民不在の政治家、正義の味方を装いながらその政治家にすりよる「道
化」。これが真実です。
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