【No.234】企業経営のノウハウが医療を救う |テラダイン(日本法人)代表取締役 森 時彦氏|
2006.01.27

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JIメールニュースNo.234  2006.1.27発行
企業経営のノウハウが医療を救う

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◆◆ 目 次 ◆◆
1.【企業経営のノウハウが医療を救う】
2.【第102回「J.I. フォーラム」のご案内】
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1.【企業経営のノウハウが医療を救う】
テラダイン(日本法人)代表取締役 森 時彦
某大病院から先生方の研修のための講演依頼があった。医療とは関係のない
外資系企業の日本法人を経営する私にお呼びが掛かったのは、私のリーダー
シップ論(ファシリテーション)に興味を持たれたからだという。
講演のあと6つのテーマでグループワークに分かれた。ひとつのグループを
覗くと、今年度1000件の手術件数を来年度は15%程度増やせないかという
テーマで議論が進んでいる。10分ほど議論を聴いていると、「そんなこと無
理だ」という空気がどんよりと部屋を支配している。
口を出すことにした。
「手術のことはわかりませんが、その件数を決めるボトルネックは何でしょ
うか?」
「外科医の数だ。医者の数を増やすしかないが、経営上それはできないん
だ」
「なるほど。では今の先生の数で、理論値として、何件の手術が可能なので
しょうか?」
資料を繰ったあと、顔をあげた先生の顔には驚きの色があった。
「2000件近く、ありそうです」
これで解くべき問題ははっきりした。問題が共有化されなければ、いくら議
論を続けても答えは出ない。生産性は上がらないし、先生方の満足度も低い
に違いない。
一方で、患者側の満足度も低い。たとえば、私も一昨年、ご他聞にもれず要
介護の母親を抱える生活に入った。人工股関節置換手術のあと母親の要介護
度が上がり、そのまま退院の機会を得ぬまま、数ヶ月ごとに医療機関を転々
とする生活となった。今は世田谷区の施設にお世話になっているが、入院の
たびに「期間は3ヶ月を上限とする」と申し渡される。
この時、各病院で資格を持った相談員が丁寧な応対をされるのだが、他の医
療機関探しでは例外なく貧弱な情報しか持ち合わせていない。これは長期療
養患者を抱える家族全員が経験していることに違いないのだが、その繰り返
されるはずの質問に答えが用意されていない。
企業であるホテルのコンシェルジュのほうが助けになりそうだ。コンシェル
ジュの顧客満足スキルを病院経営に活かすことはできないものか。
病院を株式会社として経営することには多くの抵抗がある。「利益重視では
いい医療はできない」というのがその骨子であると思う。
しかし、それは企業経営に対する誤解から来るものではないか。安全で高度
なサービスを競争力のある価格で提供できない企業は、撤退を余儀なくされ
る。そのような環境で鍛えられた問題解決スキルを活用すれば、もっと利用
者と医療従事者双方の満足度を高めながら、安全性の高い、高度な医療を廉
価に実現できるのではないだろうか。
*森 時彦氏プロフィール
1952年、大阪生まれ。大阪大学、マサチューセッツ工科大学(MIT)卒。
工学博士(Ph.D)、経営学修士(MBA)。神戸製鋼所を経て、GE(ゼネラ
ル・エレクトリック)に勤務。テクノロジーリーダー、マーケティング・
リーダー、日本GE役員などの要職を歴任。2004年よりテラダイン(日本
法人)代表取締役。著書に、『ザ・ファシリテーター』(ダイヤモンド社)
がある。
元京都大学大学院非常勤講師。日本ファシリテーション協会理事。
(日本ファシリテーション協会では、2006年2月25日(土)に「場づくりの
技術」をテーマにフォーラムを開催いたします。詳しくは、下記ホーム
ページにてご覧いただけます。)
ホームページ : http://www.faj.or.jp/forum/2006/tokyo/
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2.【第102回「J.I. フォーラム」のご案内】
小さな政府について一度きちんと考えてみよう
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マスコミなどで「小さな政府」という言葉がただただ使われます。しかし
その割りに、「政府」の範囲は何か、どこでその大きさをはかるのか、政府
を小さくしてどんな社会をめざすのか、など全体像がきちんと整理されない
ままに個々の改革議論が行われています。
与野党の政策責任者とこの分野を代表するオピニオンリーダーに「小さな
政府」とは何か、そのあるべき姿など、TVなどでは語りきれないことを存分
に議論していただきます。
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日 時  : 平成18年1月31(火)
会 場   : 日本財団2階・大会議室 港区赤坂1-2-2 TEL 03-6229-5111
( http://www.nippon-foundation.or.jp/org/profile/address.html )
開 演  : 午後6時30分(開場:午後6時00分)
ゲスト  : 榊原英資(慶應義塾大学 教授)
林 芳正(参議院議員・自民党 行政改革推進本部 事務局長)
松本剛明(衆議院議員・民主党 政調会長)
山口那津男(衆議院議員・公明党)
渡辺正太郎(経済同友会 副代表幹事・専務理事)
コーディネーター : 蟹瀬誠一(ジャーナリスト)
主 催   : 構想日本
定 員  : 160名
フォーラム参加費 :2,000円(シンクネット・構想日本会員は無料で
す)
懇親会参加費   :4,000円(ご希望の方は下記懇親会参加に○印をつ
けてください)
※ゲストを囲んで、下記の会場で懇親会を開催いたします。
「トラットリア・イ・プリミ 虎ノ門店」 港区虎ノ門2-2-1 JTビル1F
TEL 03-3589-5812
( http://www.ep-tokyo.com/iprimi/toranomon/ )
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参加ご希望の方は、1月30日までに出欠の是非を、下記のメールアドレス
にお申し込み下さい。
forum@kosonippon.org
お名前
所属
ご連絡先

懇親会に     参加する      参加しない
—————————————————————–
*参加申し込みに関するお問い合せは、
事務局 木下まで。TEL 03-5275-5665
*内容に関するお問い合せは、
フォーラム担当 西田まで。TEL 03-5275-5607
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