【No.240】野外博物館活用の勧め
2006.03.10

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JIメールニュースNo.240  2006.3.10発行
野外博物館活用の勧め

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◆◆ 目 次 ◆◆
1.【野外博物館活用の勧め】
2.【第104回「J.I. フォーラム」のご案内】
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1.【野外博物館活用の勧め】
博物館明治村 建築部長 西尾雅敏

400年前、ヨーロッパの人々がアメリカに入植しました。凡そ200年の後、ア
メリカは独立を勝ち取りました。その地、Williamsburgの町は、今も独立宣
言当時の姿で残され、使われています。馬車が柵につながれ、200年前の衣
装をまとった男女が行き来し、過去の暮らしを教えてくれますし、一方で、
近くの大学の学生が汗を流しながらジョギングで走り抜けても行きます。
限られた道路には車も走っています。家がおよそ600戸も建つこの町に暮ら
す人も居ます。
家の外見は200年前、板製のブラインドの内側には21世紀の生活があります。

東京郊外武蔵野に江戸東京博物館の分館があります。近藤勇が生まれた頃の
農家、東京と名が改められた後の近代住宅。首都東京の近々300年間を、移
築復元された建物で知ることができます。
昨夏、試験的に一泊二日の居住体験が行われました。応募で集まった若い親
子連れが、年配ボランティアの手助けで、薪に燻られながら、釜でご飯を炊
き、鍋でお湯を沸かして、夕食をとり、蚊帳を吊って一夜を過ごしました。
博物館を囲む柵の外はコンビニの世界ですが、その二日間、園内には数十年
前の不便ではあるが自らの手で生きる場がありました。

長崎の町を歩いていると、黄色っぽいジャケットを羽織って、ヘッドホンマ
イクを付けた人を時折見かけます。十数人の人が一団となって、説明される
方角を眺めています。「長崎さるく」というイベントだそうです。
「さるく」とは長崎弁で「ぶらぶら歩く」。南山手、東山手など、港町長崎
の原点となった旧居留地を回っています。
今は、ほとんど観光客が対象ですが、当初は町の若い人たちに町の歴史を知
ってもらうために始められたそうです。

「建築は歴史の証言者」と語って、建築家谷口吉郎博士は野外博物館明治村
を開設しました。40年前でした。
現在、日本に同じような野外博物館が各地にあります。高松、屋島のふもと
に「四国村」があって、入口説明板の言葉が美しい。豊かになった私たちの
生活の出発点のありかを優しく教えてくれています。
現代の私たちは、簡便すぎるがために地道な営みを忘れがちです。原理的な
思考を見失いがちです。昔の物は洗練されず素朴で武骨です。しかし、仕組
みが見えます。歴史上の本物に学ぶ意味がそこにあります。
Williamsburg のスローガンは「The future may learn from the past. 」。
日本にも同じ言葉があります。「温故知新」。
国の、地方の、町の、そして自身の未来を確かなものとするために、野外博
物館は在ります。

<ご案内>
文化庁平成17年度芸術拠点形成事業シンポジウム
「市民に親しまれる野外博物館をめざして」
~優れた建築文化をどのように継承し、生かしてゆくか~
■日時: 平成18年3月26日(日) 午後1時~午後4時半
(開場は12時半頃)
■場所: 博物館明治村内 聖ザビエル天主堂
愛知県犬山市内山1番地
■交通: 新幹線で名古屋へ来られた方は、名鉄名古屋駅から犬山線
に乗車、犬山駅で下車、バスで明治村まで、総所要時間約
1時間。
高速道路でお越しの方は、中央道小牧東ICで降りて、
約7km、案内あり。
■内容: 基調講演・海外報告・パネルディスカッションなど
スピーカーは、東大大学院鈴木博之教授、ほか
■問合せ: 博物館明治村  電話 0568-67-0314

※ 詳細は、 http://meijimura.com/ をどうぞ。

(この機会に...加藤秀樹)
西尾氏が文中で取り上げている高松市、屋島にある「四国村(四国民家博物
館)」は、実は、私が副理事長を務めています。民家や民具は、西尾氏が温
故知新と書いておられるとおり、地域の活性化や教育、さらには、世界に対
する日本と日本人のアピールを考える上で、貴重な財産です。その点で、私
の頭の中では構想日本の活動とつながっています。
この機会をお借りして、勝手ながら一度「四国村」のメルマガをお送りしま
すので、お読み頂ければ幸いです。なお今後、配信不要の方は、恐縮ですが、
その旨を info@kosonipponn.org までご一報ください。
また、定期購読を希望される方は、こちらから申し込みができます。
http://www.shikokumura.or.jp/mm/index.html
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2.【第104回「J.I. フォーラム」のご案内】
ホスピタリティが社会を変える
~おかみさん、old and new~
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最近、「食」とか「もてなし」という言葉をよく見聞きします。というこ
とは、私たちは普段あまり癒されたり、もてなされたりしていないというこ
となのでしょう。マニュアル化や数学上の効率、優劣比較が限界まで来てい
るのかもしれません。
日本の旅館は元来、もてなしの宝庫でした。それを支え、また再生しつつ
ある「おかみさん」のホスピタリティの力が、企業経営にも、地域の活性化
にも、いかに大切でまた有効か具体的に語っていただきます。
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日 時  : 平成18年3月28(火)
会 場   : 銀座ソニービル8階 ソミドホール
開 演  : 午後6時30分(開場:午後6時00分)
ゲスト  : 井門 隆夫(ツーリズム・マーケティング研究所 主任研究
員)
小田 真弓(和倉温泉「加賀屋」女将:石川県七尾市)
山根 多恵(温泉津温泉「吉田屋」若女将:島根県大田市)
主 催   : 構想日本
定 員  : 160名
フォーラム参加費:2,000円(シンクネット・構想日本会員は無料で
す)
懇親会参加費  :4,000円(ご希望の方は下記懇親会参加に○印をつ
けてください)
※ゲストを囲んで、「銀座クルーズ・クルーズ」(03-5568-7770)で懇親会
を開催いたします。 http://www.ginza-cruise.co.jp/ginza/index.html
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参加ご希望の方は、3月27日までに出欠の是非を、下記のメールアドレス
にお申し込み下さい。
forum@kosonippon.org
お名前
所属
ご連絡先

懇親会に     参加する      参加しない
—————————————————————–
*参加申し込みに関するお問い合せは、事務局 木下まで。
TEL 03-5275-5665
*内容に関するお問い合せは、フォーラム担当 西田陽光まで。
TEL 03-5275-5607
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