【No.268】今の地方議会は「いらない」 ~地方議会再生プラン~
2006.09.29

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JIメールニュースNo.268  2006.9.29発行
今の地方議会は「いらない」 ~地方議会再生プラン~
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◆◆ 目 次 ◆◆
1.【今の地方議会は「いらない」 ~地方議会再生プラン~】
2.【第111回「J.I. フォーラム」のご案内】
※好評の「ポリ吉ブログ」もご覧ください。 http://blog.kosonippon.org/
※書籍『構想日本』シリーズの第4弾が出ました。
https://www.kosonippon.org/wp-manager/books/book8.php
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1.【今の地方議会は「いらない」 ~地方議会再生プラン~】
構想日本政策スタッフ
伊藤 伸
皆さんにとって「地方議会」とはどのような存在だろうか。最近よく出てくる
「地方分権」「小さな政府」などの議論に、地方議会が登場することはほと
んどない。しかし、本来制度を作り、予算執行をチェックする機関である地
方議会が、地方分権の主役であるべきではないだろうか。
地方議会の現状を見ていこう。
地方議員数は合計6万人(都道府県、市町村議員の合計)、総額4000億
円かかっている。都道府県議を例にすると、1人当りの報酬+期末手当は
1450万円。これに議会開催時の交通・宿泊費、視察に行く経費、議長交
際費、海外視察支度料などの諸費用を加えると、2100万円。諸費用だけ
で国民1世帯当りの年間平均所得(580万円・2004年国民生活基礎調査)
を超える(詳細は構想日本のホームページ参照)。
https://www.kosonippon.org/wp-manager/temp/060925gikai.pdf
総額4000億円の費用対効果が良ければ何の問題もないが、住民が今の
地方議会に満足しているとは言い難い。2000年に日本世論調査会が行な
った調査では、地方議会の現状について、「まったく満足していない」「あま
り満足していない」が合わせて6割を越えた。
不満要因を整理すると、
・大部分がオール与党体制のため行政に対するチェックが働いていない
・政策立案能力が低い
・高い議員報酬や「隠れた財布」の存在
などが挙げられる。

現行制度の枠内では限界があるが、「そもそも論」で考えると議会のあり方
について色々なパターンが考えられる。
例えば欧米諸国。全体として、地方議員は日本と同様に立法権と予算の決
定権を持っており、議会は夜間や休日に開かれることが多い。待遇は原則
ボランティアで議会の都度手当を支給され、全議員に多額の報酬が与えら
れる日本の地方議会議員(専業は少ないがボランティアでもない)とは大き
く異なる。
諸外国を参考にすると、以下のことが考えられる。
1.議員を増やして報酬を下げる、住民参加との併用
欧米諸国の主流な制度。特に、フランスの地方議員数は50万人で、日本の
自治会に近い。より細かく住民のニーズを吸い上げ、かつ1人の議員に権力
を集中させない効果が考えられる。また、「議会」と「住民」の垣根を低くする
意味で、自治会/町内会に今まで以上の権限を与えること、スイスの半直
接民主制(一定の条件の下で住民も立法権と最終決定権を持つ)のように
住民の参加権を制度化することも議論の必要がある。
2.議員を減らして報酬を増やす=議員の専門職化
逆に議員を少数精鋭にし、権限を強化することも考えられる。
現在は、予算の編成権、執行権ともに行政(首長)が持っており、議会は提
出した予算案に対して部分的な修正はできるが、提出自体に関わるような
骨格に口を出すことはできない(地方自治法97条)。これは議会の条例制定
権が機能しない原因の一つにもなっている。
議会がより実質的な行政のチェック機能を果たすには、議会が予算編成の
段階から関わる仕組みの導入も考えられる。この場合、専門性を持ったスタ
ッフも必要になる(アメリカの地方議会では、100万人以上の都市で平均150
名のスタッフがいる)。
この2案のどちらかにすべきということではなく、そもそも議会制度が画一的
になっているのは日本くらいである。100万人の都市と5000人の村が同じ制
度であること自体に無理があるのではないか。「地方自治」なのだから、様々
なバリエーションを住民自らが考え選ぶところから本来の地方自治が始まる
と思う。地方の自立を進めようとすると、必然的に地域住民の意思決定のあ
り方が重要課題になる。地方制度調査会でようやく地方議会のあり方につい
て盛り込まれるようになったが、より具体的でかつ大胆な議論をそろそろ始め
なければならない。
※構想日本のホームページの「ワンクリックアンケート」の今回のテーマは、
「地方議会」です。下記より是非ご回答ください(設問は一つだけです)。
https://www.kosonippon.org/wp-manager/enquete/index.php?m_enquete_cd=30

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2.【第111回「J.I. フォーラム」のご案内】
医療崩壊を考える
─ 患者もマスコミも一緒に考えよう ─
医療事故の多発など日本の病院や医療制度に対する不信が募っています。一
方、病院や医師も今大変なのです。例えば、地方の公立病院では必要な医師
の確保ができなくなり、救急患者の受入れを中止したり、治療科目の削減に迫
られているのです。
原因は、勤務医の労働条件が厳しくなる一方で、すべての患者は救われるべき
といった過剰な期待や、期待通りにいかなかった場合の訴訟の急増などです。
今回のゲスト、小松秀樹さんの著書名でもある『医療崩壊』の原因は大学や病
院だけでなく私たちの中にもありそうです。今医療現場に何が起こっているか、
小松さんと、医療問題を丹念に取材してこられた前村聡さんにお話いただきます。
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★★今回は「開演時間」が変わっておりますのでご注意ください。★★
日 時  : 平成18年10月25日(水)
会 場  : 日本財団ビル2階 大会議室
港区赤坂1-2-2 TEL 03-6229-5111
(http://www.nippon-foundation.or.jp/org/profile/address.html)
開 演  : 午後6時45分(開場:午後6時15分)
ゲスト  : 小松 秀樹(虎の門病院 泌尿器科部長)
前村 聡(日本経済新聞社)
主 催  : 構想日本
定 員  : 160名
フォーラム参加費 :2,000円(シンクネット・構想日本会員は無料です)
懇親会参加費   :4,000円(ご希望の方は下記懇親会参加に○印をつけてください)
※ゲストを囲んで、下記の会場で懇親会を開催いたします。
「トラットリア・イ・プリミ 虎ノ門店」
港区虎ノ門2-2-1 JTビル1F TEL 03-3589-5812
(http://www.ep-tokyo.com/iprimi/toranomon/)
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参加ご希望の方は、10月24日までに出欠の是非を、下記のメールアドレス
にお申し込み下さい。
forum@kosonippon.org
お名前
所属
ご連絡先

懇親会に     参加する      参加しない
—————————————————————–
*参加申し込みに関するお問い合せは、
事務局 木下まで。TEL 03-5275-5665
*内容に関するお問い合せは、
フォーラム担当 西田まで。TEL 03-5275-5607
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