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【No.278】なぜ教育基本法案に「教育振興基本計画」の条項があるのか? ─ 基本法と基本計画がセットになるまでの経緯 ─

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JIメールニュースNo.278  2006.12.8発行
なぜ教育基本法案に「教育振興基本計画」の条項があるのか?
─ 基本法と基本計画がセットになるまでの経緯 ─
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◆◆ 目 次 ◆◆
1.【なぜ教育基本法案に「教育振興基本計画」の条項があるのか?
─ 基本法と基本計画がセットになるまでの経緯 ─】
2.【第113回「J.I. フォーラム」のご案内】
*構想日本ホームページで「ワンクリックアンケート」開催中。
「Q:「教育再生会議」 公開?非公開?」にお答えください。
〔アンケート期間:2006/12/04(月) ~2006/12/17(日)〕
↓     ↓     ↓
http://www.kosonippon.org/cp-bin/wp/enquete/index.php?m_enquete_cd=36
*前回の「ワンクリックアンケート」の投票結果が出ました。
質問は「Q:首長の多選禁止 法律?条例?それとも有権者が判断?」です。
↓     ↓     ↓
http://www.kosonippon.org/cp-bin/wp/enquete/result.php?m_enquete_cd=35
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1.【なぜ教育基本法案に「教育振興基本計画」の条項があるのか?
─ 基本法と基本計画がセットになるまでの経緯 ─】
構想日本 喜多 豊(教育担当)
現在、参議院で議論されている教育基本法案の中に、「教育振興基本計画
(第17条)」という条項があることをご存知だろうか?
この第17条では、政府(文部科学省)が教育の振興を総合的かつ計画的に
推進するための方針、施策その他必要な事項について、基本的な計画を定
める、となっている。そして、第17条の第2項では、地方自治体は国の計画
を受けて、自治体の計画をつくるよう定めている。
これが、政府・与党が進めてきた「小さな政府」と「地方分権」に真っ向から逆
行することは明らかだが、この基本計画がいつどのように教育基本法案に盛
り込まれることになったのだろうか?
時系列で見ていこう。教育基本法に関連する審議会などの議事録を調べると、
「教育振興基本計画」が議論されはじめたのは、2000年3月~同年12月にか
けて開かれた「教育改革国民会議」(小渕首相による私的諮問機関)において
である。
〔2000年5月〕──教育改革国民会議で江崎玲於奈氏(座長)から「教育振興
基本計画の策定等による教育に対する財政面の抜本的拡充」という審議事項
が出された。
[参考HP] http://www.kantei.go.jp/jp/kyouiku/dai4/siryou2.html
〔2000年9月〕──教育改革国民会議の中間報告に、「教育施策の総合的推
進のための教育振興基本計画を」との項目が盛り込まれた。
(※当初は「財政面の抜本的拡充」を目的としていた教育振興基本計画の議
論が「教育施策の総合的な推進」へと拡大。この段階では基本法と基本計画
は別項目として扱われていた。)
[参考HP] http://www.kantei.go.jp/jp/kyouiku/houkoku/0922houkoku.html
〔2000年11月〕──教育改革国民会議の席上で、江崎氏が「教育についても
国際的に日本の政府は公共資材を十分に出していない。やはり教育基本法と
できれば連動したような格好で教育基本計画を作るべきだ」と発言するなど、
基本法と基本計画を結びつける議論が行なわれる。
[参考HP] http://www.kantei.go.jp/jp/kyouiku/dai11/11gijiroku.html
〔2000年12月〕──教育改革国民会議の答申に、「他の多くの基本法と同様、
教育振興基本計画策定に関する規定を設けることが必要である」との記述が
盛り込まれた。
(※教育基本法と教育振興基本計画がセットに。)
[参考HP] http://www.kantei.go.jp/jp/kyouiku/houkoku/1222report.html
〔2001年11月〕──教育改革国民会議の答申を踏まえて、文部科学大臣(遠
山敦子氏)から中央教育審議会へ、「教育振興基本計画の策定について」と
「新しい時代にふさわしい教育基本法の在り方について」を諮問。
(※教育振興基本計画の策定自体が目的化。)
[参考HP] http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/gijiroku/001/
011102/011102a.htm
〔2002年2月〕──諮問に対する議論が行なわれた中央教育審議会の基本問
題部会の第1回。「教育振興基本計画(柱立て)〈素案〉」が資料として配布され
るなど、はじめから「教育振興基本計画はつくるものだ」という前提で議論が進
む。その後、基本問題部会は28回開催される。
[参考HP] http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/gijiroku/002/
020201/020201e.htm
〔2003年3月〕──中央教育審議会が「新しい時代にふさわしい教育基本法と
教育振興基本計画の在り方について」を答申。
[参考HP] http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/
toushin/030301.htm
〔2003年5月〕──中央教育審議会の答申を受け、「与党教育基本法に関する
協議会」を設け、具体的な法案づくりを開始。
[参考HP] http://www.mext.go.jp/b_menu///shingi/chukyo/chukyo0/gijiroku/001/
04081301/010.pdf
〔2006年4月〕──与党協議会の最終報告を受け、政府案を閣議決定。
[参考HP] http://www.mext.go.jp/b_menu/kihon/data/06053001.pdf
http://www.mext.go.jp/b_menu/kihon/houan.htm
このように一連の流れを振り返り、審議内容を調べていくと、教育振興基本計
画策定が段々と主役の位置を占めるようになった流れが浮き彫りになる。これ
が文部科学省の強い意図であるのは明らかではないだろうか。
「国が教育全体の責任をとるのは当然だ」という意見もあるが、それならば、政
党がマニフェストのような形で示し、国民の支持を問うというのが、民主主義の
ルールだろう。現在起きている教育に関する多くの問題に対し、その最大の責
任を負うべき官庁が自らの責任を明らかにせず、さらに網羅的なコントロールを
及ぼすということでいいのだろうか? 教育基本法改正が将来に禍根を残すこ
とがないよう、また、せめて運用面で歯止めがかけられるよう、参議院の審議
の中できちんとした議論をしてほしい。
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2.【第113回「J.I. フォーラム」のご案内】
日程&場所は下記のとおりです。魅力的なゲストがどんどんやってくる。
お楽しみに!
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日 時  : 平成18年12月20日(水)
会 場  : 日本財団ビル2階 大会議室
港区赤坂1-2-2 TEL 03-6229-5111
(http://www.nippon-foundation.or.jp/org/profile/address.html)
開 演  : 午後6時30分(開場:午後6時)
主 催  : 構想日本
定 員  : 160名
フォーラム参加費 :2,000円(シンクネット・構想日本会員は無料です)
懇親会参加費   :4,000円
(ご希望の方は下記懇親会参加に○印をつけてください)
※ゲストを囲んで、下記の会場で懇親会を開催いたします。
「トラットリア・イ・プリミ 虎ノ門店」
港区虎ノ門2-2-1 JTビル1F TEL 03-3589-5812
(http://www.ep-tokyo.com/iprimi/toranomon/)
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参加ご希望の方は、12月19日までに出欠の是非を、下記のメールアドレス
にお申し込み下さい。
forum@kosonippon.org
お名前
所属
ご連絡先
懇親会に     参加する      参加しない
————————————————————–
*参加申し込みに関するお問い合せは、
事務局 木下まで。TEL 03?5275?5665
*内容に関するお問い合せは、
フォーラム担当 西田まで。TEL 03?5275?5607
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(ワンポイント解説)をはじめました。
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