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【No.282】〔年末増刊号〕アメリカ中間選挙:共和党内の一部の本音

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JIメールニュースNo.282  2006.12.25発行
〔年末増刊号〕
アメリカ中間選挙:共和党内の一部の本音
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◆◆ 目 次 ◆◆
1.【アメリカ中間選挙:共和党内の一部の本音】
*構想日本ホームページで「ワンクリックアンケート」開催中。
「Q:安倍政権の100日」にお答えください。
〔アンケート期間:2006/12/18(月) ~2007/01/07(日)〕
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http://www.kosonippon.org/cp-bin/wp/enquete/index.php?m_enquete_cd=37
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1.【アメリカ中間選挙:共和党内の一部の本音】
跡見学園女子大学マネジメント学部助教授
中林 美恵子
今年のアメリカ中間選挙は(日本でも大きく報道されたように)予想通りの大荒
れだった。共和党側の上院予算委員会に長く勤務し、そこで政策理念を育て
られた私は日本生まれの共和党育ちと自負しているだけに、心穏やかでいら
れなかった。選挙前に上院の廊下で民主党側の予算委員会スタッフに声をか
けられたが、「今年の選挙は面白くなるね」などと口を滑らされた時には、心底
嫌味に感じてしまった。
選挙の時ほど民主主義(民主統治)の厳しさと痛みにさらされる時はない。今で
こそアメリカ議会の外に居る私は安泰だが、選挙というのは、正規採用の議会
スタッフ(インターンやフェローは雇用されていないので議会スタッフとは称され
ない)にとって、決して楽しいものとは言えないのだ。初めて私が議会勢力の大
逆転に直面したのは1994年の中間選挙だった。共和党側の人間として勢力拡
大に喜ぶ立場だったにも拘らず、「何でも反対」で許された気軽な少数党スタッ
フから責任ある多数党スタッフの立場に変わることに重責を感じ、職場の雰囲
気は当初重苦しささえ漂ったものだ。そのとき少数党に転落した民主党側の衝
撃はもっと大きく、文字通り廊下やオフィスですすり泣く若いスタッフもいた。冷
徹かつ厳正な民主主義(民主統治)の本質を身に染みて感じたものである。
今年の中間選挙では、その逆が起こったことになる。私のかつての同僚や仲
間たちはどんなに肩を落とし悲壮な状態かと心配しながら、恐る恐るキャピトル
・ヒルに足を運んだ。しかし実際には、少なくとも比較的中道的なスタッフたち
は、少々予想と違っていた。何人かから「民主党が勝って実は多少ヨカッタと
思ってる・・・」と聞かされたときには、思わず我が耳を疑った。マスコミや地元
有権者に言ったら問題になりそうな、仲間内の本音だった。
その理由について、とっさに「これからの政策の舵取りが極度に難しいから、民
主党に投げてしまえということか」と訊いたら、答えは違っていた。共和党の大
統領の下で議会を主導し続ける中で、中道的な意見の発信や行政府に対する
チェック&バランスの機能を発揮したくても、大統領府に押さえ付けられてしまう
傾向が長く続き、「このままでいいのだろうか」という思いが(軍事や財政政策な
どを中心に)芽生えていたというのである。だからと言って民主党の理念が通る
ような時代を望んでいるわけでは決してないのだが、こうした発言が複数あった
ことに、私は驚いた。後で、全く別の元上院議員スタッフにこの話をしたところ、
彼も同じようなことを聞いているというのである。
共和党に対し宗教右派やネオコンといった分かり易いレッテル張りが盛んな時
期があったが、マスコミの、それも日本に流れてくる情報の薄っぺらさを、改め
て痛感させられる側面であった。
*中林美恵子(なかばやし みえこ)氏のプロフィール
1992年ワシントン州立大学大学院にて政治学修士号。在学中に米国永住権を
取得し、大学院卒業の年にアメリカ連邦議会上院予算委員会に正規採用(国
家公務員)され、約10年間勤務。2002年より独立行政法人経済産業研究所研
究員などを経て現職。
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