【No.325】第22弾「事業仕分け」(埼玉県久喜市)に参加して
2007.11.09

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JIメールニュースNo.325  2007.11.9発行
第22弾「事業仕分け」(埼玉県久喜市)に参加して
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◆◆ 目 次 ◆◆
1.【第22弾「事業仕分け」(埼玉県久喜市)に参加して】

*構想日本ホームページで「ワンクリックアンケート」開催中。
「Q:「政治とカネ」、何が本質的問題なのか?」にお答えください。
〔アンケート期間:2007/11/01(木) ~2007/11/18(日)〕
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https://www.kosonippon.org/wp-manager/enquete/index.php?m_enquete_cd=49
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1.【第22弾「事業仕分け」(埼玉県久喜市)に参加して】
三浦市政策経営部
政策経営課長 石渡秀朗
11月3日(土)と翌4日(日)の両日、埼玉県久喜市で行われた行政の「事業
仕分け」に参加した。2班編成で行われた事業仕分けの初日は1班の外部評
価者、2日目は2班のコーディネーターとしてである。
事業仕分けとは、そもそもその事業が必要なのか、必要な場合サービスの担
い手は行政か民間か、行政が行うにしても改善が必要か、などの仕分けを外
部の評価者や市民により公開の場で行うものである。初期の事業仕分けは、
三位一体改革が叫ばれ始めたころであり、国と地方の役割を見直すことに主
眼を置き、一般会計事業全体を対象に仕分けすることが多かった。しかし最近
は、具体的な行財政改革のツールとして、対象事業を選定し、久喜市におい
ても44事業が選定されテーブルに載せられた。
ここで重要なのは、テーブルに載せる事業選択の良し悪しだ。その適否により、
事業仕分けそのものの成果に大きい差が出る。作業終了後に求めたギャラリ
ーの感想の中で「○○事業は事業仕分けの対象とすべきではない」という意
見があった。外部評価者であった筆者は、思わず「事業仕分けに聖域はない」
と答えてしまったが、説明が足りなかったと反省している。事業選択には裁量
が働き、それによって事業仕分けの成果が決まるといっても過言ではないが、
事業選択において、どこでも通用するような客観的統一基準を設けることは難
しい、と説明を付け加えるべきであった。
久喜市の場合はどうであろう。久喜市の関係職員には失礼な推測であるかも
しれないが、今後事業仕分けをされる自治体職員の参考になればと思うので、
筆者の推測に基づく個人的意見という見地でお許しいただきたい。
今回仕分けをした44事業の選定基準は、久喜市で行っている事務事業評価
の中で「市以外でもできる事業」となったものが中心だそうで、明確とは言え
ない。“市関与の妥当性”を記した欄に「民間委託が可能」とされている複数
の事業について、具体的な手法についてのお考えを担当者に尋ねたが、決ま
って「具体的な考えはなく、まったく可能性がないとは言えないから」という回
答である。事業選択の基準が改革推進課の曖昧な判断により行われている、
ということにならないか。
住民は選挙を通して首長に行政の執行権を委任しており、自治体職員は首
長の補助執行機関であるから、最終的には役所の職員が事業選択を行うの
が通常である。ただ一方で、事業仕分けによる受益者は住民であるべきであ
り、その意味で、選定において住民の意思が反映される仕組みも検討の余
地があるのではないか。
ちなみに今回、久喜市のテーブルに載せられた44事業は、一般会計予算総
額約206億円の3%にすぎない。これで十分な成果を出せるのだろうか・・・。
この事業仕分け作業は、コーディネーター、外部評価者などのすべてがボラン
ティアで参加しているが、それでも旅費など若干の実費はかかる。この作業に
費やした職員や我々外部参加者の時間と労力、そして税金を無駄にしないた
めにも、期待する成果を明確にし、適正かつ的確な判断による事業選択がされ
るべきだと思う。また、裁量が恣意的にならないためには、住民または外部の
意見を取り入れた事業選択の検討も必要かもしれない。

*石渡 秀朗(いしわた ひであき)氏のプロフィール
1955年生まれ。1977年、大学卒業後に三浦市役所入庁。税務、経済、教育、
財政、環境、企画を歴任し、現在に至る。構想日本が行った22回の事業仕分
けのうち、12回に参加。
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