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【No.331】教育における国の役割を根本的に見直せ

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JIメールニュースNo.331  2007.12.21発行
教育における国の役割を根本的に見直せ
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◆◆ 目 次 ◆◆
1.【教育における国の役割を根本的に見直せ】
2.【第23弾「事業仕分け」のご案内】

*2007年最後のJIメールニュースです。本年もご愛読いただき、ありがとう
ございました。新年は、1月11日(金)より配信をスタートする予定です。
今後とも変わらぬご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
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1.【教育における国の役割を根本的に見直せ】
古山 明男
(構想日本・教育プロジェクト)
政府が『教育振興基本計画』を作る権限が、教育基本法の改正によって生
まれ、今年度末に最初の計画が出される。この計画が、文科省と自治体と
学校の役割分担を見直さないまま進められているので、なし崩し的中央集
権が進むことを懸念している。
平成18年度から国の義務教育費負担は1/3となったが、地方への権限
移譲はそれに見合っていない。昭和23年以来、公立学校は各教育委員会
が運営責任者であり、文科省は指導・助言する立場であるというのが建前
である。しかし、今も昔も、文科省が円周率の教え方を3にしたとか、算数が
週1時間増えたとかの報道で、日本中が大騒ぎする。このようなことは、本
来は地方ごと学校ごとに実情に合わせればよいことではないのか。
また、学校教育法の改正では、副校長、主幹教諭、指導教諭などの役職が
作られたが、学校の内部運営までいちいち国法が関与することもおかしい。
戦後、教育は地方分権の建前であったが、文部省は『学校教育法』によっ
て、法的拘束力のあるナショナル・スタンダードを全国に課すことができ、そ
の枠の中でだけ地方自治が存在する。今の教育問題は、教育が現場に任
されたから起ったのではなく、文科省の画一的なコントロールによるところが
大きい。
日本教育の最重要課題は、知識・技能詰め込み型教育からの転換と、学校
と保護者の信頼関係の樹立である。文科省もその方向を目指す動きはして
いるが、中央からの権限移譲なしに行っているので実効が上がらず、かえっ
て昔に戻ろうとする動きを招いている。
今後必要なのは、たとえば、文科省が設定する教育内容は全授業時間の
半分程度にとどめる、校内運営方式は地方に一任する、など国の役割をナ
ショナル・ミニマムにとどめることである。
近年の教育改革の例としてイギリスとフィンランドがよく引き合いに出される。
イギリスは、教育内容のナショナル・スタンダードと学校査察機関を作り、学
校に学力の数値目標を課した。この改革は学校の責任体制を明確化したが、
学校の学力序列が発生し、国の学力テストに焦点を合わせた点数教育が
蔓延した。国際学力調査でも結局のところ伸びていない。
フィンランドは、思い切った分権改革を行った。教科書を自由出版・自由採
択とし、学校査察制度を廃止した。学校自治を高め、学校が保護者や生徒
に対して責任をとる態勢を作った。その結果、PISA学力調査の結果も急上
昇して世界の注目を集めた。
日本の教育問題の根底には、画一的な教育とそれを強いてきた教育行政
がある。これの見直しが必要であり、教育改革と称してイギリスの真似をす
ると症状をかえってひどくすると思われる。日本では、フィンランドのような分
権型の方向を取るべきである。

※構想日本の「教育行政」プロジェクト
【提言】「教育振興基本計画」に関するパブリックコメントに意見を提出
http://www.kosonippon.org/cp-bin/wp/project/detail.php?m_project_cd=600&m_category_cd=19

*古山 明男(ふるやま・あきお)氏のプロフィール
1949年、千葉市生。出版社勤務ののちフリー。私塾、フリースクールを主
宰。20年間ほど、補習、受験、自主性涵養、不登校児童生徒援助、教育
相談など、地域のニーズに応じた教育活動を行う。
教育行政システムを論じた著書に「変えよう!日本の学校システム」(平凡
社)。
ホームページ「古山明男の教育論集」
http://www.asahi-net.or.jp/~ru2a-frym/
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2.【第23弾「事業仕分け」のご案内】
2008年「事業仕分け」のスタートは
神奈川県大磯町
構想日本が2002年から行なっている行政の「事業仕分け」は行財政改革
の切り札です。予算編成に反映させた結果、1割もの事業を削減できたと
いう具体例もあります。この実績を背景に、50以上の自治体から問合せが
あり、実施希望の順番待ち状態です。
今回は、三好町長が選挙公約に掲げて当選したことを受けてのもので、初
の「町」での実施です。行政が住民に密着しているだけに新しい成果が期
待できます。
行政の方、自分の地域を何とかしたいという方、お誘いあわせのうえ、喧々
諤々の議論をご覧ください。必ず地域再生の大きな参考になると思います。
【日時】 2008年2月9日(土)9:00~16:00
※入退室自由です。ご都合の良い時間帯にお越しください。
【会場】 大磯町保健センター(大磯町役場内)
(神奈川県中郡大磯町東小磯183  TEL:0463(61)4100 )
【対象】 大磯町の一般会計事業(20事業程度)
【参加者】 事業説明者:大磯町役場職員
評価者、コーディネーター:「明日の地方財政を考える会(自治
体職員有志の研究会)」メンバー、構想日本スタッフ
≪「経済財政諮問会議」で「国の事業仕分け」が議題に登場!≫
11月1日の「経済財政諮問会議」で「国の事業仕分け」が、初めて議題とし
て取り上げられました。
民間議員の伊藤隆敏氏(東京大学大学院教授)、丹羽宇一郎氏(伊藤忠
商事会長)、御手洗冨士夫氏(キャノン会長)、八代尚宏(国際基督教大学
教授)4氏の連名で提案されています。
この提案は実現へ向けての大きな一歩と捉え、更に働きかけをしてまいり
ます。 http://www.keizai-shimon.go.jp/ からご確認ください。
≪事業仕分けとは・・・≫
・国や自治体の行政サービスについて、予算書の項目ごとにまず要否の
議論をする。
・その上で、実施主体(官か民か、国か地方か)を議論
・「外部の目」を入れる
・「公開の場」で議論する
●これまでの実例をもとにポイントをまとめた、構想日本編『入門 行政の
事業仕分け』(ぎょうせい刊・1,800円)のご注文も下記にて承ります。
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ご参観ご希望の方は、2月7日までに出欠の是非を、下記のメールアドレス
にお申し込み下さい。
forum@kosonippon.org
お名前
所属
ご連絡先
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*お問い合せは、 西田/伊藤まで。TEL 03-5275-5607
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