【No.363】公会計改革を地方分権推進の突破口に
2008.08.22

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JIメールニュースNo.363  2008.8.22発行
公会計改革を地方分権推進の突破口に
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◆◇ 目 次 ◇◆
1.【公会計改革を地方分権推進の突破口に】
2.【第133回「J.I. フォーラム」のご案内】
3.【第30弾 千葉県館山市 「事業仕分け」のご案内】

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1.【公会計改革を地方分権推進の突破口に】
草加市 市長付地方主権推進担当 特命理事
中村 卓
構想日本が公会計改革の問題を取り上げたのは、8年ほど前のことであろ
うか。やがて国も動き始め、平成19年、全国自治体に財務諸表の作成、
公表が義務づけられることが決まった。
総務省曰く。「発生主義を活用するとともに複式簿記の考え方の導入をはか
り、・・・連結ベースで公会計の整備を推進する。」
さらに平成19年には「地方財政健全化法」が制定され、病院などの公営企
業会計や地方公社、第3セクターとの関係も含めて、4つの財政指標の追
加作成が義務づけられた。トータルに自治体の財政状況をチェックし、財政
破綻に至る前に、早めに健全化をはかることを意図しているという。
これら、国が推進する広義の公会計改革自体に異存はない。だが、自治体
の現場では、その意義を共有しにくいいくつかの問題を感じている。
ここでは、その代表例を挙げよう。
例えば、単年度会計の縛りの問題である。
企業が用いる発生複式会計は手間がかかる。カネとモノ、債権と債務の関
係を、株主等にいつでも説明できるようにしておかなければならないからだ。
それは、企業経営者が競争に不可欠な自由な経営を保障されていることと
裏腹の関係にある。
自治体経営も同様だ。発生複式型を取り入れるなら、企業経営のメリットも
取り入れ、単年度会計の縛りなどから開放して、自治経営の自由度を高め
るのが筋だろう。
ある市では、合併による広域化に対応し、工事検査職員を10名から14名
に増員したが、それでも年度末に集中する工事と検査に対処し切れず、
22名の応援職員を動員していると聞いた。工事時期を分散させる努力をし
ているが、いまの年度刻みの会計制度や国庫補助制度などの縛りのもとで
は限界があるという。
工事業者も大変だ。繁忙期にあわせて人や資機材を揃えれば、閑散期は
余剰となる。これは全国的な問題で、業界全体として、安定した経営や雇
用が図りにくい要因であろう。工事に限らず、公共事業全体が年度の後半
に集中し、かつ年度末の支払額と出来高をあわせるための検査に大わら
わの現状は、この分野の生産性、経済効率を著しく阻害しているのである。
地方債(自治体の借金)は、2年前、国の許可制から協議制になったが、
借金の返済額と地方交付税の割当額がリンクしていることもあって、事業
毎の個別協議という不自由な方式は変わらない。例えば、学校と公民館の
統合施設を建設する場合、学校部分と公民館部分は、別々の資金が別々
の割合で割り当てられる。施設毎に詳細な面積や工事費などを算出し、
個別協議するのだ。
これも、新財政指標で透明度が増すのだから、総枠の許容範囲で自由に
資金調達できるようにするのが筋だろう。事務は合理化され、経営の自由
度も高まる。地方交付税目当ての借金が減って、財政破綻もむしろ防ぎや
すくなるはずだ。これら、自治経営の自由化で得られるメリットは大きい。
今、政府が取り組む地方分権改革が様々な壁に遭遇しているという。
自治体も、分権という名で新たな事務・事業や義務づけが課せられるばか
りでは、前向きになりにくい。自由度が高まるというメリットが感じられる分
権改革が必要だ。契約や金銭出納、資金調達などと、これらに関する年度
の縛りを緩和することは、経営自由化の最も基本的な要素である。公会計
改革をこの分野の規制改革へと発展させ、メリットを実感できるようにする
ことは、実りある地方分権改革推進への突破口ともなるのではないかと思
われる。
*中村 卓氏のプロフィール
中央大学法学部卒業
民間調査会社を経て草加市勤務
企画調整課、都市計画課、草加駅東口再開発事務所(副所長)、
財政課(課長)勤務後、第3セクター「アコス(株)」派遣。
同社事業部長、代表取締役常務を経て草加市復職。
企画財政部長、総合政策部長を務めた後、市長付特命理事となり、
現在に至る。
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2.【第133回「J.I. フォーラム」のご案内】
銀座もピンチ!?
~一人勝ちの銀座とシャッター通りに共通するもの~
かたや、世界のブランドが集まる日本一の商店街、銀座。かたや、
全国各地のシャッター通り。その共通点とは、街の歴史をつくり支
えてきた老舗と外からの大資本との関係です。外からの資本は経済
的には有難い。一方で、そればかりになると、街の個性、味がなく
なる。今回は、華やかな表通りだけではなく路地や裏通りに息づく
奥深い銀座の魅力を、大切に引き継ぎ、様々なかたちで活かして銀
座の表情を守っていこうとしている方々のお話をうかがいます。
きっと、全国各地のまちづくりにも生かせるヒントがあると思いま
す。
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日 時  : 平成20年8月27日(水)
会 場  : 日本財団ビル2階 大会議室
港区赤坂1-2-2 TEL 03-6229-5111(代)
(http://www.nippon-foundation.or.jp/org/profile/address.html)
開 演  : 午後6時30分(開場:午後6時)
ゲスト  : 関根 辰男(株式会社せきね(呉服店)社長)
中村 千恵子(株式会社十字屋 社長)
岸 久 (スタア・バー・ギンザ 代表)
GMナイル(ナイルレストラン 社長)
田中 淳夫(銀座ミツバチプロジェクト蜂の世話人
/銀座紙パルプ会館 常務)
コーディネーター:加藤 秀樹(構想日本 代表 )
主 催  : 構想日本
定 員  : 160名
フォーラム参加費 :2,000円(シンクネット・構想日本会員は無料です)
懇親会参加費   :4,000円
(ご希望の方は下記懇親会参加に○印をつけてください)
※ゲストを囲んで、下記の会場で懇親会を開催いたします。
「トラットリア・イ・プリミ 虎ノ門店」
港区虎ノ門2-2-1 JTビル1F TEL 03-3589-5812
(http://www.ep-tokyo.com/iprimi/toranomon/)
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参加ご希望の方は、8月26日までに出欠の是非を、下記のメールアドレス
にお申し込み下さい。
forum@kosonippon.org
お名前
所属
ご連絡先
懇親会に     参加する      参加しない
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*参加申し込みに関するお問い合せは、
事務局 木下まで。TEL 03-5275-5665
*内容に関するお問い合せは、
フォーラム担当 西田まで。TEL 03-5275-5607
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3.【第30弾 千葉県館山市 「事業仕分け」のご案内】
~ 千葉県館山市 ~
構想日本が2002年から行なっている行政の「事業仕分け」は行財
政改革の切り札です。実績が全国に浸透し、過去1年の間に加速
度的に広まり今年度は12の自治体で実施予定です。さらに、つい
に国の事業仕分け(自民党の政策棚卸しとして実施)も始まりました。
館山市は2005年に「行財政改革プラン」を策定しており、今回は更な
る改善に向けて、事業仕分けを実施する運びとなりました。
地域再生は具体的な取り組みの中から成果が出ます。行政の方、
自分の地域を何とかしたいという方、報道の方、お誘いあわせのうえ、
侃々諤々の議論に傍聴参加ください。
【日時】平成20年8月23日(土) 午前9時30分~午後16時30分
※入退室自由です。ご都合の良い時間帯にお越しください。
【会場】館山市コミュニティセンター
第1集会室(千葉県館山市北条740-1)
会場に関するお問い合わせは、
総務部行革財政課(0470-22-3235)まで。
【対象】館山市の事務事業(9事業)
【参加者】事業説明者:館山市役所職員
「仕分け人」(評価者)
コーディネーター:構想日本事業仕分けチーム
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≪ついに国の事業仕分けを実施!第一弾は文部科学省≫
去る8月4日、5日の2日間、自民党「無駄使い撲滅プロジェクトチーム」
主催、構想日本協力により、文部科学省の「政策棚卸し」(事業仕分け)
を実施しました。
新聞主要各紙やTV各局及び、述べ700人の傍聴者が見守る中、自民
党議員や有識者からなる評価者と、文部科学省の担当者が白熱した
議論を展開。今回の作業が全府省での実施に繋がるよう、引き続き働
きかけをしてまいります。
評価結果等は、河野太郎議員や構想日本のホームページでご覧頂けます。
≪事業仕分けとは・・・≫
・国や自治体の行政サービスについて、予算書の項目ごとにまず要否の議
論をする。
・その上で、実施主体(官か民か、国か地方か)を議論
・「外部の目」を入れる
・「公開の場」で議論する
※構想日本のホームページ「事業仕分け」もご覧ください。
https://www.kosonippon.org/wp-manager/project/list.php?m_category_cd=16
●これまでの実例をもとにポイントをまとめた、構想日本編『入門 行政の事
業仕分け』(ぎょうせい刊・1,800円)のご注文も下記にて承ります。
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ご参観ご希望の方は、出欠の是非を、下記のメールアドレスにお申し込み
下さい。
forum@kosonippon.org
お名前
所属
ご連絡先
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*お問い合せは、 西田/伊藤まで。TEL 03-5275-5607
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