【No.386】雇用崩壊から見えてくる「ネズミ講社会」の終わり
2009.02.06

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JIメールニュースNo.386  2009.2.6発行
雇用崩壊から見えてくる「ネズミ講社会」の終わり
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◆◇ 目 次 ◇◆
1.【雇用崩壊から見えてくる「ネズミ講社会」の終わり】
2.【2月8日大阪市で事業仕分けのご案内】

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1.【雇用崩壊から見えてくる「ネズミ講社会」の終わり】
フリーライター 宮島 理

格差と貧困、労働問題が絡み合い混乱している。世代闘争、階級闘争、
さらには労労闘争(正社員vs非正社員)が煽られるが、みんなどこか居心
地が悪い。その背景には、これまで先送りされてきた問題が、いよいよ避
けられなくなってきたという直感があると思う。それを認めたくない人が、
昔の学生運動のようなパロディに没頭しているのだろう。
バブル崩壊後、問題を先送りした日本経済は生産性が低下し、長期不況
となった。その中で就職氷河期が発生し、新卒至上主義の壁に阻まれた多
くの人が、既存の企業から拒絶され、ベンチャーや非正社員に流れていっ
た。
意外に思われるかもしれないが、バブル崩壊前と比べて、35歳以上にお
ける正社員の割合は増加している。格差についても、中高年の世代内所得
格差は小泉政権下で縮小した。一方、35歳以下では、正社員の割合が減少
し、非正社員が増えた。世代内所得格差も拡大している。
既得権層が生産・雇用調整を怠り、参入障壁を維持したことで、新規参
入者が割を食ったというのが諸問題の核心だ。若年層だけでなく「下請
け切り」された中高年も再チャレンジできずに苦しんできた。しかし今、
特定の人々にしわ寄せされてきた長期不況と雇用制度の弊害が、ごまか
しきれなくなっている。
必要なのは、右肩上がりやバブルを前提とした「20世紀型資本主義
(*1) =ネズミ講社会」の残存状況を解消して、イノベーション型の
「21世紀型資本主義 (*2)=再チャレンジ社会」を整備することだ。
年齢・性別に関係なく、働きに応じて賃金とポス
トを受け取り、ワークライフバランスを重視する。自分でキャリアパス
を設計しなければならない厳しい社会ではあるが、「社畜」でも「使
い捨て」でもない人生が可能となる。
結局のところ、生産性が伴わなければ、経済も雇用も長続きしない。
その現実をまず認めた上で、セーフティネット(公的支援、寄付税制)
を整備し、雇用マッチング(民間中心の教育・人材サービス業)を促進
することが必要だ。

(*1) 20世紀型資本主義とは…
将来の年金、高賃金、ポストをエサに、若年層が低賃金、会社への忠誠、
税負担(保険料、国債発行の将来増税分)を容認してきた社会。右肩上が
りやバブルという前提が崩れると持続不可能だが、特定の人々に問題をし
わ寄せすることで延命してきた。「既存従業員を守る」という目先の善意
で労使が問題を先送りし、新卒切りや下請け切りが繰り返された。

(*2) 21世紀型資本主義とは…
生産性に基づく持続可能な社会。迅速な生産・雇用調整と再チャレンジ、
イノベーションによって堅実に成長する社会であり、特定の人々に長期的
な問題を押しつけない。

*宮島 理(みやじま ただし)氏プロフィール
1975年生まれ。山形出身の大阪育ち。現在は関東在住。
東京理科大学理学部物理学科中退後、IT系企業設立を経て1996年、
フリーライターに。
著書に『就職氷河期世代が辛酸をなめ続ける』(洋泉社)など。
ホームページはhttp://miyajima.ne.jp/

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2.【2月8日大阪市で事業仕分けのご案内】
―第38弾 自治体の「事業仕分け」―
2月8日、大阪市事業仕分け実施
~京都府に続き、近畿地方で連続開催~
構想日本が2002年より行ってきた行政の「事業仕分け」。歳出削減の
効果や、職員、住民の意識改革などの実績が浸透し、昨年は自治体で
14回(12自治体)、国では4省が実施し、全国の自治体をはじめ、報道
関係者や一般市民など各方面からますます多くの反響をいただき、今や
行財政の切り札として定着しつつあります。
約270万の人口を抱える大阪市。政令指定都市での実施は、横浜市、
浜松市に続き3都市目です。平松邦夫市長が「市政改革基本方針に
基づく今後の取組方針」に事業仕分けの実施を掲げ、強いリーダー
シップによって実行に移したことにより実現します。今回の特徴は、
民間活用と市民参画の視点を重視している点です。
百聞は一見に如かず、まずは侃々諤々の議論を傍聴し、その威力を
確かめて下さい。
【日時】 2009年2月8日(日) 9:30~17:00
※入退室自由です。ご都合の良い時間帯にお越しください。
【会場】 大阪市職員人材開発センター
7階講堂(受付・第1会場)及び5階大教室(第2会場)
(大阪市阿倍野区阿倍野筋3-13-23 あべのフォルサ内 )
※会場に関するお問い合わせは、
行政評価担当(06-6208-9757)まで
【対象】 大阪市の事務事業(20事業/2班体制)
【参加者】 事業説明者:大阪市職員
「仕分け人」(評価者)、コーディネーター:
構想日本事業仕分けチーム、大阪市民等
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≪国の事業仕分け:4省事業の約14%が「国から手離すべき」≫
構想日本が自民党無駄撲滅プロジェクトチーム(座長:園田博之衆議院
議員)に協力して行っている「政策棚卸し」=事業仕分け。昨年8月から
12月にかけて、文科省、環境省、財務省、外務省について実施しました。
その結果、4省で約3500億(事業費合計の約14%)が「国から手離すべき」と
判定されました。行政各機関で“財源不足”が騒がれている今こそ、ゼロ
ベースで行政の担うべき事業を再考し、無駄や重複を排除していくことが
必要です。
今年は他省庁についても事業仕分けを実施するよう、構想日本では引き
続き働きかけていきます。皆さんからも声を上げていただき、世論喚起を
お願いいたします。
評価結果など詳細につきましては、構想日本HPをご覧ください。
≪事業仕分けとは・・・≫
・国や自治体の行政サービスについて、予算書の項目ごとにまず要否の
議論をする。
・その上で、実施主体(官か民か、国か地方か)を議論
・「外部の目」を入れる
・「公開の場」で議論する
※構想日本のホームページ「事業仕分け」もご覧ください。
https://www.kosonippon.org/wp-manager/project/list.php?m_category_cd=16
●これまでの実例をもとにポイントをまとめた、構想日本編『入門 行政の
事業仕分け』(ぎょうせい刊・1,800円)のご注文も下記にて承ります。
————————————————————–
ご参観ご希望の方は、出欠の是非を、下記のメールアドレスに
お申し込み下さい。
forum@kosonippon.org
お名前
所属
ご連絡先
————————————————————–
*お問い合せは、 西田/伊藤/塩野まで。TEL 03-5275-5607
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