【No.39】地方分権改革:抽象的な議論を打破する画期的な試み
2002.03.22

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地方分権改革:抽象的な議論を打破する画期的な試み
JIニュースNo.39  2002.3.22
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■■ 目次 ■■
1.《コラム蒼天日本》
地方分権改革:抽象的な議論を打破する画期的な試み
2.《キャンペーン報告》土壌汚染対策-Part4
3.《お知らせ》教育ホームページ 新入荷!
4.《今月のJ.I.フォーラム》
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《コラム蒼天日本》
地方分権改革:抽象的な議論を打破する画期的な試み
JI政策スタッフ 大内 隆美

現在、政府は、地方分権改革推進会議の場で、国と地方の事業分担の
見直しについての議論を進める一方、税制改革の一環として、地方へ
の税財源配分の見直しを検討しています。配分の見直しについては、
消費税や所得税の一部を地方に移す案が出ていますが、そもそも「国
と地方の税財源のあり方」を考えるには、まず、国と地方の事業分担
を具体的に見直すことが不可欠です。しかし、現在の議論の中身を見
ると、事業分担の見直しに当たっての論点整理や当面の指針にとどま
り、抽象的な議論の域を出ていません(地方分権改革推進会議「中間
論点整理」参照
http://www8.cao.go.jp/bunken/chukan-ronten/siryo.html )
●史上初の画期的な試み
そこで、構想日本では、その現状を打破するために、12県の知事と
行っている「国と地方の税制を考える会(座長:平松守彦大分県知事
)」の活動の一環として、ある県の事業を、「国」「県」「市町村」
「民間」に具体的に仕分ける作業を試みました。先月末に、7県の財
政・税務担当者有志約20名が、「住民のニーズに最も合うかたちで
効率的にサービスを提供するには、どこが事業を行うべきか」という
視点から、泊り込み(一泊二日)で約7000もの事業項目を振り分
ける作業を行いました
(作業結果は、 https://www.kosonippon.org/wp-manager/doc/?no=130 をご覧く
ださい)。あくまで今回は、手始めの試み、それも限られた時間のな
かでの作業で、今後、仕分けの基準を含め精査の必要はあります。政
策判断として別の考え方もあるでしょう。しかし、少なくともこの作
業は、国と地方の業務分担のあり方の議論に一石を投じるもので、地
方自治の歴史に残る画期的なことです。
また、内容もさることながら、参加した担当者にとっても意義のある
ものでした。”参加者に対する事業の説明や質問への応答を通して、
自県の事業内容やそのあり方についての理解が深まった(予算書提出
県の財政課職員)”、”いずれはすべての自治体がやらなければいけな
いこと。将来、自分の県で同じことを行う時のイメージを持つことが
できた(参加県の予算調整課職員)”等々。私もその場にいましたが、
実のところ、始めは戸惑っている様子でした。しかし、次第に議論は
活発になり、楽しみながらも意見をぶつけあっていました。懇親会の
場でも、”国と市町村の間にある「県」の役割って何だ”など、みなさ
ん、熱のこもった議論をされていました。
●具体的な提言に向け本格的に始動
3月15日に行われた「国と地方の税制を考える会」の第5回会合で
は、この作業結果をもとに議論、そして問題提起がなされました。ま
ず、今回の仕分け作業については、どの知事も、国と地方の事業分担
を「具体的に」見直す足がかりとして高く評価、今後、他県において
、市町村の職員にも参加してもらうかたちで実施することになりまし
た。事業分担の見直しについては、”事業に対する住民のニーズを一
番身近に把握できるところが、サービスの提供のあり方を決めるべき
“とする一方で、”市町村や民間へのシフトの可否には地域差があり、
一律的には決められない”、また、税財源配分については、”やるべき
事業に必要な財源の調達については、自治体にフリーハンドを与える
べき”だが、”配分の見直しとともに、事業を担う「人材」の確保が不
可欠”、”国の借金返済の一部を自治体が負わされる可能性を否定でき
ないことを考えると、国の予算内容を自治体が検証すべき権限ないし
義務があるのでは?”などの意見が出されました。
構想日本では、会合で出た論点を盛り込んだ上で、今後、複数県での
仕分け作業および分析を行い、地方の事業や税財源の見直しについて
の具体的な提言をまとめていく予定です。そのなかで、「地方分権が
国民の生活にどういうメリットをもたらすのか」という点をも明らか
にしていきたいと考えています。
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《キャンペーン報告》土壌汚染対策-Part4
構想日本 地質環境保全研究会
環境大臣による「土壌汚染対策法案」の趣旨説明、そして一般質疑が
終わり、いよいよ来週から審議が始まります。
これまでお伝えしてきた通り、構想日本では、この法案の修正に向け
、年初より、関係議員へのご説明や、新聞・雑誌での提言掲載などの
キャンペーンを展開してきました。その結果、政治家、官僚、メディ
アなど各界の注目を多く集めました。「土の移動時を含めた、汚染土
壌の厳正な調査」と「必要十分な情報公開」を柱とする構想日本の提
言は、同法案の「委員会審査参考資料」にも引用されています。
審議の場では、その資料を検討し、また、土壌汚染問題に取り組んで
きた関係者を参考人として招き、その意見も聞いた上で、十分に「議
論」をしてほしいです。そして、与野党問わず、汚染の拡散を防止し
国民の健康を守るために必要な法案修正をしてもらいたいと思います
。もちろん、構想日本のキャンペーンも、まだまだ続きます。
※JIホームページ「土壌汚染プロジェクト」にて構想日本の提言を
公開しています。 https://www.kosonippon.org/wp-manager/prj/c/?no=19
(JI冨永)
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《お知らせ》教育ホームページ 新入荷!
https://www.kosonippon.org/wp-manager/prj/edu/jirei/yamabe/
松本市の山辺中学校では、生徒と地域の人がともに学ぶ「山辺ドリー
ム大学」を平成13年に開設。「学長」や「学部長」は生徒で、「講
師」は地域の先輩。信州ならではの「温泉学科」など、17もの学科
のなかから、自分の関心のあるテーマを選んで学べる大学です。是非
、ご覧ください。
(担当:JI山谷)
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《今月のJ.I.フォーラム》
一人一冊(いちにんいっさつ)
~本に遊んで知に結ぶ編集数寄~
「20世紀は人類のあらゆる課題とテーマが提出された“主題”の時代
でした。しかし、21世紀は“方法”の時代になるべきです」と松岡正
剛さんは語ります。編集工学という独自の手法にとりくんできた松岡
さんが2000年2月からインターネット上に発表しつづけている「千夜
千冊」は、まさに古今東西の知を結ぶ「方法」のための壮大な試みで
す。その「千夜千冊」のなかから選りすぐった本の世界をめぐりなが
ら、ライブ感覚で知覚と思索と言葉をつむぐ松岡さんの編集術を堪能
する一夜です。
「千夜千冊」の詳細は、 http://www.isis.ne.jp/top.html でご覧下
さい。
日 時 :平成14年3月26日(火)
会 場 :銀座ソニービル8階 ソミドホール
開 演 :午後6時30分(開場:午後6時00分)
討論者 :松岡 正剛(編集工学研究所長、帝塚山学院大学教授)

主 催 :構想日本
企 画 :松岡正剛事務所
定 員 :160名
参加費 :2,000円

参加ご希望の方は、 forum@kosonippon.org にてお申し込み下さい。
(〆切り:3月25日、すでに立見状態ですのでご了承ください。)
お問合せ:構想日本・西田(電話03-5275-5607)
*シンクネット・構想日本の会員は会員番号をお願いします。
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