メールマガジン

【No.434】友禅業界にいて今思うこと

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J.I.メールニュースNo.434 2010.01.14発行
「友禅業界にいて今思うこと」
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◆◇ 目 次 ◇◆
【1】 「友禅業界にいて今思うこと」
有限会社近江友禅 代表取締役 伊吹 勝治
【2】 第150回J.I.フォーラムのご案内 「事業仕分け報道を仕分ける」
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【1】「友禅業界にいて今思うこと」
有限会社近江友禅 代表取締役 伊吹 勝治
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友禅業界の今後を考える時、今までの業界のあり方を無視することは出来
ないと考えます。
三十年前頃は、問屋が染型や生地の提供を行い、専属の友禅屋に生地代と
ほぼ同額の加工賃金を支払い、お互いの立場に立ち、問屋さんは染屋さんの
仕事が途切れないよう、また染屋さんは問屋の立場に立ち、糊合わせの段階
での色合わせの技術向上を図るなど、問屋さん同士の競争に負けない商品
作りに励んできました。その時代には、そこそこの問屋さんには必ず図案作りや
型作りのプロが一人や二人は居ました。
京都室町問屋の今の姿は、その面影すら残っていません。京都友禅の名は
すたれ、価格競争の波に呑み込まれ、生地は中国産の難物と称される反物を
使い、図案は色付けをすると高くつくとの理由から、図案代三万円也の配色
なしの線画きで、色付けは専門的な知識のない型屋や友禅屋に丸投げし、
型代を安くする為との理由から、今まで和紙を使って彫刻されていた友禅型を
ナイロン型に彫刻させます。染色工場には昔からの室町の慣例だからと称し、
歩引き8%、さらに反積(商品管理代)300円から500円と、実質一割程の筋の
通らぬ値引きをされる。そのため少しでも安く仕上げるために、最後の工程で
ある仕立てまで人件費の安い中国でのミシン仕立てへと、最後の生き残りを
かけてものづくりをやっております。わが社存続のことだけを考え、図案屋さん
や型屋さんや友禅屋を価格競争の時代に勝つ為の餌としか考えない、今の
京都友禅の姿こそ、今の日本の姿の縮図であり、どの業界どの団体どの組織
にも言えると思います。
このような問題の本質は、平成十年頃から始まりかけた世代交代の中で、
義務を忘れて「権利」を主張する意見に感化されてしまい、何の経験も
実績も常識も学んでこなかった人々や、それを教えてこられなかった先人たち、
つまり我々の後継者の育成に問題があったことが、最大の原因と考えられます。
これは、他の業界や日本社会全体にもいえることだと考えております。
権利を主張する前に、先ず義務が生じることを考え、義務を頭において権利
が生じる。このことが常識であり、経験であり、実績になるのである。活(生)
きていると考えるより、活(生)かされていると考える人々の心に感動を与え
る図柄は、専門的な知識や経験をお持ちの図案屋さんと、知恵、知識、経験を
お持ちの専門的な彫刻型製作の型屋さんとの知恵や知識が会い合わさって
出来るものであると確信します。そして、その図柄を宮崎友禅斎の考案された
型彫り友禅型に彫刻し、友禅職人の手で忠実に表現し、その価値観を競う良い
意味での競争こそ、卓越された商品作りへと繋がっていくと考えています。
商いをしていれば色々な局面に出会いますが、その都度一度立ち止まり知恵
を出し考え、行動することにより、道は開けます。何度となく局面を乗り越えると
そのことに快感を覚え、強くなっていくのです。強くて逞しい、元気な後継者を
育てることこそ、明るく元気な家族づくりや国づくりの基本だと考えております。
今正にそのチャンスと考え、行動して行きたいと考えております。
<伊吹 勝治氏>
昭和13年生まれ。有限会社近江友禅代表取締役。染色加工業。

【2】 第150回J.I.フォーラムのご案内
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「事業仕分け報道」を仕分ける
行政刷新会議の「事業仕分け」。オリンピックなみの報道の結果、日本中
― 職場で、家庭で、居酒屋で、道端でさえも、国の税金の使われ方が話題に
なりました。
しかし、一連の報道は実際の事業や議論を丁寧に伝えたものから、一部を
切り取って全く逆のイメージを作り上げるものまで、それこそピンからキリまで
でした。
実際の事業仕分けに携わった方、現場で取材をしたジャーナリストに
集まっていただき、現場での記者の行動や事業仕分けの報道ぶりから考える
べき、日本の「報道のあり方」について議論していただきます。
≪開催概要≫
○日 時: 平成22年1月29日(金) 18:30~20:30
○会 場: 日本財団ビル2階 大会議室
港区赤坂1-2-2 TEL 03-6229-5111(代)
http://www.nippon-foundation.or.jp/org/profile/address.html
※会場のセキュリティの都合上、本案内状を会場1階で提示してください。
○開 演: 18時30分 (開場:18時00分)
○ゲスト: 熊谷 哲(行政刷新会議ワーキンググループ評価者 京都府議会議員)
河野 太郎(衆議院議員)調整中
野口 陽(AERA編集部)調整中  他
○進行役兼発言者:上杉 隆(フリージャーナリスト)
○主 催: 構想日本
○定 員: 160名
○フォーラム参加費: 2,000円(シンクネット・構想日本会員は無料です)
○懇親会参加費: 4,000円
(ご希望の方は下記懇親会参加に○印をつけてください)
※ゲストを囲んで、下記の会場で懇親会を開催いたします。
「トラットリア・イ・プリミ 虎ノ門店」
港区虎ノ門2-2-1 JTビル1F TEL 03-3589-5812
http://www.ep-tokyo.com/iprimi/toranomon/
————————————————————–
参加ご希望の方は、1月28日までに出欠の是非を、下記のメールアドレス
にお申し込み下さい。
forum@kosonippon.org
お名前

所属

ご連絡先

懇親会に     参加する      参加しない
————————————————————–
*参加申し込みに関するお問い合せは、
事務局 木下明美まで。TEL 03-5275-5665
*内容に関するお問い合せは、
フォーラム担当 西田陽光まで。TEL 03-5275-5607
————————————————————–
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