【No.455】事業仕分けと行政事業レビュー
2010.06.10

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J.I.メールニュースNo.455 2010.06.10 発行
「事業仕分けと行政事業レビュー」

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◆◇ 目 次 ◇◆
【1】 「事業仕分けと行政事業レビュー」
~教育研究現場から見た政治に対する期待~
首都大学東京 教授 伊永隆史
【2】 2010年度自治体の事業仕分け 開催スケジュールはホームページでご覧ください

【3】 第39回東京ブロック会員大会 東久留米大会フォーラムのお知らせ
(社)日本青年会議所 関東地区東京ブロック協議会主催
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【1】 「事業仕分けと行政事業レビュー」
~教育研究現場から見た政治に対する期待~
首都大学東京 教授 伊永隆史
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自民党時代から私は、構想日本の推薦で国家予算の無駄排除プロジェクトにかかわり
続け、鳩山元総理から委嘱を受けて理系一般国民目線で行ってきた事業仕分け経験と
先週始まったばかりの行政事業レビュー体験に基づいて雑感を述べてみたい。
事業仕分けでは無駄削減の視点ばかりがマスコミ等で取り上げられたので、一部で誤
解を招いているかも知れないが、事業仕分けの本質はこれまで国の予算成立執行の過
程が完全に不透明であった点を改め、納税者である国民に対し税金の使われ方が見え
るよう改善したことにあると思っている。特に、国民の目が届かなかった税金の使い
道を国民にも見えるよう透明化し、国民と情報を共有化できるようにした効果は計り
知れない。
事業仕分けに対する大学生の関心は一般論としての政治より高いといえる。昨年11
月の事業仕分けでは科学技術予算のあり方に国民の関心が集中したが、理系学生での
実例として、学生達の事業仕分けに対する関心は恥ずかしながら私が講義する化学専
門科目以上に高かったにもかかわらず、学生はきわめて冷静な受け止め方をしていた
ことが印象に残った。理系学生は日本が科学技術創造立国を持続していくための高度
技術者・研究者を目指し、文系学生より負担の重い勉学に日夜励んでいるわけで、科学
技術予算の行方は彼ら自身の将来にもかかわるテーマとして特に関心が高かったようだ。
今年4月には科学技術の研究開発を推進する独立行政法人の事業仕分けが行われ、省
庁別に縦割りで設置された32の研究開発型独法で重複事業が多く認められた。この
ことは国として科学技術の先導性・先端性を促進する役割を果たしていくためには、
独法事業の整理統合が必要な時期に来ていることを明らかにした。
なお事業仕分けとは直接関係ないが、研究者教育で進学をためらう一因となっている
大学院奨学金について、貸付金をすべて給付型に改めることと、科学技術を担う理系
人材の給料水準を見直す政策的検討を行ってほしいと、機会を得て文部科学省政務三
役に政治的解決を現場の声として進言したところである。
事業仕分けの次のステージとして、各省庁の全5500事業すべてを外部の視点で透
明性を確保しながらチェックするための「行政事業レビュー」が今年5月末から始ま
ったことは注目に値する。行政事業レビューは省庁自身が公開の場で外部有識者を交
えて事業の点検を行うことで、事業仕分け理念を内生化・定常化させて各省庁の予算の
執行や要求に反映させる仕組みなので、国民の視点に立った事業の執行と予算の策定
が徹底されるのではないかと今後期待される。
おわりに、ある国税庁官僚OBの言葉であるが、『税金を集める側は、汗水たらして
1円まで必死の思いで徴税しているのに対し、税金を使う側はあまりにもズサンな使
い方で、いい加減すぎる。』といわれた至言が、仕分け人である私の頭から離れない。
願わくは、政治が本来の力を発揮して国民のための事業に軸足を移し、国民目線で見
ても納得できる政策が実現されることを期待して筆をおく。
*伊永(これなが)隆史氏プロフィール
1949年生、岡山県出身。京都大学工学博士。2001年より東京都立大学大学院教
授。米国バージニア州立大学客員教授、ハーバード大学客員研究員、マサチューセッツ
工科大学文部省在外研究員。2005年公立大学法人化に伴い首都大学東京教授。
専門:食の安全、安定同位体トレーサビリティと表示偽装防止、環境化学、質量分析学、
先端計測分析装置開発、超微細化学システム、産学公連携活動、イノベーション創出教育。

【2】 2010年度自治体の事業仕分け 開催スケジュールはホームページでご覧ください
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高浜市 2010年6月19日(土)、20日(日)開催
所沢市 2010年6月26日(土)、27日(日)開催
●詳しくは構想日本HPをご覧ください:https://www.kosonippon.org/wp-manager/shiwake/

【3】 第39回東京ブロック会員大会 東久留米大会フォーラムのお知らせ
(社)日本青年会議所 関東地区東京ブロック協議会主催
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日本の未来はあなたが創る あなたの思いを政策へ
”多様な政策からあなたは何を受け取り、どう行動しますか?”というテーマでフォーラム
が6月13日(日)に開催されます。
構想日本代表加藤がコーディネーターを務め、パネリストに平将明氏(衆議院議員)、秋元
司氏(参議院議員)、柿沢未途氏(衆議院議員)と共に、政治とカネ、マニフェスト等々、
縦横無人に議論を展開致します。一般の方の参加も可能ですので、奮ってのご参加をお待ち
しております。
詳細はこちらまで:https://www.kosonippon.org/wp-manager/temp/100613JCforum.pdf

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