メールマガジン

【No.503】外資の森林買収のその後 ~社会的法益を叶える土地制度論議を~

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J.I.メールニュースNo.503 2011.05.19発行
外資の森林買収のその後 ~社会的法益を叶える土地制度論議を~
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【1】  外資の森林買収のその後 ~社会的法益を叶える土地制度論議を~
東京財団研究員 平野秀樹

【2】  第165回J.I.フォーラム 5月25日開催

【3】 「税・社会保障制度の抜本改革」を考える
衆参全議員 連続討論会のご案内
5月24日、31日(火)開催
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【1】  外資の森林買収のその後 ~社会的法益を叶える土地制度論議を~
東京財団研究員 平野秀樹
今年4月、森林法が改正されました。政府の改正案に、野党議員立法案と与党プロ
ジェクトチーム報告がそっくり盛り込まれたのです。主な改正点は「森林の土地の
売買届出制度の創設」「森林の所有者情報の各部局共有化」「公有林化にかかる
財政支援措置」。ひとまず一歩前進です。
こうした措置が急がれたのは、不明地主が増え、水源などの乱用が危惧されている
にもかかわらず、十分な対応が図られていなかったからです。
日本の土地制度は簡単にいえば、土地の戸籍である「地籍」が曖昧なまま、民法に
よって時効取得が可能です。おまけに土地所有者の権利は世界一といえるほど強い。
つまり、土地を手にすれば、所有権は永久で、利用規制も緩々といえましょう。
売買の手軽さでいえば、日本の土地は金融商品にかなり近いのです。土地取引が
ローカルなレベルで行われていた時代ならいざ知らず、グローバル化が当たり前に
なってきた昨今、無策のままでは、未来はかなり憂鬱になります。
外資の森林買いによって気づかされたことは、将来の公益や安全保障につながる
事前の備えを私たちはこれまで厭い、先送りしてきたことです。目先の利益だけで
動き、制度疲労を起こしているものに目をつむってきたようでした。「必要な備えを
しておかないと、後になって国民にツケが回ってくる……」とは今回の原発災害と
同じです。
今後、離島や、空港・港湾・漁港・自衛隊施設の周辺地、水源林、農地などを無思考に
喪失していくことは、公の秩序、公衆の安全、経済の円滑な運営、国の安全等に影響を
与える可能性があります。そのため、特定エリアの売買制限を課し、公有化する事例が
各国で見られます。
こうした重要な国土については、個人の財産権保護の観点も秤にかけつつ、その保護を
図っていく制度が求められます。加えて、原発による計画的避難地域や津波の災害危険
区域など、予期せぬ居住禁止区域を生みだしてしまった不幸を超えていくためにも
「土地規制全般」を再考する必要があるかと考えます。
新たな規制導入に際しては、〈個人の財産権を制限しても、それ以上の社会的法益や国家
的法益をもたらすルール〉かどうか、また、〈その規制が国の安全保障、公共の秩序、
公共道徳、国民生活全般の利益の維持に実効性があるもの〉かどうか――これらを
そもそもから考えないといけません。
今、私たちは日本の土地制度の不備や不適切さに気づき、この国土に暮らす全ての人に
とって暮らしやすい制度につなげていくために踏み出すべきではないでしょうか。新しい
時代への再飛躍を可能にする基盤は土地と水と森であり、これらは後世の公益のために
引き継ぐべき変え難い資源であるからです。

【2】  第165回J.I.フォーラム 5月25日開催
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東日本大震災を機に「生活仕分けをしてみよう」
東日本震災によって、日本は大きく変わると思います。今後10年ほどは、お金や資源は
被災地の復興に最優先で使われるべきでしょう。エネルギー供給は、これまで通りの原発
依存でやっていけるかどうか。これが難しいと電力供給は3割近く減るかもしれません。
こうやって考えていくと日本人の一般的な生活も変わっていくのではないでしょうか。
「豊かさ」の基準も変わるかもしれません。そこで、今回は私たちの暮らしにとって大事な
ことの優先順位について考えてみることにしました、いわば「生活仕分け」をすることに
よって日本がきりっと引き絞られ、かつ豊かな社会に脱皮できないか。そんな議論をして
みたいのです。
国づくりをするのは政府ではなく私たち自身なのですから。
○日 時: 平成23年5月25日(水) 18:30~20:30
○会 場: 日本財団ビル2階 大会議室
港区赤坂1-2-2 TEL 03-6229-5111(代)
http://www.nippon-foundation.or.jp/org/profile/address.html
※会場のセキュリティの都合上、本案内状を会場1階で提示してください。
○開 演: 18時30分(開場:18時)
○ゲスト  :石原 一子(景観市民運動全国ネット代表)
内山 節(哲学者・NPO法人森づくりフォーラム代表理事)
松井 孝典(千葉工業大学惑星探査研究センター所長)
○コーディネーター : 加藤秀樹(構想日本)
○定 員: 160名
○フォーラム参加費: 2,000円(シンクネット・構想日本会員は無料です)
○懇親会参加費: 4,000円
(ご希望の方は下記懇親会参加に○印をつけてください)
※ゲストを囲んで、下記の会場で懇親会を開催いたします。
「頤和園(いわえん)溜池山王店」
港区赤坂1-1-12 TEL 03-3584-4531
(http://www.iwaen.co.jp/tameike/)
————————————————————–
参加ご希望の方は、5月24日までに出欠の是非を、下記のメールアドレス
にお申し込み下さい。
forum@kosonippon.org
お名前

所属

ご連絡先

懇親会に     参加する      参加しない
————————————————————–
*参加申し込みに関するお問い合せは、
事務局 木下明美まで。TEL 03-5275-5665
*内容に関するお問い合せは、
フォーラム担当 西田陽光まで。TEL 03-5275-5607
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【3】「税・社会保障制度の抜本改革」を考える
衆参全議員 連続討論会のご案内
5月24日、31日(火)開催
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東京財団・(株)PHP研究所・みずほ総合研究所(株)・構想日本・(株)日本総合
研究所が共催で、『衆参全議員 連続討論会「税・社会保障制度の抜本的改革」を
考える』を2月から5回にわたって、毎週火曜日に開いてきました。
震災の影響により一旦延期していましたが、再開します。
政治の停滞を危惧するシンクタンクが集まり、国民的な議論が必要な政策課題を国会
議員や有識者が、党派を超えて率直に話し合うことができる「場」を作りました。
ぜひご参加ください。
≪第6回開催概要≫
東京財団・(株)PHP研究所・みずほ総合研究所(株)・構想日本・(株)
日本総合研究所 共催
衆参全議員 連続討論会 ~「税・社会保障制度の抜本改革」を考える~
【日時】2011年5月24日(火)18:00~20:00(終了予定)
【会場】日本財団ビル2階会議室 東京都港区赤坂1-2-2日本財団ビル
http://www.nippon-foundation.or.jp/org/profile/address.html
【発表者】 伊藤達也(PHP総合研究所コンサルティングフェロー、
元総理大臣補佐官<社会保障国民会議担当>)
松山幸弘(キヤノングローバル戦略研究所 研究主幹)
【コーディネーター】
亀井善太郎(東京財団研究員・政策プロデューサー)
【定員】     100名
※定員を超える場合はお申し込みの受付先着順とし、傍聴できない
場合もあります。当日はインターネットを通じた中継も行います。
予めご承知おきください。
★詳細・お申し込みについては東京財団のホームページをご覧ください。
http://www.tkfd.or.jp/
★当日のインターネット中継はUstreamからご覧いただけます。
http://www.ustream.tv/channel/tokyofoundation

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