メールマガジン

【No.537】山縣有朋の挫折―誰がための地方自治改革

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J.I.メールニュースNo.537 2012.01.19発行

山縣有朋の挫折―誰がための地方自治改革

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【1】 山縣有朋の挫折―誰がための地方自治改革
内閣府事務次官 松元 崇

【2】 第173回J.I.フォーラム 1月31日(火)開催

【3】 事業仕分け 1月21日(土)、北杜市公開研修にぜひご来場下さい

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【1】 山縣有朋の挫折―誰がための地方自治改革
内閣府事務次官 松元 崇

今日につながるわが国の地方自治制度は、明治20年代前半に江戸の自
治を土台として山縣有朋が作り上げたものである。その際土台とされた
江戸の自治は、実は、フランス革命期に活躍したフランスの思想家であ
るトクヴィルが『アメリカのデモクラシー』で描写している米国独立直
後の東部入植地で行われていた自治と比較しても決して見劣りしないも
のであった。

「地方自治などということは、珍しい名目のようだけれど、徳川の地方
政治は、実に自治の実を挙げたものだよ。名主といい、五人組といい、
自身番(交番)といい、火の番といい、みんな自治制度ではないかのお」

これは、山縣有朋の地方自治が、それなりに定着しつつあった明治26
年に勝海舟が述べている言葉である。

地方自治は民主主義の学校といわれる。わが国の民主主義が、戦後、米
国によって初めてもたらされたものだと思っている人には、軍閥の祖で
あり、官僚政治の権化ともされる山縣有朋が地方自治を立憲制の学校と
考えていたことは意外と受け止められるかもしれない。しかしながら、
民主主義も歴史の産物である以上、戦後になって突然地域に根差した民
主主義がわが国に芽生えたわけではないのである。

そのようにして山縣が創り上げた地方自治は、残念ながら当初の山縣の
思惑通りには育たなかった。山縣自身も、日露戦争後には自ら創り上げ
た地方自治を見捨ててしまった。日露戦争の戦費調達のための地租増徴
の実現に向けて、帝国議会において強烈な個性を持っていた議会の指導
者、星亨と渡り合った山縣の関心は、帝国議会での政党勢力の「暴走」
を防ぐことに専ら注がれることになったのである。

そのようにして、山縣に見捨てられたわが国の地方自治は、その後、原
敬や後藤新平、更には高橋是清が、それぞれの見識に基づいて発展を図
ることになる。そして、大正デモクラシー期には、少なくとも都市の自
治に関しては、その前途は洋々たるものに見えたのであった。

しかしながら、その前に大きく立ち塞がったのが、大正12年の関東大
震災であった。わが国の国民総生産の3分の1にも及ぶ被害をもたらし
た関東大震災の後、わが国は、その後遺症である金融恐慌、金解禁不況
という流れの中で軍部の台頭を許し、その中で地方自治も戦時体制下の
中央集権的なものになっていったのである。

<構想日本 加藤より>
戦後の日本は、中央集権的な政治、行政によって急速に復興、経済成長、
近代化を遂げた。そして、その延長線上に画一的な町、地方の衰退、過
疎化がもたらされた。

私は日本を活力と魅力に満ちた国にするには、この中央集権的な仕組み
を変えることが不可欠だと思う。大阪都構想など、地方が動き始めてい
る時に、松元さんは日本の地方自治制度の生い立ちを大著『山縣有朋の
挫折―誰がための地方自治改革』にまとめた。是非ご一読をすすめたい。

なお、本書では、戦前における大阪や横浜といった都市の自治の発展に
ついても紹介している。

*松元崇『山縣有朋の挫折―誰がための地方自治改革』
(日本経済新聞出版社、2011年)

【2】 第173回J.I.フォーラム 1月31日(火)開催
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持続可能な金融について考えよう

リーマンショックとそれに続く欧州発の世界的な金融危機。
その行く末は?その意味するところは?なぜこうなったのか?
これらのことを含め、そもそも金融とは何か、今後の金融システムのあ
り方、日本の金融の舵取りの仕方などについて、 最新の動向と本質論
の両面からベストメンバーに議論していただきます。

○日時: 平成24年1月31日(火)

○会場: 日本財団ビル2階・大会議室
港区赤坂1-2-2 TEL 03-6229-5111
http://www.nippon-foundation.or.jp/org/profile/address.html
※会場のセキュリティの都合上、本案内状を会場1階で提出してください。

○開演: 午後6時30分(開場:午後6時00分)

○ゲスト: アトキンソン・デービッド・マーク
(小西美術工藝社社長/元Goldman Sachs金融調査室長)
神津 多可思(リコー経済社会研究所主席研究員、元日本銀行審議役)
高田 創   (みずほ総合研究所チーフエコノミスト)
増田 寿幸 (京都信用金庫理事長)
コーディネーター: 坂本 忠弘(地域共創ネットワーク 代表取締役)

○主催: 構想日本

○定員: 160名

○フォーラム参加費: 2000円(シンクネット・構想日本会員は無料です)

○懇親会参加費: 4000円(ご希望の方は下記懇親会参加に○印をつけてください)
※ゲストを囲んで、下記の会場で懇親会を開催いたします。
※懇親会をキャンセルされる場合は必ずご連絡くださいますようお願いいたします。
懇親会直前キャンセルの場合は、キャンセル料を申し受けます。
「頤和園(いわえん)溜池山王店」 港区赤坂1-1-12 TEL 03-3584-4531
http://www.iwaen.co.jp/tameike

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参加ご希望の方は、【1月30日(月)まで】に出欠の是非を、下記の
メールアドレスにお申し込み下さい。
forum@kosonippon.org

お名前

所属

ご連絡先

懇親会に     参加する      参加しない
※懇親会直前キャンセルの場合は、キャンセル料を申し受けます。

——————————————————————–
*参加申し込みに関するお問い合せは、
事務局 木下明美まで。TEL 03-5275-5665
*内容に関するお問い合せは、
フォーラム担当 西田陽光まで。TEL 03-5275-5607
*今後の開催予定日:1/31(火)、 2/28(火)、 3/28(水)、4/25(水)、
5/29(火)、 6/27(水)、 7/31(火)、8/29(水)、
9/25(火)、10/31(水)、11/27(火)、12/19(水)
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【3】 事業仕分け 1月21日、北杜市公開研修にぜひご来場下さい
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<事業仕分け公開研修>

・北杜市(山梨県)
日 時: 2012年1月21日(土)13:30~17:00(予定)
会 場: 須玉ふれあい館
連絡先: 企画課 0551-42-1321

*今後のスケジュールなど、詳しくは構想日本HPをご覧ください。
http://www.kosonippon.org/cp-bin/wp/shiwake/index.php

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