【 No.554】手仕事の継承は三世代同居から始まった
2012.05.24

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J.I.メールニュース No.554 2012.05.24発行

手仕事の継承は三世代同居から始まった

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【1】 手仕事の継承は三世代同居から始まった
佐々木寺社建築株式会社 代表取締役 佐々木 利幸

【2】 第177回J.I.フォーラム 5月30日(水)開催
※時間が変更になりました

【3】 ホームページ更新情報
無事終了!「SHIWAKE」海外進出第一弾

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【1】 手仕事の継承は三世代同居から始まった
佐々木寺社建築株式会社 代表取締役 佐々木 利幸
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工学的にも工芸的にも世界に誇れる日本の木造建築の技術は、千年
以上前の時代から継承されてきた手仕事であり、日本のものづくり
の根幹です。しかし、短期的な利便性や低コストを求める時代の変
化の中で、日本人は三世代先を見据えたものづくりの精神を失いつ
つあるように思います。

私が住んでいる富山県砺波地方の「散居村」(広大な耕地の中に民
家が点在する集落形態)の家づくりには、自然とともに暮らす人間
の知恵が継承されてきました。

家は昔から三世代100年のサイクルで捉えられ、つくられてきま
した。時間と資金を十分にかけて、それぞれの世代が時々の役割を
担い、100年後の修理まで見越して屋敷の周りに木を植えました。
良いものを長く大切にし、人もモノも循環する自然な営みの中で、
家づくりや暮らしを彩る工芸の技術と精神がともに育まれてきまし
た。

例えば、私の家にエアコンはありませんが、真夏の猛暑日でも普通
に暮らせます。家の南西に茂った欅などの広葉樹の葉が厳しい日差
しを遮り、南北に設けられた窓から家の中を自然に風が通り抜ける
からです。他にも、南と西には常緑の針葉樹が茂り、台風や吹雪か
ら家を守ります。生活に必要な米や野菜は家の周りの田畑で自給さ
れます。

こうした長年の経験によって培われた知恵は、家族が共に暮らす中
で「道理」として次世代に伝えられてきました。家は、その地に生
きる者の人間育成の土壌として、暮らしの場であり学びの場でした。

しかし、電気などの動力の急速な進歩によって、人の手によってな
されていた仕事を機械が担うようになりました。「生産効率」が上
がり、モノが安く手に入るようになりましたが、反面、大量生産し
なければ採算が取れなくなり、生産サイクルは縮められ、人の手で
モノを作る余地は狭まりました。

家づくりの世界でも、手間とカネを省いた10年保証付きの家がた
くさん建てられるようになりました。個人が生きていくことが比較
的容易になり、核家族化が進んだ現代では、家が散在していた田園
は宅地となり、規格化された家がひしめき合っています。電気や
「効率」を否定するつもりはありませんが、30年も経てば瓦礫に
されてしまう現代の家の造り方は本当に「効率的」と言えるのでし
ょうか。

建築はその地域や国の文化を顕著に映し出すものです。したがって、
家の姿はそこに住む人の姿でもあります。人の住まい方は当然変わ
りゆくものですが、三世代先を見通すものづくりの精神は次代を担
う若者たちにも受け継がれてほしい。そう願って、私はこれからも
大工という手仕事の現場から日本の家づくりの素晴らしさを発信し
ていきます。

佐々木 利幸(ささき・としゆき)
1969年、富山県南砺市生まれ。1992年に宮大工として生きることを
志す。1988年には親方の下を離れ、佐々木大工を設立。現在に至る。

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【2】 第177回J.I.フォーラム 5月30日(水)開催
※時間が変更になりました
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「仕分けで政治の再生を」
-世界が注目する仕分けの使い方-

日本のマスメディアが飽きてきた事業仕分けに海外から熱い視線が
注がれ始めました。OECDの会議での発表、インドネシア上院での研
修会開催など。この背景には、日本に限らず、多くの国における、
民意を反映できない政治の機能不全があります。事業仕分けのミソ
は「全面公開」と「外部の目」です。これは民主主義の原点でもあ
ります。この二大要素が、事業の削減ということに限らず、政治全
般を住民、国民の側に引き戻し、再活性化し、併せてポピュリズム
を防ぐのです。地方自治体では継続的に浸透し、実施は140回を越
え、「市民判定人」などの進化もみられます。仕分け手法で日本の
政治を生き返らせましょう。

○日時: 平成24年5月30日(水)

○会場: 日本財団ビル2階・大会議室
港区赤坂1-2-2 TEL 03-6229-5111
http://www.nippon-foundation.or.jp/org/profile/address.html
※セキュリティの都合上、本案内状を会場1階で提出して下さい。

○開演: 午後6時45分(開場:午後6時00分)

※以前のご案内で午後6時30分開演とお伝えしておりましたが変更になりました。
ご注意下さい。

○ゲスト: 河野 太郎(衆議院議員/自民党)
蓮 舫(参議院議員/民主党)

コーディネーター: 加藤 秀樹(構想日本 代表)

○主催: 構想日本

○定員: 160名

○フォーラム参加費: 2000円(シンクネット・構想日本会員は無料です)

○懇親会参加費: 4000円
ゲストを囲んで、下記の会場で懇親会を開催いたします。
「頤和園(いわえん)溜池山王店」
港区赤坂1-1-12 TEL 03-3584-4531
http://www.iwaen.co.jp/tameike

※懇親会をキャンセルされる場合は必ずご連絡下さい。
直前のキャンセルの場合、キャンセル料を申し受けます。

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参加ご希望の方は、【5月29日(火)まで】に出欠の是非を、下記の
メールアドレスにお申し込み下さい。
forum@kosonippon.org

お名前

所属

ご連絡先

懇親会に     参加する      参加しない
※懇親会直前キャンセルの場合は、キャンセル料を申し受けます。

—————————————————————-
*参加申し込みに関するお問い合せは、
事務局 木下明美まで。TEL 03-5275-5665
*内容に関するお問い合せは、
フォーラム担当 西田陽光まで。TEL 03-5275-5607
*今後のスケジュール等、詳細はHPをご覧下さい。
https://www.kosonippon.org/wp-manager/forum/index.php
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【3】 ホームページ更新情報
無事終了!「SHIWAKE」海外進出第一弾
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○<インドネシア仕分けセミナー>スタッフからの写真&リポート

事業仕分けの核である「公開性」や「外部性」がインドネシア議
会の議員の関心を強く惹き、5月16日にインドネシア議会で財務省
の官僚なども交えた事業仕分けの研修会が開かれました。
現地入りしたスタッフからの写真&レポートをHPに掲載しています!

https://www.kosonippon.org/wp-manager/shiwake/municipality_sort/detail.php?m_project_cd=1052

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