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【No.575】アイガモがくれた奇跡

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J.I.メールニュース No.575 2012.10.18発行

アイガモがくれた奇跡

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【1】 アイガモがくれた奇跡
農家 古野 隆雄

【2】 第182回J.I.フォーラム 10月30日(火)開催

【3】 継続は力! 事業仕分け 今週末は3団体で開催

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【1】 アイガモがくれた奇跡
農家 古野 隆雄
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私が1992年に中国の博物館で見た、粘土板に刻まれた古代中国の水
田の絵図には、働く人間、稲、アヒル、魚が描かれていました。大
昔からアジアの水田は稲だけでなく多様な生産をしてきました。

私の合鴨田では、毎年9月になると、秋風に黄金色の稲穂が揺れ、
合鴨が太り、畦に植えたイチジクが実り、放流したドジョウが捕れ
ます。一枚の田でご飯とおかずとデザートが同時に生産されるわけ
です。これがアジアの伝統農業の継承的発展、「同時作」の面白さ
です。

今年の夏の初めに、かつてJICAの研修で合鴨水稲同時作を教えたバ
ングラディシュのタンビールさんから、「古野さん、フランスへ行
きませんか」と電話を頂きました。8月末にフランス南部モンペリ
エで、国立農業試験場主催「第一回有機稲作世界大会」が開催され
るとのことでした。

この大会は8月27日から30日まで開かれ、フランス、イタリア、ス
ペイン、ハンガリー、イギリス、ベルギー、アメリカ、ブラジル、
アルゼンチン、インド、カンボジア、バングラディシュ、アフリカ
諸国、そして日本から、合わせて約130名の参加がありました。発
表の内容は稲作技術、環境、経営など多岐にわたりました。私から
の発表は2003年から失敗に失敗を重ねている「合鴨乾田直播」の最
新アイディアでした。

「乾田にモミを直播(苗代や苗床を用いず田畑に直接種をまくこと)
すると4~7日で芽を出します。すぐに水を入れ5~10センチの深水
にし、イネの芽を完全に水没させます。3~4日後に水を抜いて1~2
センチの浅水にします。するとイネの芽は直立し、茎の細いヒエは
倒伏します。そこに合鴨のヒナを放し、倒伏しているヒエを防除し
ます。……」

ところが、直播稲作地帯のアメリカやフランスやブラジルで有機稲
作に取り組んでいる農家は、15~20センチの水深を10~20日保ち雑
草防除をしていました。これは田植稲作地帯の東アジアでは想像も
つかない水深と期間です。田植稲作では苗を水没させること自体あ
り得ない技術だからです。しかもアメリカやフランスやブラジルで
はこの方法で一戸の農家が100ヘクタールも有機直播をしていまし
た。私は“アグリカルチャーショック”を受けました。

私のアイディアはどうも水深不足のようでした。帰国後すぐに私は
ペットボトルに田んぼの土を入れ、モミとヒエの種を播き、10~20
センチまで水を入れ、深水、水没のテストに取り組んでいます。国
境を超えた交流はとても刺激的でした。

相棒の合鴨君と共に、無我夢中で技術創造に取り組んできましたが、
とうとうEUデビューしてしまいました。しかし、特別なことをして
きたつもりはありません。失敗しては試行錯誤。面白いからやめら
れない。これまでも、これからも、その繰り返しです。

古野 隆雄(ふるの・たかお)
1950年福岡県に農家の長男として生まれる。九州大学農学部卒業後、
完全無農薬有機農業を始める。1988年より合鴨水稲同時作を開始し、
試行錯誤の末に技術を体系化。その技術はアジアを中心に世界中に
広がっている。

* * * * *

(構想日本加藤より)
古野さんが今年6月に出された新刊『アイガモがくれた奇跡』(家
の光協会)には、古野さんが「アイガモ農法」に行き着くまでの試
行錯誤が熱く語られています。合鴨を襲う野犬との戦い、イタチと
のイタチごっこ、カラスとの智恵比べ、乾田直播のノビエ問題……。
こうした試行錯誤は古野さんの人生そのものであると同時に、誰に
でも当てはまることだと思います。一つのことをやり遂げようとす
ると、百の失敗、山ほどの無駄なことは必ずついて回る。そして、
その過程で知恵の積み重ねや仲間とのつながりができる。現場感、
リアリティ、日本全体に欠けていることが満載の面白い本です。

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【2】 第182回J.I.フォーラム 10月30日(火)開催
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布から考える生活、アート、文化

-「文化絶滅危惧種」について考える-

「絶滅種」「絶滅危惧種」という言葉があります。普通は生物に関
して使われます。しかし、文化についても同じことが言えます。身
の回りの道具類、食べ物、言葉、所作、祭、芸能…。その中でも
「高級」なものは有形、無形の文化財として保護、保存されますが、
日常のもの、粗末なものほどどんどん絶滅していっています。これ
らのものは本当に絶滅させていいものなのでしょうか。現代社会に
おいては効率、機能、価格などの面で淘汰されても仕方ないのかも
知れない。しかし、長い目で見ると残すべき大きな価値があるので
はないか。そこで、今回は「布」に光を当てて、これらのことを考
えたいと思います。ゲストは、「粗末な宝物」をアートにしてきた
福本潮子さんと、手仕事の掘り起こしに情熱を傾けてきた田中陽子
さんのお二人です。

○日時: 平成24年10月30日(火)
午後6時30分~午後8時30分(開場:午後6時15分)

○会場: 日本財団ビル2階・大会議室
港区赤坂1-2-2 TEL 03-6229-5111
http://www.nippon-foundation.or.jp/org/profile/address.html
※セキュリティの都合上、本案内状を会場1階で提出して下さい。

○ゲスト:田中 陽子(暮らしのクラフトゆずりは 店主)
福本 潮子(藍染家)

コーディネーター:加藤 秀樹(構想日本 代表)

○主催: 構想日本

○定員: 160名

○フォーラム参加費: 2000円(シンクネット・構想日本会員は無料です)

○懇親会参加費: 4000円
ゲストを囲んで、下記の会場で懇親会を開催いたします。
「頤和園(いわえん)溜池山王店」
港区赤坂1-1-12 TEL 03-3584-4531
http://www.iwaen.co.jp/tameike

※懇親会をキャンセルされる場合は必ずご連絡下さい。
直前のキャンセルの場合、キャンセル料を申し受けます。

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参加ご希望の方は、【10月29日(月)まで】に出欠の是非を、下記の
メールアドレスにお申し込み下さい。
forum@kosonippon.org

お名前

所属

ご連絡先

懇親会に     参加する      参加しない
※懇親会直前キャンセルの場合は、キャンセル料を申し受けます。

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*参加申し込みに関するお問い合せは、
事務局 木下明美まで。TEL 03-5275-5665
*内容に関するお問い合せは、
フォーラム担当 西田陽光まで。TEL 03-5275-5607
*今後のスケジュール等、詳細はHPをご覧下さい。
http://www.kosonippon.org/cp-bin/wp/forum/index.php
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【3】 継続は力! 事業仕分け 今週末は3団体で開催
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○行橋市(福岡県)

【日程】 平成24年10月20日(土) 10:00~17:15
※入退室自由。

【会場】 ウィズゆくはし 1階 多目的ホール

【対象事業】 7事業

【参加者】 事業説明者:行橋市職員
コーディネーター・仕分け人:
構想日本事業仕分けチーム、行橋市民(市の推薦)

【連絡先】 総務部 総合政策課 企画政策係
TEL:0930-25-1111 (内線1422)

○大刀洗町(福岡県)

【日程】 平成24年10月21日(日) 9:30分~16:30
※入退室自由。

【会場】 大刀洗町ドリームセンター 2階 展示ホール

【対象事業】 7事業

【参加者】 事業説明者:大刀洗町職員
コーディネーター、仕分け人:
構想日本事業仕分けチーム、大刀洗町民
判定人:大刀洗町民

【連絡先】 企画財政課 企画係   TEL:0942-77-0173

○京都府議会(会派主催)

【日程】 平成24年10月22日(月) 9:00~17:00

【会場】 京都ガーデンパレス 2F

【対象事業】 14事業

【参加者】 民主党京都府議会議員団、構想日本事業仕分けチーム

【連絡先】 民主党京都府議会議員団 中小路 健吾
TEL:075-414-5570

*詳細は構想日本の事業仕分けサイトよりご覧下さい!
http://www.kosonippon.org/cp-bin/wp/shiwake/contribution/index.php

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