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【No.578】原点に返り、自ら伐採する林業で「森林と山村の再生」を |土佐の森・救援隊 事務局長 中嶋 健造氏|

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J.I.メールニュース No.578 2012.11.08発行

原点に返り、自ら伐採する林業で「森林と山村の再生」を

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【1】 原点に返り、自ら伐採する林業で「森林と山村の再生」を
土佐の森・救援隊 事務局長 中嶋 健造

【2】 第183回J.I.フォーラム 11月26日(月)開催

【3】 継続は力! 事業仕分け 次回は都留市と京都市で実施

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【1】 原点に返り、自ら伐採する林業で「森林と山村の再生」を
土佐の森・救援隊 事務局長 中嶋 健造
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先般、地元の新聞で、中山間地域衰退の第一原因は林業の衰退で
あるとの記事を読みました。私はこれには違和感を覚えました。
「林業が衰退したから」ではなく「中山間地域が林業を放棄した
から」地域が衰退したと感じているからです。

土佐の森・救援隊は「自伐林業」の普及を目指しています。「自
伐林業」とは自己所有の山や永続的に入ることのできる山を、自
ら持続的に施業及び森づくりをおこなうことで収入を確保し、生
業化していく林業です。これは限られた範囲の山を永続管理し、
そこから収入を得ていくという、林業経営の原点とも言えますが、
今では一般的な林業の手法ではありません。

日本の一般的な林業は、山林所有者が自ら作業することはなく、
森林組合などに間伐等の作業をその都度委託して行う他者依存型
林業です。木材の価格が高かった時代が長く、売上から作業費を
支払っても相当の収入があったため、委託する林業が常態化した
と考えられます。材価が下落して林業が衰退産業の代名詞のよう
になった今も、所有と施業を分離した林業手法はそのままです。

高性能林業機械の導入や専業化で採算ラインが高くなった森林組
合や業者では、生産性を上げるため材収穫ばかりに走り、十分に
森林管理をすることができず、大雨時の土砂流出など、山の荒廃
を招いてしまう例を多く見受けます。しかし、自伐林業は小規模
な機械で、低投資でも十分に実施できることが、実施者の事例で
証明されています。

私たちは高知県いの町で、地域の自伐林業家が収益を上げられる
仕組みをつくり、実績を上げました。間伐において発生するC材
(角材や合板に適さない細い木や曲がった木)をNPOや個人林家
自らが町のバイオマスプラントに搬出することで対価を得られる
ようにし、同時に、そうした森林整備は「環境保全活動」に当た
るとして、町から地域通貨を受け取るシステムを構築しました。

この手法は「土佐の森方式」として注目され、自伐林業に参入す
る人が高知では急増しました。県外でも導入の動きが活発化し、
自治体数は約40にまで増えてきています。東日本大震災の被災地
である岩手県大槌町吉里吉里地区でも既に5人の専業自伐林家が
生まれています。

自伐林家の方の山を見ると、素晴らしく「いい山」をつくってい
るケースが多いことに気付きます。「いい山」とは、水源涵養や
生物多様性、災害防止等の機能、かつ経済性もいい山ということ
です。手入れが行き届き、腐葉土が多く、ふかふかしています。
鳥のさえずりも聞こえます。自伐林家は毎年継続して森から収入
を得ないといけないので、自然と長伐期化します。自分の山だか
らこそ作業に愛情がこもり、頻繁に山に出入りするため多面的機
能を発揮する森になるのです。

「集約化=効率化」という単純な発想によって進められる大規模
化、大量生産、企業化、生産性追求一辺倒の動きは、森林環境の
破壊と原木の価格破壊を同時に引き起こしています。全国の林業
行政、林業現場に携わる人々に、原点に返れ!自伐林業に戻ろう!
と求めていきたいと思います。

中嶋 健造(なかじま・けんぞう)
昭和37年高知生まれ、高知県いの町在住。愛媛大学大学院農学研
究科修了。IT、経営コンサルタント、自然環境コンサルタント会
社を経てフリーに。平成15年、NPO法人土佐の森・救援隊設立に
参画し、現在事務局長。真の森林・山村再生、地域雇用拡大等の
ため、「自伐林業+シンプルなバイオマス利用+地域通貨」を組
み合わせた「土佐の森方式」の普及にまい進している。

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【2】 第183回J.I.フォーラム 11月26日(月)開催
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※以前お伝えしていた日程から変更になりましたのでご注意下さい。
【変更前】11月29日(木) → 【変更後】11月26日(月)

詳細は決まり次第お知らせいたします。

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*参加申し込みに関するお問い合せは、
事務局 木下明美まで。TEL 03-5275-5665
*内容に関するお問い合せは、
フォーラム担当 西田陽光まで。TEL 03-5275-5607
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http://www.kosonippon.org/cp-bin/wp/forum/index.php
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【3】 継続は力! 事業仕分け 次回は都留市と京都市で実施
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○都留市(山梨県)

【日程】 平成24年11月10日(土) 9:30~16:30
※入退室自由。

【会場】 都留市役所 本庁舎3階 大会議室

【主催】 都留市

【協力】 構想日本

【対象事業】 9事業

【参加者】 事業説明者:都留市職員
コーディネーター、仕分け人:
構想日本事業仕分けチーム、都留市民

【連絡先】 政策形成課 企画担当
TEL:0554-43-1111(内線241)

○京都市(会派主催)◇

【日時】 平成24年11月13日(火) 9:15 ~ 15:40
※入退室自由。

【会場】 京都ロイヤルホテル 2階 翠峰・麗峰の間
(京都市中京区河原町三条上ル)

【対象事業】 12事業

【参加者】 事業説明者:京都市職員
スーパーバイザー:民主・都みらい京都市会議員団所属議員
コーディネーター・評価者:構想日本事業仕分けチーム
民主・都みらい京都市会議員団所属議員
市民判定人:各班10名(計20名)

※◇印がついている自治体は「市民判定員方式」での実施となります。

*詳細は構想日本の事業仕分けサイトよりご覧下さい!
http://www.kosonippon.org/cp-bin/wp/shiwake/contribution/index.php

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