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【No.599】3・11、大津波が教えてくれたこと |NPO法人 吉里吉里国  理事長 芳賀 正彦氏|

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J.I.メールニュース No.599 2013.04.18発行

「3・11、大津波が教えてくれたこと」

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【1】 「3・11、大津波が教えてくれたこと」
NPO法人 吉里吉里国  理事長 芳賀 正彦

【2】 第188回J.I.フォーラム 4月25日(木)開催

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【1】 「3・11、大津波が教えてくれたこと」
NPO法人 吉里吉里国  理事長 芳賀 正彦
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大津波のその日から、岩手県大槌町吉里吉里の人達は「助けること
のできる人間」として動きました。がれき廃材を担ぎ集めて焚き火
を燃やし、食糧確保のために高台に残った家々を訪ね歩き、それは
暗くなるまで続けられました。翌日からは、行方不明者の捜索や避
難所から国道までの道路確保、重症患者搬送のためのヘリポート建
設、さらに寒さに震える避難所生活者を護るため、全壊したガソリ
ンスタンドの地下タンクから灯油を汲み上げる作業等の活動を開始
しました。

津波の日から、こういった活動でくたくたに疲れて避難所に戻って
も、私は眠れぬ夜が続きました。仕方なく私は真夜中、避難所の片
隅に燃える焚き火を見つめながら過ごしました。数日後、その炎が
私に教えてくれました。「津波で命を奪われた方々の、その時の苦
しみや悲しみを、自分で背負いつづけて生きていけ!」と諭してく
れたのです。覚悟を決めたその夜から、私はぐっすり眠れるように
なりました。

救援が来るまで生き延びるための期間は、2週間以上に及びました。
私たちは毎朝小さなおにぎりと沢庵を口に頬張りながら、がれきの
現場に立ちつづける日々でした。地下タンクからの石油燃料汲み上
げは、3日後に成功。ヘリポートは4日後に完成し、自衛隊・米軍
空母からのヘリコプターが真っ先に着陸しました。

生き延びるため、普通のことをやったまでです。それは当たり前の
行いだと思っています。しかし、それを実践してみせたのは、殆ど
が名も無き人間たちでした。津波の前まで、この町で普通に暮らす、
物言わぬ、ごく当たり前の人たちでした。私は、こういう吉里吉里
人と共に美しい町を創りだそうと心に決めたのです。

東日本大震災により、大槌町の海や街、職場―ほとんど全てのもの
が無くなったと言っても過言ではありません。しかし山だけは、津
波の前と同じ姿で残ってくれました。そこで海だけを見つめながら
暮らしてきた私たちは、助けられた命を活かす場を山の中に求める
ことを決意し、樵(きこり)になったのです。

豊かな自然の恵みを授かる術を身に付け、それに誇りをもって堂々
と生きる人。貧乏ではない質素な暮らしの中で、少しの不便さを楽
しみながら心豊かに日々を送る人。そういう人達がいっぱい住む町
を創らねばなりません。私たちは、津波災害復興に向けて新たな雇
用の創出と、経済復興に関わる地域主体の取り組みを地元住民と一
体となって地域再生に取り組んでいます。地域の環境を育む森林資
源を有効に活用することで、吉里吉里の森はやがて海の再生へとつ
ながり、この活動が次世代に残していく活動になることを期待して
のことです。津波の前よりも、もっと昔の本物の海を取り戻すため
に、豊穣の森を再生させるのです。残してもらった人生を、そのた
めに捧げたいと思っています。

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NPO法人 吉里吉里国  理事長 芳賀 正彦

プロフィール:福岡県糸島市志摩野北出身。玄界灘に面した漁村の、
漁師の家に生まれ、24歳で九州を離れてアフリカ・エチオピアに
渡る。その後、パプアニューギニアで働いた後、妻の実家である岩
手県・吉里吉里の地に移り住む。東日本大震災の大津波で家は全壊、
全ての物を失う(家族は幸い全員無事)。助けられた命を活かす場
を三陸海岸の山に求め、樵(きこり)となる。

特別営利活動法人 吉里吉里国URL:http://kirikirikoku.main.jp/

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【2】 第188回J.I.フォーラム 4月25日(木)開催予定
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社会を変えるシンクタンクについて考えよう

構想日本の活動が17年目に入りました。構想日本の提言が具体
的な形で実現したものは、事業仕分けをはじめ16年間で30項目
以上に上ります。日本を良くするために必要なシンクタンクは
アメリカ型ではなく社会活動型だ、というのが16年間の経験に
基づく私たちの実感です。
これまで構想日本は、どんな「社会」を目指しているのかにつ
いて語ってきませんでした。社会の部品である「政策」を出す
のに徹してきたのです。
この機会に「社会」について少し話したいと思います。そして、
なるべく大勢の人から意見や質問、ダメ出しなどを頂きたいの
です。そうやって「世直しの輪」を拡げていく第一歩にしたい
と考えています。よろしくお願いします。(加藤秀樹)

○日 時: 平成25年4月25日(木)

○会 場: 日本財団ビル2F 大会議室
港区赤坂1丁目2番2号 TEL : 03-6229-5111
(http://www.nippon-foundation.or.jp/about/access/)

○登壇者: 加藤 秀樹(構想日本代表)

○懇親会: 「頤和園(いわえん)溜池山王店」
港区赤坂1-1-12 TEL 03-3584-4531
(http://www.iwaen.co.jp/)

※詳細、お申し込みはこちらから
http://www.kosonippon.org/cp-bin/wp/forum/detail.php

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*参加申し込みに関するお問い合せは、
事務局 木下明美まで。    TEL 03-5275-5665
*内容に関するお問い合せは、
フォーラム担当 西田陽光まで。TEL 03-5275-5607
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