【No.630】政治から独立しかつ民意を反映する教育行政を |教育研究家 古山 明男氏|
2013.11.21

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J.I.メールニュース No.630 2013.11.21発行

「政治から独立しかつ民意を反映する教育行政を」

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【1】<巻頭寄稿文>
「政治から独立しかつ民意を反映する教育行政を」
教育研究家 古山 明男
【2】<お知らせ>

(1) 第195回J.I.フォーラム  11月28日(木)開催
「小さいことは面白いことだ~市町村長企画第二弾
『町村長に聞く~』」

(2) 【11月の仕分け】 11/24(日)高松市(全国初の施設仕分け!)

(3) 新ウェブサービス「JUDGIT!」本格稼働開始!
http://judgit.net/

(4) Pai×2(ぺぺ)ライブ情報!

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【1】「政治から独立しかつ民意を反映する教育行政を」
教育研究家 古山 明男
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教育には、問題があったとき、国、自治体、教育委員会のどこが
いったい責任をもって解決してくれるのかわからない構造がある。
この無責任体制の解消のため、「教育委員会の権限を首長に移せ」、
「いや首長に権限を移すのは危うい」、という議論が起こっている。

教育委員会をそのままにすれば、教育への民意反映は難しいだろ
う。しかし、首長に権限が移れば、選挙目当ての政策に教育が振り
回されるだろう。

この議論は、どちらにも軍配を挙げかねる難しい問題に見える。

しかし、この二者択一の議論は不毛である。教育では、政治から
の分離と、民意反映の両立が必然なのである。

成熟した民主主義の国では、この両立をうまくやっている。

そのやり方には、大きく分けて二通りある。一つは、行政の内部
で教育部門を独立させることである。米国の教育委員会がこのタイ
プである。もう一つは、行政は自治体に任せるが、学校の独立性を
法的に保障するタイプである。ヨーロッパに多いタイプである。

日本のこれからとして、一つの道は教育委員会の中に民意を反映
させることである。つまり教育委員を公選制にする、あるいは教育
長を公選制にすることである。

しかし、一気に学校自治に進むことも案として十分検討すべきも
のだ。ここではフィンランドの教育改革事例を紹介したい。フィン
ランドは、当時中央集権的、権威主義的な教育からいかに脱却する
かが課題だったので、日本と共通する点が多い。

フィンランドは、90年代初頭にバブル崩壊と社会主義経済崩壊に
巻き込まれ、恐慌状態になった。そのとき、教育の大改革を行い、
数年後には学力が急速に伸びて世界の注目を浴びた。

その方法は、検定教科書の廃止、学習指導要領の簡素化であった。
さらに「視学制度」を廃止した。視学というのは、学校を巡回して
教員の業務をチェックする行政職である。

これにより、教員は行政官がどう評価するかを気にする必要がな
くなり、その能力を遺憾なく発揮するようになった。

もともと教師の質は高く、教師に対する尊敬は高い国であった。

さらに、教育行政は地方分権と学校自治を大幅に進めた。学校ご
とに保護者の協議会があり、校長人事に対して承認権を持っている。
校長は学校ごとの公募である。これで、学校が行政官にではなく、
利用者に対して責任を取るようになった。

教育制度は、小国に見るべきものが多い。智恵一つで生き抜かな
ければならない国は、子どもを賢く育てることに賭けるしかないの
である。

今の日本にもこのくらい思い切った改革が必要である。

教育行政に関しては、文科省権限を含めて、徹底的な検証が行わ
れることを期待する。

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古山 明夫(ふるやま あきお)

1949年生。私塾、フリースクールを主宰し、地域のニーズに応える。
教育の歴史、国際比較を研究。古山教育研究所所長。「多様な教育
を推進するためのネットワーク」代表。著書に『変えよう!日本の
学校システム』(平凡社 2006)
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【2】 (1) 第195回J.I.フォーラム  11月28日(木)開催
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「小さいことは面白いことだ」
― 市町村長企画第二弾「町村長に聞く」 ―

「大きいことはいいことだ」私たちの周りにはこんな感覚が多いと思い
ます。自治体も合併して大きくなりました。それでもまだ小さな町や村が
残っています。その中で、小さいからやっていけない、ではなくベンチャ
ー企業のように小さいからユニークなことをやり元気な町や村があります。
そんな町長、村長さんに大いに語っていただきます。

○日時:11月28日(木)18時30分~20時30分(開場18時00分)

○会場:日本財団ビル2階 大会議室

○ゲスト:伊藤 実  愛知県豊根村長
片山 健也 北海道ニセコ町長
笹野 寛  岡山県新庄村長

後藤 健市 合同会社 場所文化機構 代表

コーディネーター:加藤 秀樹(構想日本 代表)

○フォーラム参加費:一般 2,000円 / 学生 500円(学生証提示)
(シンクネット・構想日本会員は無料です)

○懇親会「頤和園(いわえん)溜池山王店」(懇親会費 4000円)

※ フォーラムへの参加はHPのフォームから、もしくはこのメール
にご返信をお願いします。
(J.I.フォーラムへのお申込み:
https://www.kosonippon.org/wp-manager/forum/regist.php?m_forum_cd=295)
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【次回のお知らせ】

※ 次回12月は初の“地方開催”です。ご注意くださるようお願い致します。

第196回J.I.フォーラム(参加費無料/予約不要)

茨城県内では6市町で14回も事業仕分けが実施されており、神奈川県に
次ぐ全国2番目の多さです。しかも、14回すべての仕分けで市民が判定に
参加(市民判定人)しているのは全国で茨城県だけです。つまり、茨城
県は「オープンガバメント」の最先進地域と言えるのです。

そこで、事業仕分けの実際の効果や先進「オープンガバメント」の状
況について、3市長が一堂に会し、住民と双方向の議論をすると同時に、
ひろく全国に発信していきます。

○日時:12月15日(日)14:00~16:00
○会場:千代田公民館講堂(茨城県かすみがうら市上佐谷991-5)
○登壇者:海野 徹 (那珂市長)
片庭 正雄(つくばみらい市長)
宮嶋 光昭(かすみがうら市長)
加藤 秀樹(構想日本 代表)

コーディネーター:伊藤 伸(構想日本 総括ディレクター)

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※ 今回の第196回フォーラムは入場無料で行います。
したがって、フォーラム開催にかかる交通費などの諸経費は全て
構想日本の負担です。そこで、オンライン寄付を集める「Just
Giving Japan」で、このフォーラムの開催に関する寄付を募集
することにしました。少しでも応援して頂けると大変嬉しいです。
http://justgiving.jp/c/9337

構想日本は、今回のフォーラムのように政治や行政を「自分事」
として考えるための取り組みを今後も継続して行っていきたい
と考えています。そして、費用をまかなうため今回のような工
夫も考えます。どうかよろしくお願いします。

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【2】 (2) 【11月の仕分け】
11/24(日)高松市(全国初の施設仕分け!)
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○高松市公開施設評価(全国初!高松市「施設仕分け」)

【日程】 11月24日(日)

【参加者】コーディネーター:1名(構想日本派遣1名)
ナビゲーター:2名(構想日本派遣2名)
市民評価者:20名(無作為抽出による高松市民)

【構想日本選定参加者】
コーディネーター(総合調整役):伊藤 伸(構想日本 総括ディレクター)
ナビゲーター(道先案内人):福嶋 浩彦(中央学院大学教授)
川嶋 幸夫(構想日本 政策アナリスト)

【お問い合わせ】
高松市 財産活用課     TEL:087-839-2255
構想日本 伊藤/川嶋/田中 TEL:03-5275-5607
MAIL:shiwake@kosonippon.org
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【2】 (3) 新ウェブサービス「JUDGIT!」本格稼働開始!
http://judgit.net/
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JUDGIT!(ジャジット)は、国の事業にネット上でコメントができる、
国民参加型のウェブサービスです。各府省がすべての事業について発表
している「行政事業レビューシート」(事業ごとに統一のフォーマット
でコンパクトに説明したシート。政府全体で約6000。)に対して、イエ
ス、ノーのスタンプを押したり、自由に意見を投稿したりできます。

今週20日から本格稼働しましたので、何はともあれ試してみてください。
そして、ご家族、お知り合いに是非すすめて下さい。コメントする人が
多いほど、政治家や官僚を動かすことができるのです。
トップページに登録画面があります(もちろん無料)。わかりにくいと
ころがあれば、ご遠慮なくお問い合わせ下さい。

主な特徴は以下の通りです。

1.「イケテル!」「イマイチ…」ボタンで簡単意思表示

「行政事業レビューシート」を見て、事業そのもの、または項目毎に
「イケテル!」「イマイチ…」のボタン(それぞれ、青、赤のスタン
プで表示)を押すことができます。

2.「わからない」「おかしい」と思えば、すぐにどこでもコメント記入

シートの内容が「よくわからない」「何かおかしい」と感じたら、
すぐにその場でコメントを書くことができます。また、他の人のコ
メントに対しても「イケテル!」「イマイチ…」やコメントを書く
ことができます。

3. みんなの意見で政治が動きます

政府の具体的な事業に対する評価ですから、一般的なアンケート
よりも、世論の動向が正確にわかります。投稿がふえるほど政府
や政治家も耳を傾けるでしょう。さらに、質問やコメントの多か
った事業は、構想日本がユーザーの意見をまとめて、政府の政策
に反映するよう働きかけていきます。

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【2】 (4) Pai×2(ぺぺ)ライブ情報!
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第193回フォーラムのゲストPaix2様から、以下の素敵なお知らせが
届きました。ご興味のある方は、是非ご参加下さい。
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【早めに来ちゃったXmas(すぺしゃる)アコーステックライブ!】

○日程:12月4日(水)

○場所:汐留BLUE MODE
(東京都中央区築地5-6-10 浜離宮パークサイドプレイス1F)

○時間:開場18:00
開演19:00~

○チケット料金:前売り予約 3,000円
当日券   3,500円
1ドリンク 別途「500円」

○サポートメンバー:Guitar 松ヶ下 宏之 (Bluem of Youth)
Piano  高橋 雅人

※ ご予約はpaix2@paix2.com までメール、
又は 電話:090-9680-1207「片山」迄!

【スタッフのひと言】

「今回の企画はスペシャル企画、皆様と親しくワイワイと楽しい
お話をしながらの進行で進めます。特別企画『Paix2(ぺぺ)
のお宝オークション』もあるかも知れません。人数限定ですの
でお早めにお申し込みください」

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