【No.649】美術館勤めのひそかな楽しみ |出光美術館 嘱託  仲谷 昌久氏|
2014.04.10

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J.I.メールニュース No.649 2014.04.10発行

「美術館勤めのひそかな楽しみ」

出光美術館 嘱託  仲谷 昌久

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【1】<巻頭寄稿文>

「美術館勤めのひそかな楽しみ」

出光美術館 嘱託  仲谷 昌久

【2】<ご紹介>

『新国立競技場、何が問題か』出版記念シンポジウム

【3】<お知らせ>

(1)第200回J.I.フォーラム  5月16日開催

「現場力・結集=Japan Initiative」

(2)「JUDGIT!」を使って新国立競技場の問題を議論しよう!

(3)会費のクレジット決済システム導入のご案内

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【1】「美術館勤めのひそかな楽しみ」

出光美術館 嘱託  仲谷 昌久

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出光美術館は「海賊と呼ばれた男」で有名な出光佐三がその生涯を通じて蒐集した膨大な美術品がベースとなっておりますが、佐三は禅画や古唐津など日本精神に通じる質素な美術品を愛しました。ロビーからの皇居の眺めも佐三が愛した景色です。

私は出光石油で石油開発や外航タンカーの配船、原油・石油製品のトレーディング等の業務に携わったあとで、出光美術館の事務局を担当して15年ほどになりますが、そのような落ち着いた雰囲気のなかで、近世以前の日本美術を中心とした当館のコレクションに囲まれて、日々美術館に勤務するうちに、誰もいない開館前の展示室にひとりで佇んでいると、時に不思議な感覚を覚えることがあります。それは、ある時は室町時代の画家との対話であったり、またある時は戦国大名との謁見であったりするのです。

能阿弥という足利将軍に仕えた絵師の、水墨のみで描かれた花鳥図屏風の前に立ったときには、この世のものとは思えぬゾクッとするような霊気に鳥肌が立ち、確かにそこに能阿弥の存在を感じました。観阿弥、世阿弥など阿弥衆と呼ばれた人々は現世と来世を自由に往来できたとも言われますが、なるほど能阿弥の絵は異界の風景を描いたものに違いありません。

また、ある時には狩野派の画家の手になる二曲一隻の鷹図屏風に金縛りになりました。鋭い眼光を持つ鷹が両羽を広げ、尖った爪をむき出しにして、獲物の兎に今にも襲いかかろうとした迫力ある絵でしたが、その絵を見たときには、まるで自分が戦国武将の屋敷を訪れて主を待つために通された3畳の小間で、その屏風絵とひとりきりで対峙させられているような錯覚に陥りました。小半時が過ぎても主は出てきません。その間に客人は獲物の兎にすっかり感情移入をしてしまいます。その頃合いを見計らって、主は居丈高に登場し、屏風の前にあぐらをかいて、客人を鋭くにらみつけるのです。

その感覚に囚われた時、何故武士があれほど鷹の絵を好んだかが初めて納得できました。

そういえば、京都二条城の玄関には虎の絵がありますが、同じ理屈でしょう。

ところで美術館の楽しみ方は人それぞれですが、折角本物の美術品に出会いながら、作品そのものはほとんど見ないで、横に添えられた解説文を熟読している美術ファンをよく見かけます。折角美術館に来られたのなら、解説文はさっと斜め読みして、じっくりと美術品を鑑賞し、ご自分の感性で美術品を楽しんでいただきたいと存じます。

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仲谷 昌久(なかたに まさひさ)

1975年出光興産(株)入社。1981年日墨政府間交換留学生としてメキシコに1年間留学。1982年米国テキサス州にヒューストン事務所開設のため赴任。1987年帰国、海外部配属。1992年ブラジル国リオデジャネイロ赴任、現法代表。1995年同サンパウロへ移動。1997年帰国、石油開発配属。1999年財団法人出光美術館、総務課長就任。2013年公益財団法人出光美術館 嘱託、現在に至る。
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【2】<ご紹介>

メルマガ等で構想日本とご縁のある方々から寄せられた、シンポジウムのお知らせです。
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『新国立競技場、何が問題か』出版記念シンポジウム
http://www.heibonsha.co.jp/books/b167998.html

○日時:2014年4月23日(水)18:00
○会場:日本建築家協会・建築家会館1階大ホール(渋谷区神宮前2-3-16)

地図・アクセス


○会費 無料。 予約不要、当日先着順。
○内容 座談:槇文彦、大野秀敏、森まゆみ、陣内秀信。進行:古市徹雄。総合司会:元倉眞琴。

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【3】(1) 第200回J.I.フォーラム  5月16日(金)開催
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「現場力・結集=Japan Initiative」

1997年5月に始まったJIフォーラムがついに200回目を迎えます。17年間で827名のゲストにご参加いただきました。やはり、「継続は力なり」で、このフォーラムでの議論やゲストの人達の活動を通じて社会の課題や解決方法を多くの方と共有できたと考えています。
構想日本は4月から一般社団法人になりますが、これを機に政策提言・実現の基盤を、これまで以上に 「現場力」「自分事」「イニシアティブ」に絞っていきます。200回記念フォーラムもそこに焦点をあて、現場で「ホンモノ」の活動をされている方々と日本の将来について語り合いたいと思います。

○日 時  : 平成26年5月16日(金)18:30~20:30(開場18:00)

○会 場  : 日本財団ビル2階 大会議室  港区赤坂1-2-2 TEL 03-6229-5111
※会場のセキュリテイの都合上、本案内状を会場1階で提示してください。

○ゲスト  : 大南 信也(NPO法人グリーンバレー理事長)
片山 健也(ニセコ町長) 他

○コーディネーター : 加藤秀樹(構想日本代表)

○定 員  : 160名

○参加費  : 一般 2,000円 / 学生 500円 (シンクネット・構想日本会員は無料です)
※学生の方は受付にて学生証をご提示ください。

懇親会参加費 : 4,000円(ご希望の方は下記懇親会参加に○をつけてください)

※ゲストを囲んで、下記の会場で懇親会を開催いたします。
「頤和園(いわえん)溜池山王店」 港区赤坂1-1-12 TEL 03-3584-4531

※ フォーラムへの参加はHPのフォームから、もしくはこのメールにご返信をお願いします。
(https://www.kosonippon.org/wp-manager/forum/regist.php?m_forum_cd=322)

★4月のJ.I.フォーラムはお休みします。5月の200回をお楽しみに!!

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(2) 「JUDGIT!」を使って新国立競技場の問題を議論しよう!
http://judgit.net/
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現在、構想日本では、国が行う5,000以上の事業について書かれたシートに誰でも自宅からフェイスブックの「いいね」ボタンを押したり、スタンプを押したり、コメントを書いたりして、意思を表明できるウェブサービス「JUDGIT!(ジャジット)」(もちろん無料)を使い、新国立競技場の問題を議論するキャンペーンを展開しています。

まずは下記のページにアクセスして、新国立競技場関連のシートに「いいね」やスタンプ、コメントをしてみてください。「JUDGIT!(ジャジット)」を見る人が多いほど、そして使う人が多いほど、新国立競技場の問題について国民的議論が盛り上がります。ぜひ一度見てみてください。

新国立競技場に関連するシート
独立行政法人日本スポーツ振興センター運営費交付金に必要な経費
http://judgit.net/251581/top

独立行政法人日本スポーツ振興センター施設整備費
http://judgit.net/251582/top

※はじめてご利用される方は簡単な登録が必要になります。ご不明な点等については、下記担当まで、ご遠慮なくお問い合わせください。

担当:伊藤・田中 TEL:03-5275-5607
shiwake@kosonippon.org
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(3) 会費のクレジット決済システム導入のご案内
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構想日本の運営資金は、会員の皆様からの会費(個人会員は一口1万円、入会金2000円)で賄われています。
この度、入会や会費払込みの手続きを簡単にするため、WEBからクレジットカードで決済できるシステムを導入しました。
WEB申込みの場合、特典として入会金2000円が無料になります。これから会員になっていただく方はもちろんですが、既に会員になっている方も更新のタイミングでご活用いただけます。
私たちは、非営利独立の立場から個々の政策に加え、その根底に横たわる政治・行政の仕組みそのものを変えることによって世の中を動かそうと活動しています。この活動に「ちょっと期待してみる」と思われる方、まずは1年間会員になってください。よろしくお願いします。
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