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【No.662】原発 ―この国の危うさを憂う―

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J.I.メールニュース No.662 2014.07.10発行

「原発 ―この国の危うさを憂う― 」

前東海村村長  脱原発をめざす首長会議・世話人

村上 達也

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【1】<巻頭寄稿文>

「 原発 ―この国の危うさを憂う― 」

前東海村村長  脱原発をめざす首長会議・世話人

村上 達也

【2】<ご紹介>

(1)公開講座「児童虐待被害者支援策の新展開」7月12日(土)

(2)キックオフ・シンポジウム「新国立競技場計画の持続可能性は?」7月11日(金)

(3)シンポジウム「新国立競技場とオリンピック施設計画に何が必要か?」7月12日(土)

【3】<お知らせ>

(1)大刀洗町「住民協議会」7月12日(土)

(2)第202回J.I.フォーラム  7月30日(水)開催

「持続可能な医療を考える」

(3)構想日本× PHP総研

「現場みらい塾」~地域のリーダー育成プログラム~

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【1】 「 原発 ―この国の危うさを憂う― 」

前東海村村長  脱原発をめざす首長会議・世話人

村上 達也

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福島原発事故はこの国の在りよう、国民の精神性を問うている。本来なら事故を受けて価値観の転換があってしかるべきだが、安倍政権の誕生以後、原発勢力が公然と復活し福島以前に戻ろうとしている。「倫理委員会」の結論を受けて脱原発に転換したドイツとの懸隔は大きい。この国の精神の貧困を思い、情けなく、悲しい。

5月20日、ここ東海村の日本原子力発電(株)は東海第二原発の適性審査申請を規制委員会に提出した。「あの原電が?他の原発に先んじて!」私の率直な驚きである。東海第二原発は35年経過の老朽原発であり、3.11で被災した原発がである。その上、首都圏に最も近くあり30km圏内には100万人が住む。再稼動には最も遠いところにいる筈の原発が、遮二無二再稼動に邁進する、この姿勢は正直醜悪である。一旦事があればこの国は吹っ飛ぶ。そこまで言わなくとも、優に100万人以上に及ぶ避難者に、責任をとる覚悟あってのことか。国が丸ごとかかっても無理だ。福島15万人の避難者さえ救済できてないのだから。

原電の居丈高な姿勢は安倍政権のお陰。この政権は国民議論を経て纏めた民主党政権の脱原発政策をボロ布の如く投げ捨て、全く原発事故以前に戻した。原子力を「重要なベースロード電源」とするエネルギー基本計画と『「世界一厳しい」規制基準に合格したものは着実に再稼動する』との安倍首相発言によるものである。強引な憲法解釈などと軌を一にした、無茶苦茶な国権主義的姿勢だ。これで原発勢力は俄然勢いを取り戻した。

なにが「世界一」なものか!欧米諸国で適用されているIAEA基準の「深層防護」※1の思想がなく、避難計画等緊急時対応の適否判断が規制基準に含まれていない。

首相は「世界一」とか「世界最優秀」という言葉が好きなようだが、戦前の「神国日本」「不敗の皇軍」が想起させられる何と空疎な言葉か。未だに事故原因の究明、事故の収束、避難者の前途も見えていない、そうした中で政府と原子力業界は戦前の軍部同様、国民の命を楯に己の利権保持に走っている。このままヒロシマ、ナガサキの轍を踏むのか。もう一度甚大な原発事故を起さないと目覚めないのか、嫌悪、立腹ばかりか悲哀さえも覚える。

今の状況に私は、もんじゅ事故後とJCO臨界事故後の原子力業界の動きが想起させられる。両事故のあと信頼回復のためにと政府も業界もPA活動※2と称する住民対策、原子力「安全神話」の宣伝に躍起となっていた。しかし、それは科学的精神の衰弱を齎し、自惚れと過信と夜郎自大意識の蔓延など自らを蝕んだだけだった。

JCO事故については「事故原因は規制を逸脱し、『バケツとヒシャク』で作業を行った不埒な会社の行為にある」というが如き皮相な総括を以てJCOをスケープゴートにし幕を引き(JCOは刑事告訴された)、原子力業界は官も民も自らが反省することはなかった。

私は衆議院科学技術委員会公聴会(’99,11,24)などで、「臨界事故は、原子力科学技術を保有、利用するに足る法整備がなく、組織体制もできていないところで起こった。これが事故の真の原因、社会的背景だ。」「原子力災害を想定した法律もなければ、規制組織は推進一辺倒の体制の中でお飾り程度に過ぎない。これを改め規制組織独立の原則に基づき推進と規制は組織分離すべきだ。」と言ってきた。

しかし政府、原子力業界はその後もIAEAなどからの勧告にも拘らず、お茶濁しの改革で済まし、その結果が福島原発事故に至った。JCO事故後新設された原子力安全・保安院は、結局推進官庁の経産省資源エネルギー庁内に止まり「原発推進が役目だ」と公言して憚らなかった。原子力業界は私に対し、二度の村長戦で「反原子力の村長」と烙印を押し、総力を挙げて戦いを挑んできた。原子力推進の象徴『東海村の村長』は、彼らの意中の者でなくてはならないのであった。

このような経緯から私は「JCO臨界事故からフクシマまでは一直線だ」と言ってきている。この国は原発のような巨大科学技術を手にする能力はあるだろう、だがそれを制御する社会的能力や文化をつくることに失敗してきた。福島原発事故を起した以上は、厳しいけれど、これを自認することが次への第一歩だと思う。成長戦略だ、産業競争力だ、集団的自衛権だという前に。

5月21日、福井地裁は大飯原発運転差し止め訴訟で経済的利益よりも「生存に関わる人格権」が優先するとする画期的な判決を下した。ドイツ「倫理委員会」に比肩しうる精神、論理だ。国民の命、個人の平和な生活よりも国威や国益優先の国権主義者には無理な注文かも知れないが、安倍首相は権力を弄ぶのを止め、国民の声を聞き、メルケル首相に倣い、脱原発を決断すべきである。福島原発事故は第二の敗戦とも言われる。今こそ日本国憲法の真髄をひも解き、道を正すべき時である。敗戦後に先輩達がしたように。

※1原子力施設の安全確保の考え方の一つ 第5層からなる防護レベル。日本は第1~3層。IAEAなどの国際基準は第1~5層。

※2(パブリック・アクセプタンス)原子力発電所・空港の建設など、周辺に社会的な影響を与える事柄について、住民の合意をえること。

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村上 達也 (むらかみ たつや)

1943年茨城県東海村生まれ。1966年一橋大学卒業、常陽銀行入行。1997年東海村長に就任(2013年退任、4期)。元全国原子力発電所在地市町村協議会副会長(福島原発事故で引責辞任)。現「脱原発をめざす首長会議」世話人。( http://mayors.npfree.jp/ ) 1999年JCO臨界事故遭遇、村長独断で住民避難を実施。事故後水俣市訪問、村政の基本を「開発・発展からの脱却、人と環境優先」に。2012年社会的、文化的価値重視の「サイエンスタウン構想」策定。

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【2】<ご紹介>

構想日本とご縁のある方々から寄せられた、お知らせです。
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(1)公開講座「児童虐待被害者支援策の新展開」

◇日時  2014年7月12日(土)午後1時00分~5時30分

◇会場  東京大学本郷キャンパス 経済学研究科棟地下1階 第一教室

◇出演者:
司会   川越敏司
挨拶   松井彰彦
講演者  友田明美
内田良
赤林英夫
小長井賀與
柏女霊峰

◇入場料 無料

◇お問合せ rease@e.u-tokyo.ac.jp

詳細はこちら http://www.rease.e.u-tokyo.ac.jp/act/140712.html

※前回のメルマガをご執筆いただいた、友田明美先生が講演されます。

13:05-13:45 第1講演「児童虐待と“癒やされない傷”~虐待被害者の脳科学的研究~」

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(2)キックオフ・シンポジウム「新国立競技場計画の持続可能性は?」

◇日時  7月11日(金)14:00-16:30

◇場所  千葉商科大学・丸の内サテライトキャンパス
千代田区丸の内3-1-1国際ビル1階/ 電話03-3216-5220
http://www.cuc.ac.jp/access/

◇発言者  原科幸彦
浜野安宏
森まゆみ
森山高至
大野秀敏
鈴木知幸
三上岳彦

◇参加費 無料(要予約・定員60名)

◇問合せ・申込先
桑原 メール:kuwabara.yoichi@uwalumni.com

主催:参加と合意形成研究会

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(3)シンポジウム「新国立競技場とオリンピック施設計画に何が必要か?」

◇日時  7月12日(土)15:00-18:00

◇場所  建築家会館本館1階ホール(渋谷区神宮前2-3-16)

*会場は上記に変更になりました。地図:http://www.jia.or.jp/map.html

◇ パネラー
元倉眞琴、森まゆみ、坂井文、上浪寛
コメンテーター
芦原太郎、長島孝一。
コーディネーター
連健夫。

◇参加費 無料(要申込)

◇申込先 JIA事務局/メール:mohnishi@jia.or.jp
ファクス:03-3408-8294

主催:JIA関東甲信越支部、建築・まちづくり委員会
詳細→http://urx.nu/9ELX

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【3】(1)大刀洗町「住民協議会」 第2弾:地域包括ケア
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「住民協議会」は、重要な行政課題について、住民自身が具体的な問題整理とその解決策を考え、町として一定の方向性を出すという取り組みです。

無作為に抽出した住民1000人に案内を送付し、応募のあった人の中から47人に協議会の委員になってもらいます。司法における裁判員制度と同様の仕組みです。

行政への住民参加では、行政に対する要望、注文が多くなる傾向がありますが、この協議会では、まず「個人でできること」、次に「地域でできること」を考え、最後に「行政で取り組むべきこと」を考えます。

住民による自治、民主主義の最先端がここにあります。ぜひ傍聴してください。

◯日 時
第1回:2014年7月12日(土) 9:00~12:00
(地域包括ケア全体像の把握、疑問点の洗い出し)

第2回:8月10日(日) 9:00 ~12:00
(3班に分かれて議論、全体での意見交換)

第3回:9月13日(土)13:00~16:00
(報告書の叩き台をもとに議論、意見集約)

◯会 場
大刀洗町 役場3F (大刀洗町大字冨多819番地)
※会場についてのお問い合せは大刀洗町総務課まで(0942-77-0101)

◯主 催 大刀洗町
◯協 力 構想日本

*お問い合わせ:構想日本 伊藤/田中
TEL:03-5275-5607 shiwake@kosonippon.org

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(2) 第202回J.I.フォーラム  7月30日(水)開催

「持続可能な医療を考える」

かつての感染症中心から生活習慣病への変化などを背景とした患者のニーズや行動の変化、それらに伴う医師や病院の対応の変化、健康管理が困難になったこと、高齢化に伴う医療、介護を一貫してみていくことの必要性、そして急増する医療費に伴う財政問題など、日本の現在の医療制度はサステイナブルではなくなりつつあります。

構想日本は現場の医者や研究者と議論を重ね、この課題に対する有力な方法として「地域健康管理医」を軸とする医療供給体制の抜本的な改革を考えました。これは制度と現場の実践の両サイドから進めていく必要があります。

医者、学者、国など各分野のエキスパートにお集まりいただき、大いに議論します。

○日 時  平成26年7月30日(水)18:30~20:30(開場18:00)
※日程変更しています。

○会 場  アルカディア市ヶ谷 鳳凰の間
千代田区九段北4-2-25 TEL03-3261-9921
http://www.arcadia-jp.org/access.htm

※いつもと場所が違います。ご注意ください。

○ゲスト  土屋 了介(神奈川県立病院機構 理事長)

西村 周三(医療経済研究機構 所長) ほか

○コーディネーター 加藤秀樹(構想日本代表)

○定 員 120名

○参加費 一般 2,000円 / 学生 500円 (構想日本会員は無料です)
※学生の方は受付にて学生証をご提示ください。

○懇親会参加費  4,000円(ご希望の方は懇親会参加と明記してください)

※ゲストを囲んで懇親会を開催いたします。

「市ヶ谷 河岸番外地」 千代田区五番町2-23 NKIビルB1F TEL 03-3265-8595
http://urx.nu/9N4E

※ フォーラムへの参加はHPのフォームから、もしくはこのメールにご返信をお願いします。
( http://www.kosonippon.org/cp-bin/wp/forum/regist.php?m_forum_cd=326 )

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(3) 「現場みらい塾」~地域のリーダー育成プログラム~

地域のリーダー育成プログラム「現場みらい塾」、最終回の第3回は「事業仕分け」です。受講生が作成した事業シートを用いて、自らの事業を仕分けの目線で振り返る「模擬事業仕分け」を行います。

第3回のみのご参加も可能です。主に自治体職員を対象としていますが、地方議員や民間の方など、行政関係者以外の方のご参加も大歓迎です。

○日 時 : 【第3回】平成26年7月26日(土)27日(日)
※土曜日13時~18時、日曜日9時半~15時半

○場 所 : PHP研究所 2階ホール (東京都千代田区一番町21番地 東急ビル)

○参加費 : 1万2,000円 (食事、宿泊費別)

○主 催 : PHP総研、構想日本

○参加申し込み:PHP総研ホームページ( http://research.php.co.jp/event/2014/06/21.php )よりお申し込みください。

お問い合わせは PHP総研:今井 TEL 03‐3239‐6222  構想日本:伊藤/田中 TEL 03‐5275‐5607 まで

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