【No.664】「山からの便り・美山森林学校(2)」|美山森林学校校長  小林 直人氏|
2014.07.24

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J.I.メールニュース No.664 2014.07.24発行

「山からの便り・美山森林学校 2」

美山森林学校校長  小林 直人

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【1】<巻頭寄稿文>

「山からの便り・美山森林学校 2」

美山森林学校校長  小林 直人

【2】<お知らせ>

(1)第202回J.I.フォーラム  7月30日(水)開催

「持続可能な医療を考える」

(2)構想日本× PHP総研

「現場みらい塾」~地域のリーダー育成プログラム~

【3】<ご紹介>

(1)トーク&ライブ
「原発のない未来へ~上関原発を建てさせないために~」7月26日(土)

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【1】 「山からの便り・美山森林学校 2」

美山森林学校校長  小林 直人

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「東京大学のドウモトです」という電話の後すぐに彼女がやって来た。美山に泊まっているのだという。

前口上は、「美山に行くのなら一度訪ねて行きなさい。と京大東南アジア研究センターの山田先生に言われたので」とのことだった。そこで、超越人類学・博士課程という見慣れない名刺を差し出した。

観光で注目を浴びている町だから、美山に住んでフィールドワークをしたい。観光に焦点を絞って観察したい。つまり観光人類学が彼女のテーマだった。

僕は、観光という言葉には偏見に似た反応をしがちなので、何だ、学問研究のネタはなんだっていいのか、と反射的に思ってしまう。珍しい処へ行って美味しいものを食べて、再び自分が住んでいる元の風景に身を沈めに帰って来るだけだったら、単純に玉突きしているだけじゃないか・・・と。

しかし、彼女の経歴は少々変わっていた。慶応、新潟の造り酒屋に就職、イギリスに留学、東京大学の博士課程と遍歴しているのだ。東大一直線でないのがいい。それに、涼しい目元をしている。ともあれ、(東京大学のドウモトさん)は美山に住みながら長期参与観察※をすることになっていた。

「それなら、森林学校にもおいでよ

あれから10年が過ぎた。ドウモトさんは金沢の星陵大学に職を得てからも能う限り森林学校に来る。近江町市場で酒の肴を買ってきてくれるのも彼女の役割となった。星陵という名前は、あの松井秀喜が出た高校につながる。我々にはそのくらいの知名度しかない。ドウモッちゃんはそこで文化人類学を教えている。英語も教える。よく言われることだが、この頃の大学生は英語の長文が読めないので、底上げする必要があるのだろう。学問の薀蓄が学生の頭上を通過するだけでよしとしない愛情の深い先生であるに違いない。

ドウモッちゃんは無事博士論文を提出して博士となった。それだけなら普通の出来事なのだが、論文が新曜社から出版されたのである。

「里山観光の資源人類学(京都府美山町の地域振興)」 堂下 惠。

少々値段が高いけれど興味のある方は一度読んでみてほしい。

文化人類学は、未開の民族を訪ね歩いて観察した結果をまとめる仕事だと思っていたがそうではなく、「人類学が対象としようとしたのは、いまだ十分に把握しきれていない人間というものの全体像だったのである」(山下晋司)。

超越と印刷された名刺の意味がいまでは判るような気がする。

この本は美山森林学校にも一章が割かれている。里山を二次的資源として観光に組み入れる一方、林業の対象である生態資源には、これからの課題として、カールポランニーの言うレジティマシーとガヴァナンスの概念が紹介されている。つまり、何故林業をするのか(森林学校をするのかも含めて)の正統性の発見と持続可能性の工夫を探ることであろう。痛いところを突いている。

※調査者自身が対象となる社会に加わり、長期にわたり生活をともにしつつ観察、資料を収集する方法。

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小林 直人(こばやし なおと)

1941年生まれ。同志社大学文学部卒業。京都府南丹市で林業を生業にする。美山森林学校校長。

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【2】(1)第202回J.I.フォーラム  7月30日(水)開催
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「持続可能な医療を考える」

かつての感染症中心から生活習慣病への変化などを背景とした患者のニーズや行動の変化、それらに伴う医師や病院の対応の変化、健康管理が困難になったこと、高齢化に伴う医療、介護を一貫してみていくことの必要性、そして急増する医療費に伴う財政問題など、日本の現在の医療制度はサステイナブルではなくなりつつあります。

構想日本は現場の医者や研究者と議論を重ね、この課題に対する有力な方法として「地域健康管理医」を軸とする医療供給体制の抜本的な改革を考えました。これは制度と現場の実践の両サイドから進めていく必要があります。

医者、学者、国など各分野のエキスパートにお集まりいただき、大いに議論します。

○日 時 : 平成26年7月30日(水)18:30~20:30(開場18:00)
※日程変更しています。

○会 場 : アルカディア市ヶ谷 鳳凰の間 千代田区九段北4-2-25
TEL03-3261-9921
http://www.arcadia-jp.org/access.htm

※いつもと場所が違います。ご注意ください。

○ゲスト : 土屋 了介(神奈川県立病院機構 理事長)

西村 周三(医療経済研究機構 所長)

吉田 学 (厚生労働省大臣官房審議官・医療介護連携担当)

○コーディネーター:加藤秀樹(構想日本代表)

○定 員 : 120名

○参加費 : 一般 2,000円 / 学生 500円 (構想日本会員は無料です)
※学生の方は受付にて学生証をご提示ください。

○懇親会参加費 : 4,000円(ご希望の方は懇親会参加と明記してください)

※ゲストを囲んで懇親会を開催いたします。

「市ヶ谷 河岸番外地」 千代田区五番町2-23 NKIビルB1F
TEL 03-3265-8595  http://urx.nu/9N4E

※ フォーラムへの参加はHPのフォームから、もしくはこのメールにご返信を
お願いします。
( https://www.kosonippon.org/wp-manager/forum/regist.php?m_forum_cd=326 )

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(2) 「現場みらい塾」~地域のリーダー育成プログラム~

地域のリーダー育成プログラム「現場みらい塾」、最終回の第3回は「事業仕分け」です。受講生が作成した事業シートを用いて、自らの事業を仕分けの目線で振り返る「模擬事業仕分け」を行います。

第3回のみのご参加も可能です。主に自治体職員を対象としていますが、地方議員や民間の方など、行政関係者以外の方のご参加も大歓迎です。

○日 時 : 【第3回】平成26年7月26日(土)27日(日)
※土曜日13時~18時、日曜日9時半~15時半

○場 所 : PHP研究所 2階ホール (東京都千代田区一番町21番地 東急ビル)

○参加費 : 1万2,000円 (食事、宿泊費別)

○主 催 : PHP総研、構想日本

○参加申し込み:PHP総研ホームページ
( http://research.php.co.jp/event/2014/06/21.php )
よりお申し込みください。

お問い合わせは PHP総研: 今井 TEL 03‐3239‐6222
構想日本: 伊藤/田中 TEL 03‐5275‐5607 まで

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【3】<ご紹介>

構想日本とご縁のある方々から寄せられた、お知らせです。
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(1)トーク&ライブ 「原発のない未来へ~上関原発を建てさせないために~」

◇日時:7月26日(土)13:00~15:30(開場12:30)パレード出発16:00

◇会場:東京ウィメンズプラザ(東京都渋谷区神宮前5-53-67)
http://www.pbls.or.jp/event/map_tokyo-womens-plaza.html

◇トーク:村上達也、清水敏保。 ◇ライブ:寿[kotobuki]

◇参加費:1000円(要予約)

◇予約先: URL  http://goo.gl/T8K1MT  FAX 03-3357-3801

*事前予約は7月25日(金)17:00まで。ただし定員になり次第締め切ります。

共催:上関原発どうするの? ~瀬戸内の自然を守るために~
http://kaminoseki.blogspot.jp/
(原子力資料情報室気付 担当/伴 TEL 03-3357-3800)

主催:ふぇみん婦人民主クラブ パレード協力:「野菜デモ」有志

瀬戸内海・周防灘に浮かぶ山口県上関町(かみのせきちょう)長島に原発を新設するという、中国電力による計画。

※前々回のメルマガをご執筆いただいた、村上達也様がご出演されます。

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