メールマガジン

【No.696】「理解が進むと誤解も増える、居住環境と自殺率との関係」

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J.I.メールニュース No.696 2015.03.12発行

「理解が進むと誤解も増える、居住環境と自殺率との関係」

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【1】<巻頭寄稿文>

「理解が進むと誤解も増える、居住環境と自殺率との関係」

和歌山県立医科大学 保健看護学部講師   岡 檀

【2】<お知らせ>

(1) 第210回J.I.フォーラム  3月25日(水)開催

「統一地方選を『自分事』に ~投票はまちづくりの第一歩~」

(2) 「現場みらい塾」第2期、第3期募集開始

(3) Yahoo!ニュースオーサー記事更新!

【3】<ご紹介>

(1) 署名運動 国立競技場の壁画を新競技場に保存し再展示することを求める署名運動

(2) プレイベント 社会を変える第一歩を学ぼう!

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【1】「理解が進むと誤解も増える、居住環境と自殺率との関係」

和歌山県立医科大学 保健看護学部講師   岡 檀

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居住環境が自殺率にあたえる影響について仮説を持っていた私は、全国3,318市区町村の30年間の自殺統計を用いて、地形と気候のデータを結合させたパネルデータを構築した。

これらを使って解析を行なった結果、自殺多発地域は、険しい山間部の過疎地で、年間を通して気温が低く、冬季には積雪する地域により多いことが明らかになった。可住地傾斜度(土地の傾斜)が強くなるほど自殺率が高まり、特に傾斜15度を超えたあたりからその影響は急速に強まっていた。

この知見に、多くの人が関心を寄せてくれた。しかし、問題への理解が進むとともに誤解も増えていくという現象に気づかされた。この解析結果に接した人の反応として、「だからといって、転居させるわけにもいきませんしねぇ」というのが少なからずある。つまり、住民の居住地を変えることによって自殺問題を改善できるという解釈を、私の研究から引き出してしまっている。

いやいや、ちょっと待ってください。そういうことではないんです。いつも私は、あわてて補足説明をする羽目になる。

険しい山間部では、隣人との交流、社会資源と支援、情報などへの地理的障壁が多い。特に高齢者にとっては、孤立や孤独を生じさせやすい環境といえるだろう。

さらに注意を向けるべきは、こうした地域に長年暮らしてきた人に固着した、気質ともいうべきものである。

併行して行なった住民アンケート調査では、厳しい自然環境の住民、特に高齢者の特徴として、忍耐心や、安易に人を頼らず自分で問題を解決しようとする克己心が強く表れていた。

これらは尊ぶべき美徳であると同時に、自殺予防という枠組みで考えた場合には危険因子ともなりうる。自殺対策で最も重要視されていることのひとつに、援助希求(助けを求める行動)があるが、忍耐と克己心の強いお年寄りは、なかなか弱音を吐けないのである。

さらに厄介なことには、「状況によっては自殺もやむを得ない」と考える人ほど――自殺への傾きの強い人ほど、悩みがあっても助けを求められないという関係が示されている。

私は、徳島を皮切りに、青森、京都、奈良において合計約5,800名のアンケート調査を行なってきたが、繰り返し同じ結果が出る。自殺への傾きの強い人ほど早めに助けを求めて欲しいのに、実際はその逆なのである。

うすうすお気づきであろうが、こうした気質を固着させた人々を平地へ移したからといって、にわかに変容を期待するのが無理であるし、その逆も然り、平地から山へと引っ越していったからといって、その人の気質が豹変するわけでもない。

対策に盛り込むべきは、我慢強いお年寄りの特徴を周囲が理解しつつ見守っていくことであると思うのだが、こんなふうに話すと、え、それだけですか?と、いかにも拍子抜けしたと言わんばかりの反応が返ってくることがある。

それだけですけれど、なにか?

・・・とは、口に出しては言わないが、それだけのことを理解した上で見守るのとそうでないのとでは大きな違いがあると、内心思っている。研究結果に接した人が「おおお~!」と感心してくれなくても、「ふう~ん」という反応があれば、研究者としてはそれで満足なのである。

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岡 檀 (おか・まゆみ)

和歌山県立医科大学保健看護学部 講師。慶應義塾大学大学院健康マネジメント研究科 博士課程修了。「日本の自殺希少地域における自殺予防因子の研究」で博士号を取得。コミュニティの特性が住民の精神衛生にもたらす影響について関心を持ち、フィールド調査やデータ解析を重ねている。日本社会精神医学会 評議員。情報システム研究機構・統計数理研究所 外来研究員。国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所 自殺予防総合対策センター 客員研究員。著書に、「生き心地の良い町―この自殺率の低さには理由(わけ)がある」(講談社)。第一回日本社会精神医学会優秀論文賞 受賞。

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【書籍のご案内】

★「生き心地の良い町 ーこの自殺率の低さには理由がある」講談社  岡 壇 著

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【2】(1) 第210回J.I.フォーラム  3月25日(水)開催

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「統一地方選を『自分事』に ~投票はまちづくりの第一歩~」

4月には統一地方選挙があります。日本中で首長や議員が選ばれるのです。

しかし投票率は昭和26年の約9割から前回の約5割まで低下し続けています。

つまり、私たちは地方自治を60年間にわたって「他人事」にし続けてきたのです。

実は市長や町長、地方議員などの権限は大きく、国会議員よりも私たちの生活に大きい影響を持っています。「他人事」の結果は地方政治・行政の劣化。ツケは自分たちに回ってきます。

これをどうやって「自分事」にしていくか、それぞれ異なる立場でユニークな地域活動をしている方々に議論していただきます。

◯日 時:平成27年3月25日(水)18:45~20:45(開場18:15)
(※日時変更あり)

◯会 場:日本財団ビル2階 大会議室  港区赤坂1-2-2 TEL 03-6229-5111

◯ゲスト:江藤 俊昭 山梨学院大学 教授

増沢 諒 「食べる政治」代表

安丸 国勝 福岡県大刀洗 町長

コーディネーター : 加藤 秀樹 構想日本 代表

◯主  催:構想日本

◯定  員:160名

◯参加費:一般 2,000円 / 学生 500円 (構想日本会員は無料です)
※学生の方は受付にて学生証をご提示ください。

◯懇親会参加費:4,000円(ご希望の方は下記懇親会参加に○をつけてください)
※ゲストを囲んで、下記の会場で懇親会を開催いたします。
「頤和園(いわえん)溜池山王店」
港区赤坂1-1-12 TEL 03-3584-4531

※フォーラムへのご参加は3月24日(火)18:00まで info@kosonippon.org
にお願いします。

なお、お申し込みの際の必要事項等詳細につきましては、HPを御覧ください。
( http://www.kosonippon.org/cp-bin/wp/forum/index.php )

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*参加申し込みに関するお問い合せは、
事務局 木下明美まで。 TEL 03-5275-5607

*内容に関するお問い合せは、
伊藤/田中まで。    TEL 03-5275-5607
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(2)「現場みらい塾」第2期、第3期募集開始

政策シンクタンクPHP総研と共同で本年度スタートした「現場みらい塾」。受講生の満足度が高かったこともあり、来年度は第2期、第3期を開講することとしました。

自治体職員を主な対象としていますが、それ以外の方も参加可能です。是非お申込みください。

テーマ

「”自分事”からはじめる地方自治 ~現場目線で人口減少時代を突破する ~」。

人口減少時代に突入した今日。地域にとって最も必要なのは、直面するさまざまな課題を自分事として捉え、考え、行動できる人材です。前例踏襲を振り払い、マニュアル依存から抜け出して、課題解決と未来創造に挑戦する。そんな強い志をもち、現場で活躍できる地域リーダー人材を輩出することをめざします。

特 徴

1.地域経営の第一線で活躍している講師陣
2.最先端の政策や手法のトレンドを学びとる講義プログラム
3.自ら考え、取り組むことで体得する実践プログラム

『第2期』スケジュール

第1回:2015年5月16日(土)13時~18時半、17日(日)9時半~16時

第2回:6月20日(土)10時~18時

第3回:7月11日(土)10時~18時

第4回:8月8日(土)13時~18時半、9日(日)9時半~16時

その他詳細はこちら

http://research.php.co.jp/event/2015/05/16.php

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(3) Yahoo!ニュースオーサー記事更新!

Yahooニュースにオーサーとして投稿している記事が更新されました。
ぜひ御覧ください。

ディレクター 伊藤伸

◇3月11日 「情報共有と冷静な目で原発問題を乗り越える ~福島第一原発の中から
見た現実~」

http://bylines.news.yahoo.co.jp/itoshin/20150311-00043751/

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【3】<ご紹介>

構想日本が応援している活動に関するお知らせです。
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(1) 署名運動 国立競技場の壁画を新競技場に保存し再展示することを求める署名運動

国立競技場の壁画、11作品はいまだに行き先が未定です。既に分割し切り出され、一時仮置き場に移されています。

1964年の東京五輪にむけて国立競技場につくられた戦後日本を代表する画家、宮本三郎、脇田和、寺田竹雄、大沢昌助の壁画計13点。

新国立競技場の敷地内に一括で保存し、再展示することを求めます。 国立競技場の壁画を守る会(代表:大沢昌史)

賛同署名される方はこちらから→https://www.change.org/ 「 壁画 」で検索 『国立競技場の壁画、保存・再展示』へ

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(2) Changemakers Academyプレイベント 社会を変える第一歩を学ぼう!

「『変えたい』気持ちを形に」をコンセプトに、一人一人の気持ちを具体的なアクションに高め、私たちの手で社会を変えるための、具体的な方法を学び、実際にキャンペーンを実行するプログラムを企画しました。

プログラムの概要をご紹介すると同時に、改めて女性に関する問題の整理をしながら、私たちが今、できることを考えるイベントを開催いたします。

日本の女性や男性を取り巻く問題に関心のある方、男女やジェンダーを問わず大歓迎です。

世の中を変えるための実践を学びたい方や、プログラムの中身を知りたい方は、ぜひご参加ください!

◇日 時: 2015年3月22日(日)

◇受 付:12時30分~

◇講 演:13時~(16時30分頃終了予定)

◇場 所: 六本木ヒルズ近辺(参加お申し込み後に詳しいアクセスをご連絡します)

◇定 員: 80名、先着順

◇費 用: 1000円

イベントの詳細、お申し込みはこちらのページから
http://peatix.com/event/76108

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