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【No.718】「今こそローカリズム・日本の祭シリーズ 第九弾 鳥出(とりで)神社 鯨船(くじらぶね)行事」 |至学館大学・伊達コミュニケーション研究所長  石田 芳弘氏|

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J.I.メールニュース No.718 2015.08.13 発行

「今こそローカリズム・日本の祭シリーズ 第九弾

鳥出(とりで)神社 鯨船(くじらぶね)行事」

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【1】<巻頭寄稿文>

「今こそローカリズム・日本の祭シリーズ 第九弾

鳥出(とりで)神社 鯨船(くじらぶね)行事」※1

至学館大学・伊達コミュニケーション研究所長 石田 芳弘

【2】<お知らせ>

(1) 第215回J.I.フォーラム  8月20日(木)開催 ※19日から20日に変更になりました

「で、どうする ー 新国立競技場」

(2) 今月の構想日本の活動

(3)「現場みらい塾」 第3期 募集中(※日程変更)

【特集】<国立競技場の建て替え>

(1) 日本情報発信多言語ウェブサイト「nippon.com」に代表加藤の記事

(2)《お知らせ》

・国会請願プロジェクト

・賛同署名募集

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【1】 「今こそローカリズム・日本の祭シリーズ 第九弾
鳥出(とりで)神社 鯨船(くじらぶね)行事」※1

至学館大学・伊達コミュニケーション研究所長 石田 芳弘
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日本民族の最大の宗教行事は正月とお盆である。そのお盆の8月15・16日、鳥出神社の鯨船行事は行われる。

三重県は明治の廃藩置県前までは、伊賀と伊勢と志摩の3国に分かれていた。伊勢は更に北勢と南勢に分かれる。

面白いことに、南勢地区の鯨船行事は実際の海で行うが、北勢は陸上で御座船を作って鯨と船の壮絶な戦いの演技を行う。

古墳から鯨の骨が出土するらしいから、鯨と日本人との付き合いは古い。だから捕鯨にまつわる祭は全国にあるが、三重県が一番多いそうだ。そして面白いのは、四日市を中心とするこの北勢地区では捕鯨の形跡がないのに鯨船行事があるという事である。

5か所の神社に伝承され、8基の山車が登場する。富田の鳥出神社には4基固まっているので、ここだけ国指定の文化財になり、この度、ユネスコの無形文化遺産候補にもなった。

南勢地方は現実の捕鯨を経験したので、祭は鯨の霊を慰める色彩が強い。しかし、この鳥出神社はいわばメタファー(隠喩)としての捕鯨なので、捕鯨の「演技」を展開する。

ハタシと呼ばれる中心人物が舟の中央で大きく身体全体を使い、全身全霊を籠めて演舞を披露する。大海原に見立てた場所で、張り子の鯨を追っかける。鯨を見つけてからは、鯨と格闘する船が大きくローリングする。船上のハタシやロコギが倒れんばかりに大きく傾き揺れまわる。鯨に銛を打つ、鯨と船との格闘が始まる。※2

ハタシもロコギも子供が演ずる。その体の激しくかつ正確な動きは、私には人形浄瑠璃のように見えた。鯨船はローリングしながら、太鼓を打ち鳴らし、大声で歌と踊りで囃し立てながら、あちらこちらを突きまくる。鯨突きという神事だ。

漁民による漁労儀礼というよりは、鯨突きの真似が富貴を呼ぶ目出度さや、災厄を払う儀礼としての意味を込めながら、次第に演劇的に組み立てられたところがこの祭の真骨頂と観た。

我々は全国どこの祭を観に行っても、せいぜい半日ぐらいしかそこには滞在しないだろう。祭の表面を観て、所詮群盲象を撫でるような評論しか出来ない。

本来祭は単に観るものではなく、自ら行うものだということを常に思いおこさないといけない。

私は、何処の祭に行っても多種類の資料を参照する。祭の全貌を知るためにビデオを観ることもある。鯨船行事も四日市市教育委員会から250頁にわたる調査報告書をいただき一読した。

しかし、いくら資料が豊富でも、祭の神髄は祈りにある。神社の氏子たちが、観光客など関係なく行う神事にこそ、その祭が持続してきた力が潜んでいるのではないか。加えて大切なのは、祭に備えて歌や踊りの練習や山車に付属する備品の維持補修などを準備する時間だ。

祭関係者のこの準備の時間と空間こそが、共同体としての意識を持続させる。鯨船行事も、鎮火祭の神事を行うと聞いた。水面下の神事はなかなか外部の者にはわからないし、行政の資料に載りにくいが、本当は祭の岩盤を成す行事である。

※1 三重県四日市市富田

※2 ハタシ ハザシ(羽刺し)、オドリコ(踊り子)とも言う モリを投げて鯨を仕留める主役

ロコギ 櫓こぎ  櫓を漕ぐ所作をする

今年(2015年)の鳥出神社・鯨船まつりは 8月14日(金曜日)鎮火祭り・町練り、15日(土曜日)本練りが行われる http://www.tomida.net/maturi/newkujira.html
※雨天中止

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石田 芳弘(いしだ よしひろ)

愛知県議会議員、犬山市長、衆議院議員など、地方、中央の政治と行政を経験。特に教育、文化行政に力を入れた。「まちは生涯学習の最良の教室である」というのが持論であり、学校教育も生涯学習の一環であると考え、市民が教師の総合学習や全市博物館構想を推進。また、シンクタンクの研究員として先進国の地方議会を視察、研究。我が国地方議会も議院内閣制を導入すべしという、地方議会改革論議のオピニオンリーダーである。

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*みなさんのご意見をお待ちしています。(800字以内でお願いします)
info@kosonippon.org
いただいたご意見はバックナンバーと共に「読者の声」として以下に掲載しています。メルマガにて抜粋掲載をさせていただくこともございます。
http://www.kosonippon.org/cp-bin/wp/mail/index.php

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【2】(1)第215回J.I.フォーラム  8月20日(木)開催

※日程が19日(水)から20日(木)へ変更になりました。

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「で、どうする ー 新国立競技場」

新国立競技場建設の白紙撤回は「一度動き出したら止まらない」と言われる日本の公共事業がふりだしに戻った歴史的な瞬間でした。国民の声が政治を動かしたという点でも、画期的なことです。しかし、これはゴールではなくスタートです。

「白紙撤回」の下で隠れている景観や再開発などの問題についても、再整理して議論したいと思います。さらにオリンピックの施設のあり方、都心の競技場、公共施設のあり方など本来政治や行政が考えるべき本質的な問題についても議論していただきます。

そして会場の参加者にも議論に加わっていただき、できれば「論点整理」のようなものが作れるとよいと考えています。

◯日 時:平成27年8月20日(木)18:30~20:30(開場18:00)

◯会 場:日本財団ビル2階 大会議室  港区赤坂1-2-2 TEL 03-6229-5111

◯登壇者:鈴木知幸(元2016年東京五輪招致推進担当課長)

松原隆一郎(社会経済学者)

森まゆみ(作家、神宮外苑と国立競技場を未来へ手わたす会共同代表)

森山高至(建築エコノミスト)

山嵜一也(建築家、ロンドン五輪馬術会場設計監理者)  (五十音順)

加藤秀樹(構想日本代表)

◯主  催:構想日本

◯参加費:一般 2,000円 / 学生 500円 (構想日本会員は無料です)
※学生の方は受付にて学生証をご提示ください。

◯懇親会参加費:4,000円(ご希望の方は懇親会参加とお申込み時に明記して下さい)
※ゲストを囲んで、下記の会場で懇親会を開催いたします。

「頤和園(いわえん)溜池山王店」港区赤坂1-1-12 TEL 03-3584-4531

※フォーラムへのご参加は8月19日(水)18:00まで info@kosonippon.org  にお願いします。

お申し込みはこちらから http://www.kosonippon.org/cp-bin/wp/forum/index.php

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(2)《今月の構想日本の活動》

8月18日 香川県三木町「第2回総合戦略策定委員会」

8月25日 香川県三木町「第2回まんで願いきいきタウン構想策定委員会」

8月27日 千葉県富津市 「第3回富津市民委員会」

8月29日 福岡県 大刀洗町住民協議会(1)

今年度の実施一覧はこちらからご覧いただけます→ http://www.kosonippon.org/cp-bin/wp/blog/?page_id=145

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(3)「現場みらい塾」 第3期 募集中

政策シンクタンクPHP総研と共同で昨年度スタートした「現場みらい塾」。

その特徴は、

1.地域経営の第一線で活躍している講師陣

2.最先端の政策や手法のトレンドを学びとる講義プログラム

3.自ら考え、取り組むことで体得する実践プログラム

受講生の満足度が高かったこともあり、今年度は第2期(5月~8月)、第3期(11月~2016年2月)を開講することとしました。

自治体職員を主な対象としていますが、それ以外の方も参加可能です。是非お申込みください。

『第3期』は次の通り  ※日程が変更になりました

第1回:11月22日(日)13時~18時半、23日(月)10時~16時
第2回:12月12日(土)10時~18時
第3回:2016年1月16日(土)10時~18時
第4回:2016年2月6日(土)13時~18時半、7日(日)10時~16時

※第3期日程は予定のため今後も変更の可能性があります。

その他詳細はこちら

http://research.php.co.jp/event/2015/05/16.php

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【特集】<国立競技場の建て替え問題>

(1)日本情報発信多言語ウェブサイト「nippon.com」に代表加藤の記事が掲載されています。

《国立競技場問題の本質》

2020年7月、東京オリンピックの開会式は近代オリンピックの歴史に残る画期的なものとなった。

神宮の森に囲まれ、真ん中に赤レンガ色のトラックがある11万m2の真っ青な芝生。

世界各地からの選手たちはその芝生の上で互いの参加を祝福し、健闘を誓いあった。

そこには外界を遮断するスタジアムの高い壁もなく、ましてや屋根もない。

真っ青な芝生の上での交歓には、世界からの観戦者が加わり、その様子が最新技術によるネット中継によって世界中で共有、体感された。

オリンピックの開会式が近未来デザインの巨大なスタジアムと過剰な演出の競い合いから解放されることの素晴らしさを世界が実感した瞬間だった。

続きはこちらから御覧ください →  http://www.nippon.com/ja/currents/d00188/

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今、指摘されている問題点を、あらためて見なおしてください。

上記以外に、1年前からお伝えしていた記事です。御覧ください。

「新国立競技場の建て替えは将来世代に誇れることなのか」2014年5月2日 YAHOO!ニュース

http://bylines.news.yahoo.co.jp/katohideki/20140502-00035003/

「国立競技場解体予算を徹底解体しよう。」2014年10月3日 YAHOO!ニュース

http://bylines.news.yahoo.co.jp/katohideki/20141003-00039651/

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(2)《 お知らせ 》

・新国立競技場 「国会請願プロジェクト」

「神宮外苑と国立競技場を未来へ手わたす会」の「国会請願プロジェクト」

◎請願事項

請願事項2.簡素で使いやすいメインスタジアムの計画にすぐに取り掛かってください。

日本の信頼できる建築家たちは、2020東京オリンピック・パラリンピックまでに素晴らしいスタジアムを完成させるでしょう。

http://2020-tokyo.sakura.ne.jp/cn16/pg201.html

詳細は上記を御覧ください。   *国会請願には自筆の署名が必要です。

・賛同署名募集のお知らせ

「神宮外苑と国立競技場を未来へ手わたす会」は緊急声明の賛同署名を募っています。

1,000兆円の赤字を抱えるわが国で、震災被災者、原発避難者がいまだ20万人も故郷や家を失ってさまよっているこの国で、現行計画に突入すれば、亡国の事業といわざるを得ない。

都税による500億円の負担、都有地の供出、都営霞ヶ丘アパートの住民の追い出しも認めない。

私たちは、国民の代表機関である国会で、有識者会議の各委員を証人喚問し、国民全体の利益に関わるこの問題をどう判断したのか、論議がつくされることを望む。(一部抜粋)

ご賛同いただける方は、下記サイトでご署名ください。

◎チェンジ・オルグ【2,520億円の新国立競技場を許さない】(現在85,000人超)

https://www.change.org/ から 「巨額の建設費をかけない新国立競技場 」で検索してください。

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