【No.735】「 自然だけではありません『屋久島』」|鹿児島県屋久島町企画調整課主査 慶應義塾大学SFC研究所 所員  内田 大信氏|
2015.12.10

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J.I.メールニュース No.735 2015.12.10 発行

「 自然だけではありません『屋久島』」

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【1】<巻頭寄稿文>

「 自然だけではありません『屋久島』」

鹿児島県屋久島町企画調整課主査
慶應義塾大学SFC研究所 所員 内田 大信

【2】<お知らせ>

(1) 第219回J.I.フォーラム  12月24日 開催

「2016年に向けて」

(2) 今後の構想日本の活動

(3)「現場みらい塾」 第3期 開催中

【3】<ご紹介>

~ シンポジウム ~

(1)「子どもの虐待を低減するシステムの構築」 12月20日

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【1】「 自然だけではありません『屋久島』」

鹿児島県屋久島町企画調整課主査
慶應義塾大学SFC研究所 所員 内田 大信

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屋久島は「手つかずの自然」なのか?
期待を裏切るようですが、答えはNOです。

屋久島の代名詞でもある「縄文杉」は、種の名称ではありません。屋久島の杉は、1000年以上経たなければ「屋久杉」として認めてもらえず、それ以外を「小杉」と呼んでいます。

「縄文杉」はその1000年以上経った「屋久杉」の代表者です。

皆さんがイメージする屋久島は、「緑豊かで肥沃な大地」かと思いますが、実際には花崗岩が隆起した島で地表は薄く、また中央部に九州最高峰の宮之浦岳(1936m)を主峰として1700mを超える山岳が7座、1000mを超える山岳が45以上連座している島です。

「洋上アルプス」とも比喩される程の山が連なり、地表部分は少なく、また大量の雨が土壌の栄養を直ぐに海に流してしまうこと、台風常襲地、そして何より南国ですが降雪する等、植物が育つ環境としては劣悪な中で、屋久杉は育くまれております。

その余りにも厳しい環境下で育つため、屋久杉は他の杉に比べて成長が遅く、年輪が密集しており、樹脂が多くあります。そのため、腐りにくく長生きをする杉になるのです。

そのような山岳島ですので、江戸時代には米を作る土地が少なく年貢を納めることができず、代わりに「小杉」を伐採して、平木(木の瓦)を作り納めていました。当時、平木一束(100枚)で米7合分の価値があったようです。

「屋久杉」は藩政時代から昭和40年代まで伐採され続けました。その間、ほとんどの山に人が入り、屋久杉の伐採作業が続けられたのです。

この時点でお気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、現存する屋久杉は、表現を変えると江戸時代からの伐採を免れた樹木ということになります。

屋久杉の特徴の1つに、ゴツゴツとしていて、ずんぐりむっくりといった格好をしています。
その格好が真っ直ぐな木目を重要とする平木に適していないために、近代以前は伐採を免れたのです。

これだけ書くと、屋久島の先人は乱伐をしていたかのように思われるでしょうが、そのようなことはありません。

今の屋久島をみてください。そこには、本物の大自然が残されています。

山岳地では屋久杉、里地では照葉樹で炭や樟脳をつくり自然と共生し、自分の世代で使い切るのではなく、循環されるように島の先人達は自然とともに歩んできました。

屋久島が世界自然遺産に登録されたことは、素晴らしい自然があるからだけでなく、島人が子々孫々と自然と共生し循環されていたことも評価されたのです。

私たち島人の誇りは、手つかずの自然ではなく、自然と共に暮らしてきたことにあります。

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内田 大信 (うちだ ひろのぶ)

屋久島生まれ、屋久島育ち。たまたま曽祖父の弟が平成時代まで健在だったため、古い戸籍が残っており遡ってみると、5代前まで屋久島生まれが確認できる生粋の屋久島人。屋久島町の長期振興計画や地方創生総合戦略等を策定する担当として奮闘しております。

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【2】(1)第219回J.I.フォーラム  12月24日 開催

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「2016年に向けて」

今年は、安保法制やTPPなど日本の将来を左右する重要な政治課題に一応の結論が出ました。

しかし、運用はこれからです。さらに、先を見ると、国内的には財政問題は崖っぷちにあり、金融政策にも手詰まり感があります。また中東における紛争はヨーロッパさらには世界に波及する兆しを見せています。

いわゆるグローバリゼーションに遅れないようにといった次元ではなく、マクロに世界の動きを受けとめて、日本の社会、政治を考えることがますます重要になっています。

私たちは来年に向けてどのような心構えをしないといけないのか、政治、経済をリードするゲストの方々にお話し頂きます。

◯日 時:平成27年12月24日(木)  18:30~20:30(開場18:00)

◯会 場:日本財団ビル2階 大会議室  港区赤坂1-2-2 TEL 03-6229-5111

◯ゲスト:平 将明 (衆議院議員)

細野 豪志 (衆議院議員)

横尾 敬介 (経済同友会 副代表幹事・専務理事)      他

◯コーディネーター:加藤 秀樹(構想日本代表)

◯定  員:120名

◯参加費:一般 2,000円 / 学生 500円 (構想日本会員は無料です)
※学生の方は受付にて学生証をご提示ください。

◯懇親会参加費:4,000円(ご希望の方は懇親会参加とお申込み時に明記して下さい)
※フォーラム終了後、ゲストを囲んで、懇親会を開催いたします。

「頤和園(いわえん)溜池山王店」港区赤坂1-1-12 TEL 03-3584-4531

※フォーラムへのご参加は12月24日(木)12:00まで info@kosonippon.org  にお願いします。

お申し込みはこちらから https://www.kosonippon.org/wp-manager/forum/index.php
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(2)《今後の構想日本の活動》

《行政関係》

12月11日(金)  富津市 「第6回富津市創生会議」

今年度の実施一覧はこちらからご覧いただけます→ https://www.kosonippon.org/wp-manager/blog/?page_id=145

《その他》

2015年10月~隔週月曜日 京都大学経済学部 「公共経営論2」講義 (代表 加藤秀樹)

公共政策の各論を毎回ゲストの講義で進めています。これまでのゲストは、

衆議院議員 河野 太郎氏、京都信用金庫 理事長 増田 寿幸氏、株式会社商工組合中央金庫 執行役員 小林 利典氏、財務省 近畿財務局長 武内 良樹氏、財務省 主税局主税企画官 関 禎一郎氏、厚生労働省 社会・援護局福祉基盤課福祉人材確保対策室長 榊原 毅氏、南日本ヘルスリサーチラボ代表、医師、前夕張市立診療所長 森田 洋之氏、前松阪市長 山中 光茂氏、浜松市長 鈴木 康友氏。

次回は、外務省 高田 真理氏、小西美術工藝社 アトキンソン・デービッド・マーク氏。

2015年9月~毎週木曜日 法政大学 「NPO論II」講義 (総括ディレクター伊藤伸)

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(3)「現場みらい塾」 第3期 募集中

政策シンクタンクPHP総研と共同で昨年度スタートした「現場みらい塾」。

その特徴は、

1.地域経営の第一線で活躍している講師陣

2.最先端の政策や手法のトレンドを学びとる講義プログラム

3.自ら考え、取り組むことで体得する実践プログラム

昨年の第1期受講生の反響と要望の大きさを考え、今年度は第2期(5月~8月)に続き、第3期(11月~2016年2月)を開講することとしました。

自治体職員を主な対象としていますが、それ以外の方も参加可能です。是非お申込みください。

また、講義は4回ですが、内容は毎回独立していますので1回づつの参加もできます。

『第3期』は次の通り  ※日程が変更になりました

第2回:12月12日(土)10時~18時
第3回:2016年1月16日(土)10時~18時
第4回:2016年2月6日(土)13時~18時半、7日(日)10時~16時

その他詳細はこちら

http://research.php.co.jp/event/2015/11/22.php

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【3】<ご紹介>

構想日本が応援している活動に関するお知らせです。

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(1)《科学技術振興機構 RISTEX 第1回キックオフ・シンポジウム》

メルマガ執筆者、友田明美さんからのお知らせです。

《科学技術振興機構 RISTEX 第1回キックオフ・シンポジウム「安全な暮らしをつくる新しい公/私空間の構築」》

『養育者支援によって子どもの虐待を低減するシステムの構築』

子ども虐待防止には親(養育者)の抱える問題の解決が最重要ですが、子どもに比べ、養育者の支援は大幅に遅れております。

当事者と関係機関が協力し合い、個々の家庭の実情に合った柔軟で効果的な支援が提供できるよう、子育て中の方々から支援の専門家まで、この問題に関心をおもちの幅広い範囲の皆さまと議論して参りたいと考えております。

児童虐待問題や養育者支援に関心をお持ちの皆さま、どうぞ奮って御参加頂きますようお願い申し上げます。(本文より抜粋)

◇日 時:2015年12月20日(日) 12:45~18:00

◇会 場:JST東京本部別館2階 会議室 (東京都千代田区五番町7 K’s五番町)

※ 地図はこちら ⇒ http://www.jst.go.jp/koutsu_map2.html

◇登壇者:理研脳センター黒田公美、福井大教授・友田明美、京都大教授・落合恵美子、東北大教授・水野紀子、日本小児科医会会長・松平隆光、首都大学東京教授・阿部 彩、筑波大学教授・安梅勅江、さいたま児童相談所参事・山下浩、立命館大学教授・中村 正、子どもの虹情報研修センター臨床心理士・中垣真通、チャイルドファーストジャパン(CFJ)理事長・山田不二子 その他

◇定 員:90名

◇参加費:無 料

◇事前参加申し込み先:youikusha2015shien@gmail.com

お名前、フリガナ、ご所属を明記の上、お送りください。

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友田明美さんのメルマガ 参考 https://www.kosonippon.org/wp-manager/mail/detail.php?id=666

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