メールマガジン

【No.737】「 特ダネではないけれど(8) 次世代へのプレゼント 」

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J.I.メールニュース No.737 2015.12.24 発行

「特ダネではないけれど(8) 次世代へのプレゼント」

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今回が2015年最終号です。新年は1月7日から配信致します。
本年もご愛読頂き、ありがとうございました。

寒暖の動きの激しい日が続き体調を崩しがちですが、皆様ご自愛頂き、良い年をお迎え下さい。
来年も宜しくお願い致します。

【1】<巻頭寄稿文>

「特ダネではないけれど(8) 次世代へのプレゼント」

新聞記者     松浦 祐子

【2】<お知らせ>

(1) 第219回J.I.フォーラム  12月24日 本日開催

「2016年に向けて」

(2) 今後の構想日本の活動

(3)「現場みらい塾」 第3期 開催中

【3】<ご紹介>

(1)クラウドファンディング

日本ラオス合作映画製作費への寄付のお願い 12月25日締切

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【1】 「特ダネではないけれど(8) 次世代へのプレゼント」

新聞記者     松浦 祐子

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メリークリスマス!! クリスマスと言えば、我が家では、本をプレゼントされるのが習慣でした。もともと読書好きだったので、「今年はどんな本だろう」と、朝、起きた時に枕元を見るのが楽しみでした。

さて、「小説大蔵省~財政再建極秘指令~」(江波戸哲夫:著)という本の中にも、クリスマスをめぐるシーンがあります。多忙すぎる主計官の夫に見切りをつけ、別居をしている妻が「クリスマス・イブには子どもたちにプレゼントを届けて欲しい」と夫に頼むのです。

霞が関、永田町では、昔からクリスマスは来年度の予算案を決めなければならない最も忙しい時期です。大蔵省から財務省へと名前が変わった今もなかなか家へ帰れず、ワーク・ライフ・バランスとは縁遠い財務官僚たちがいることは変わっていません。

小説では、消費税導入を掲げて衆院選を戦った与党は大敗。財政破綻を心配する大蔵官僚たちが財政再建に向けて極秘のプロジェクトを立ち上げるものの政治家の抵抗にあい、国防費の膨張も止められない・・・といったストーリーが展開していきます。

なんだか、最近も似たようなことがあったように思いませんか?

「危急存亡のとき・・・ いままでみたいに毎年どんどん膨らんでいく税収をバラ播いているだけだったらこんなにたやすいことはない」「財政再建は誰が政権をとろうと、日本が存続するかぎりやらなければならない。日本を存続させるためにやらなければならない」といった作品中の大蔵省幹部たちの言葉はそのまま現代でも使えそうです。けれど、小説が描いているのは1979年~1980年の日本です。

約35年間にわたり日本は同じ課題に向き合いながら、未だに解決できていないということになります。危惧されつつも結局はまだ起こっていない財政危機がマグマのように力を蓄え、いつかは噴火(破綻)するのか、そのままで推移するのかは、市場のみが知ることです。

12月24日に、2016年度予算案が閣議決定されました。
歳出総額約97兆円。このうち、新たな借金は、約34兆円。

企業業績の伸びを受けて税収が増えたため、新規の借金額は減らすことができました。一方、2017年4月の消費増税で、食品全般(酒類、外食は除く)と新聞に軽減税率8%を適用することになりました。「社会保障と税の一体改革」は、消費税10%の一律増税で試算をし、既に配分を組んでいます。

軽減税率を導入することで、財務省の試算では10%で想定していた時よりも毎年約1兆円の税収減となります。そのうち約4千億円分は、増税分で低所得者対策として行うことにしていた「総合合算制度」(医療、介護、保育などの自己負担の合計に上限を設ける制度)を取りやめることで対応する方針ですが、残りの約6千億円分は未決定のままです。財源がなければ、予定していた6千億円分の社会保障はできなくなります。

増税を定めた2012年の改正消費税法には、低所得者に配慮する観点から「総合合算制度」のほか、税の控除と手当の給付を組み合わせる「給付付き税額控除」、「複数税率(軽減税率)」について総合的に検討すると記されています。特に軽減税率については、財源、対象範囲、中小事業者の事務負担などを含めて様々な観点から総合的に検討する、と具体的に検討項目まで挙げられています。

消費税の特徴の一つは、幅広い品目を対象に課税し、子どもから高齢者まで誰もが支払うことで、みんなで税負担を分かち合うという点があります。その利点の一部が、軽減税率の導入で失われることになり、今後の財政健全化や税制のあり方に大きく影響を及ぼすことになります。

徴税システムがきちんと整備できなければ、消費者が払った税金がきちんと国や自治体に納められない「益税」※が生まれる心配もあります。

この3年間、政治が軽減税率導入に向けた十分な議論を進めてきたとは思えません。生活必需品とは、食料品と新聞で良いのでしょうか? 自公による協議では、参院選に向けた選挙対策に重きが置かれ、多様な選択肢を考慮した上での抜本的な議論は見られませんでした。税率の引き下げという「甘い話」だけ先に決まり、その財源は2016年度末までに安定財源を探し出すとして「苦い話」の結論は先送りしました。

これは政治の怠慢です。

食品などへの課税の負担感を高めないために、税率を8%に据え置く必要があるとしても、代わりの財源を確保するために、何が増税(または、保険料の値上げ等)されるのかが分からなければ、国民は、その善し悪しを判断できません。軽減税率を導入すると同時に、その分の財源を生むために、ほかの物への税率が10%よりも少し上がる(例えば10.5%程度)ならば、みなさんは、どう受け止めるでしょうか。

また、軽減税率導入には相当な準備が必要ですが、その期間は1年余りしかありません。永田町や霞が関では「準備が整わないことを消費増税延期の口実にするのではないか」との臆測も飛び交います。

しかし、日本の財政状況を考慮すれば、再度の増税延期は、後の大増税につながりかねないと私は考えます。それならば、2017年4月から準備がきちんと整うまでの間は、財源が確保できた分だけ単一税率を引き下げる形(5千億円の財源があれば9.8%の税率、1兆円の財源で9.6%の税率)で増税を実施し、その間にていねいに軽減税率に対応したシステムを作るという手もあると思うのです。この方が、不必要な事業者の混乱や益税を減らすこともできます。

このように、今回の軽減税率の導入は、2016年に向けて「大きな宿題」を残すこととなりました。

日本では、国の予算を表すときに「社会保障費」や「公共事業費」という言葉を使うことが通例です。一方、厳しい財政規律を守りながら、堅実な成長を続けるスウェーデンでは、2016年の予算は「Investing in Sweden’s future」(スウェーデンの未来への投資)、主要な歳出項目は「Investments」(投資)や「Reforms」(改革)といった言葉で表現されています。

国の政策は未来への投資であり、無駄なものには使わないという強い思いの表れなのでしょう。2016年度の日本の予算は、未来への投資につながるものでしょうか。次世代への良きプレゼントになっているでしょうか。新年に改めて検証したいと思います。

では、皆様、良いお年を!!

※ 消費者が支払った消費税が国や地方自治体に納められず、事業者の手元に合法的に残ること。

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松浦 祐子 (まつうら ゆうこ)

1974年 神戸市生まれ。大学院修了後、1999年新聞社に入社。和歌山、高知での地方勤務、東京での雇用、介護分野、厚生労働省、財務省担当などを経て、現在は新潟で県政を担当。

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【2】(1)第219回J.I.フォーラム  12月24日 本日開催

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「2016年に向けて」

今年は、安保法制やTPPなど日本の将来を左右する重要な政治課題に一応の結論が出ました。

しかし、運用はこれからです。さらに、先を見ると、国内的には財政問題は崖っぷちにあり、金融政策にも手詰まり感があります。また中東における紛争はヨーロッパさらには世界に波及する兆しを見せています。

いわゆるグローバリゼーションに遅れないようにといった次元ではなく、マクロに世界の動きを受けとめて、日本の社会、政治を考えることがますます重要になっています。

私たちは来年に向けてどのような心構えをしないといけないのか、政治、経済をリードするゲストの方々にお話し頂きます。

◯日 時:平成27年12月24日(木)  18:30~20:30(開場18:00)

◯会 場:日本財団ビル2階 大会議室  港区赤坂1-2-2 TEL 03-6229-5111

◯ゲスト:平 将明 (衆議院議員)

細野 豪志 (衆議院議員)

横尾 敬介 (経済同友会 副代表幹事・専務理事)

◯コーディネーター:加藤 秀樹(構想日本代表)

◯定  員:120名

◯参加費:一般 2,000円 / 学生 500円 (構想日本会員は無料です)
※学生の方は受付にて学生証をご提示ください。

◯懇親会参加費:4,000円(ご希望の方は懇親会参加とお申込み時に明記して下さい)
※フォーラム終了後、ゲストを囲んで、懇親会を開催いたします。

「頤和園(いわえん)溜池山王店」港区赤坂1-1-12 TEL 03-3584-4531

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(2)《今後の構想日本の活動》

《行政関係》

2016年2月13日(土) 茨城県 行方市「第6回なめがた市民100人委員会」

2月28日(日) 福岡県 大刀洗町事業仕分け

今年度の実施一覧はこちらからご覧いただけます→ http://www.kosonippon.org/cp-bin/wp/blog/?page_id=145

《その他》

2015年10月~隔週月曜日 京都大学経済学部 「公共経営論2」講義 (代表 加藤秀樹)

公共政策の各論を毎回ゲストの講義で進めています。これまでのゲストは、

衆議院議員 河野 太郎氏、京都信用金庫 理事長 増田 寿幸氏、株式会社商工組合中央金庫 執行役員 小林 利典氏、財務省 近畿財務局長 武内 良樹氏、財務省 主税局主税企画官 関 禎一郎氏、厚生労働省 社会・援護局福祉基盤課福祉人材確保対策室長 榊原 毅氏、南日本ヘルスリサーチラボ代表、医師、前夕張市立診療所長 森田 洋之氏、前松阪市長 山中 光茂氏、浜松市長 鈴木 康友氏、外務省 高田 真理氏、小西美術工藝社 アトキンソン・デービッド・マーク氏。

次回は、元ラグビーワールドカップ日本代表 平尾 剛氏。

2015年9月~毎週木曜日 法政大学 「NPO論II」講義 (総括ディレクター伊藤伸)

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(3)「現場みらい塾」 第3期 募集中

政策シンクタンクPHP総研と共同で昨年度スタートした「現場みらい塾」。

その特徴は、

1.地域経営の第一線で活躍している講師陣

2.最先端の政策や手法のトレンドを学びとる講義プログラム

3.自ら考え、取り組むことで体得する実践プログラム

昨年の第1期受講生の反響と要望の大きさを考え、今年度は第2期(5月~8月)に続き、第3期(11月~2016年2月)を開講することとしました。

自治体職員を主な対象としていますが、それ以外の方も参加可能です。是非お申込みください。

また、講義は4回ですが、内容は毎回独立していますので1回づつの参加もできます。

『第3期』は次の通り  ※日程が変更になりました

第3回:2016年1月16日(土)10時~18時
第4回:2016年2月6日(土)13時~18時半、7日(日)10時~16時

その他詳細はこちら

http://research.php.co.jp/event/2015/11/22.php

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【3】<ご紹介>

構想日本が応援している活動に関するお知らせです。

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(1)クラウドファンディング

日本ラオス合作映画製作費への寄付のお願い 12月25日(明日締切)午後11時まで

日本・ラオス初の合作映画「サーイ・ナームライ」を製作している森卓(もりたく)と申します。昨年5月から始動したプロジェクトで、先月11月29日に無事クランクアップとなり、現在、日本にて編集・仕上げを行なっております。

本映画は「人の絆」がテーマで、ダム建設という史実をもとにラオスの豊かな大自然と、その環境で育まれる心優しいラオスの人々と素朴な生活を描いています。実在した日本人青年と、現代ラオス女性とのほのかな恋愛も盛り込まれています。映画館が全国に5ヶ所、映画産業のないラオスで製作される映画では最大規模のものです。

映画資金があと500万円ほど不足しています。現在、クラウドファンディング(https://readyfor.jp/projects/japan-laos-movie)で、第一目標金額を300万円とし、約135名の方々よりご支援頂き、第一目標金額は達成いたしました。ありがとうございました。

引き続き、350万円の目標金額目指してご支援をお願いしております。期限は残り30時間となりました。日本ラオス初の合作映画を完成させる為にも、皆様のご支援を賜りたく、よろしくお願い申し上げます。

※寄付は下記サイトより3000円よりご支援頂けます。
https://readyfor.jp/projects/japan-laos-movie

2015.10.02 森卓さんのメルマガ 参考 http://www.kosonippon.org/cp-bin/wp/mail/detail.php?id=733

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加藤からの一言

今回のプロジェクトの中心となっている森卓さんはじめ、多くの人がほぼボランティアで頑張っています。今、映画完成のためにあと一歩足りない資金をクラウドファンディングで集めています。

締め切りは12月25日のクリスマス!

是非ともラオスとの友好の懸け橋として、クラウドファンディングが達成するよう応援をお願い申し上げます。(加藤 秀樹)

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構想日本の今年の事務所内業務は、明日25日までです。来年は、1月4日からです。よろしくお願いいたします。

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