メールマガジン

【No.748】「特ダネではないけれど(10) 保育園落ちた日本死ね!」

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J.I.メールニュース No.748 2016.03.17  発行

「特ダネではないけれど(10) 保育園落ちた日本死ね!」

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【1】<巻頭寄稿文>

「特ダネではないけれど(10) 保育園落ちた日本死ね!」

新聞記者     松浦 祐子

【2】<お知らせ>

(1) 第222回J.I.フォーラム  3月23日 開催

「 今こそ文系学部の強化を 」

(2) 今後の構想日本の活動

(3) Yahoo!ニュースオーサー記事更新!

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【1】「特ダネではないけれど(10) 保育園落ちた日本死ね!」

新聞記者     松浦 祐子

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「保育園落ちた日本死ね!」

ママの一人が、強烈なタイトルと内容をブログにつづり、話題となるとともに人々の共感を呼んでいます。

「一億総活躍社会じゃねーのかよ
昨日見事に保育園落ちたわ
どうすんだよ私活躍出来ねーじゃねーか
子ども産んで子育てして社会に出て働いて税金納めてやるって言ってるのに日本は何が不満なんだ?」

表現は荒っぽいですが、日本=政府=政治への怒りが伝わってきます。そして、社会の中における自分の存在を否定された悲しみのようなものさえ、私は感じました。

このブログは国会の衆議院予算委員会でも取り上げられ、その際に安倍首相は「匿名である以上、実際にどうかということは、私は確認しようがない」と突き放し、さらにお母さんたちの反感を買いました。その怒りの大きさにびっくりした政権は、今夏の参院選なども見据え、急ごしらえの待機児童対策を打ち出そうと懸命です。

私は子育て政策、特に待機児童の解消は、日本の未来を作るために最も重点的に取り組まなければいけない問題だと思っています。にもかかわらず、長年、待機児童は解消されずにきました。そして、そのことが働く世代の社会保障不安、政治不信へとつながる負のスパイラルに陥っていることを危惧しています。

2001年小泉政権は「待機児童ゼロ作戦」に取り組みました。それから十年以上が過ぎてもゼロになることはなく、安倍政権も2013年から「待機児童解消加速化プラン」に取り組んでいます。2013~14年度で約22万人分の保育施設が増えています。このプランの財源とされているのが、消費税アップにより増える税収分です。

実は、2014年の消費税5%から8%への引き上げ以前は、消費税収は法律上「基礎年金、医療、介護」という「高齢者3経費」にしか使えませんでした。これはこの国が、どれだけ子育て政策を軽んじてきたかが分かる証拠です。さすがに近年は「社会保障を充実させるのならば、子育て支援も入れるべきだ」という声が高まり、消費税が8%になった時には、子育て政策にも使えるようになりました。

しかし、保育施設の増設を上回るペースで入所希望者が増え、2015年4月時点で保育施設に入れなかった児童数は、都市部を中心に2万3千人いたとされます。

そもそも、日本は子育てなど家庭関係への国の支出が少ないと指摘されています。OECDの統計では、GDPに占める割合(2011年)は、日本は1.36%。イギリス3.78%、スウェーデン3.46%、フランス2.85%などと比べて、半分以下です。少子化を食い止めるためにも、子育て政策への予算増が求められているのは間違いありません。

ただ、ここではあえて「予算が増えただけでは、待機児童はなくならない」ということを問題提起したいと思います。予算以外にも「壁」があるからです。

保育ニーズの増加は全国一律ではありません。地方では待機児童ゼロの地域もあり、都市部でも幼稚園では定員割れが生じている所もあります。幼稚園と保育園との間で大きなニーズのミスマッチが起こっているのです。幼稚園を保育園に変えたり、一体的に運営すれば良いように思いますが、そもそも、幼稚園(文科省)と保育園(厚労省)では所管官庁が異なり、一本化は簡単なことではありませんでした。

2015年度から「子ども・子育て支援新制度」がスタートし、内閣府が幼保を一体的に運営する「認定こども園」を所管するようになり、ようやく一本化されました。しかし、幼稚園や保育園は民間が多くを担っていて、こども園への移行を強制はできません。

もう一つの壁は、市区町村など自治体の壁です。制度上、保育サービスの実施主体は自治体です。保育施設の設立を認可するのも、保護者に入園の許可等の判断をするのも自治体です。自治体にはそれだけ強大な権限と裁量が与えられています。ですから、どんなに国が予算を確保しても、自治体が真剣に保育サービスを充実させようとしなければ、施設は増えません。実際に待機児童がいる自治体でさえ、財政の厳しさを理由に、保育関係予算の増加に二の足を踏む自治体は少なくありません。

都市部では保育園の増設は簡単ではありませんが、新制度では子育てママやマンションの一室などを活用する小規模保育も地域型の保育として位置づけられています。自治体は、様々な仕組みをコーディネートすることで、お母さんが右往左往しなくても、働き続けられるように環境を整備することが求められています。自治体が保育の悩みを解決する場所になることが必要なのです。待機児童の数は、子育て政策への「市区町村の力量と本気度」を示すバロメーターでもあるのです。

子育て、そして医療や介護といった社会保障サービスは、身近な自治体で知恵を出し合って政策を作っていくことが、質と量の改善につながります。首相が交代しても、待機児童は簡単には解消できないかもしれません。でも、アイデアのある首長に変われば、その地域から待機児童がいなくなる可能性は高まると思うのです。

夏の参院選では、待機児童問題も争点の一つになるでしょう。「保育予算を増やします」と訴える党も出てくると思いますが、その額だけに惑わされないで欲しいなと思います。

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松浦 祐子 (まつうら ゆうこ)

1974年 神戸市生まれ。大学院修了後、1999年新聞社に入社。和歌山、高知での地方勤務、東京での雇用、介護分野、厚生労働省、財務省担当などを経て、現在は新潟で県政を担当。

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【2】(1)第222回J.I.フォーラム  3月23日 開催

政治でもビジネスでもリーダーシップが大切だと言われます。それを養う重要な場所が文系学部です。

その文系学部が「弱いからなくそう」ではなく、「強くしよう」ではないでしょうか。

学問の泰斗お二人に大いに語って頂きます。(加藤秀樹)

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「 今こそ文系学部の強化を 」

文部科学省が唱えている「文系学部不要論」は、学問、科学技術の本来の在り方に反するものです。科学技術振興をすればするほど、その役割や成果について考えることが重要になります。

イノベーションは何のためか、経済成長は本当に私たちや世界を幸せにするかなどを考えることこそが文系の学問の役割でしょう。

現在の日本の大学の文系学部の多くが古色蒼然とし、この要請に十分応えられていないことも事実です。しかし、そのことと不要論は全く別のことでしょう。

文系学問の本来の意義、役割について整理し、現在の文系学部に欠けているもの、強化すべきことなどについて議論したいと思います。

◯日 時:平成28年3月23日(水)  18:30~20:30(開場18:00)

◯会 場:アルカディア市ヶ谷 6階 「伊吹」 (千代田区九段北4丁目2番25号)TEL 03-3261-9921

※いつもと場所が違います

◯ゲスト:芳賀 徹 (静岡県立美術館 館長、元京都造形芸術大学 学長)

益川 敏英 (京都大学 名誉教授、京都産業大学益川塾 塾頭、ノーベル物理学賞受賞者)

◯コーディネーター:加藤 秀樹(構想日本代表)

◯主 催:構想日本

◯定 員:120名

◯参加費:一般 2,000円 / 学生 500円 (構想日本会員は無料です)
※学生の方は受付にて学生証をご提示ください。

◯懇親会参加費:4,000円(ご希望の方は懇親会参加とお申込み時に明記して下さい)

※フォーラム終了後、ゲストを囲んで、懇親会を開催いたします。

会場  「TO THE HERBS(トゥザハーブズ) 市ヶ谷店」

千代田区五番町2(JR市ヶ谷駅2F) TEL.050-5787-1164

※フォーラムへのご参加は3月23日(水)12:00まで info@kosonippon.org  にお願いします。

お申し込みはこちらから http://www.kosonippon.org/cp-bin/wp/forum/index.php

≪4月は「防災」をテーマにしたフォーラムを行います≫ 詳細は未定。

夢まどかプロジェクト代表の奥山勝明様よりお預かりした「3.11を忘れ米(まい)」を数量限定で配布いたします。

3.11を忘れ(まい)米 のきっかけ 三部和尚のブログ http://blog.goo.ne.jp/shorin3be/m/201603

山形新聞の記事 http://yamagata-np.jp/news/201603/06/kj_2016030600147.php

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(2)《今後の構想日本の活動》

《行政関係》

2016年3月19日(土) 岐阜県 山県市 事業仕分けフォローアップ事業

午後1時半~4時 山県市役所 3階(大会議室)

3年間の仕分けの結果を総括し、今後の取り組みを考えます。代表の加藤、政策アナリスト川嶋が参加します。

どなたでもご参加いただけます。お近くの方は奮ってご参加ください。

4月17日(日) 滋賀県 高島市「第4回ワークショップ」

5月15日(日) 滋賀県 高島市「第5回ワークショップ」

今年度の実施一覧はこちらからご覧いただけます→ http://www.kosonippon.org/cp-bin/wp/blog/?page_id=145

《その他》

2015年10月~隔週月曜日 京都大学経済学部 「公共経営論2」講義 (代表 加藤秀樹)

公共政策の各論を毎回ゲストの講義で進めました。ゲストは、

衆議院議員 河野 太郎氏、京都信用金庫 理事長 増田 寿幸氏、株式会社商工組合中央金庫 執行役員 小林 利典氏、財務省 近畿財務局長 武内 良樹氏、財務省 主税局主税企画官 関 禎一郎氏、厚生労働省 社会・援護局福祉基盤課福祉人材確保対策室長 榊原 毅氏、南日本ヘルスリサーチラボ代表・医師・前夕張市立診療所長 森田 洋之氏、前松阪市長 山中 光茂氏、浜松市長 鈴木 康友氏、外務省 高田 真理氏、小西美術工藝社 アトキンソン・デービッド・マーク氏、元ラグビーワールドカップ日本代表 平尾 剛氏。

2015年9月~毎週木曜日 法政大学 「NPO論II」講義 (総括ディレクター伊藤伸)

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(3)Yahoo!ニュースオーサー記事更新!

Yahooニュースにオーサーとして投稿している記事が更新されました。ぜひ御覧ください。

代表 加藤秀樹

◇3月8日 防災を「自分事」に

http://bylines.news.yahoo.co.jp/katohideki/20160308-00055180/

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