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【No.770】「山からの便り・美山森林学校(9) 後編」|美山森林学校校長  小林 直人氏|

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J.I.メールニュース No.770 2016.08.18  発行

「山からの便り・美山森林学校(9) 後編 」

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【1】<巻頭寄稿文>

「山からの便り・美山森林学校(9) 後編 」

美山森林学校校長  小林 直人

【2】<お知らせ>

(1) 第227回J.I.フォーラム  8月24日(水)開催

(2) 今後の構想日本の活動

(3) Yahoo!ニュースオーサー記事更新

(4)「現場みらい塾」 第4期 7月~11月 計4回開講中 各回毎の申し込みもできます

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【1】「山からの便り・美山森林学校(9) 後編 」

美山森林学校校長  小林 直人

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中央公論から今西錦司還暦記念論文集が出版されたのは1965-7年である。
「自然」森下正明・吉良竜夫編、「サル」川村俊蔵・伊谷純一郎編、「人間」川喜田二郎・梅棹忠夫・上山春平編の分厚い本である。

論文集であるから、表題の通り今西水脈に沿って流れる人達が執筆しているのであるが、帯に名前が記されている人たちとそのテーマは、如何に僕の知的リソースが多くの影響を受けていたかと改めて気づかされる。「自然」と「サル」などは未だに開けていないのに中身の大体は想像することが出来る。

先日、「サル」を開いてみたら、やはりあった。「比叡山その自然と人文」京都新聞社刊・唯一人執筆者で肩書きの空白である人、間直之助さんが書いている。

千日回峰行でマスコミを賑わす比叡山であるけれど、雨の日も風の日も、さるの餌を持って比叡山に通ったこの人を取り上げることはない。遠い嵐山から群れ落ちしてきた顔見知りのチークシャー※1に導かれて、遂に比叡山のさるの餌づけにこぎつける。訥々とした語り口を僕は何度読み返したことか。彼がゼネコン間組の御曹司であること、吃音であること、だから京都大学の理学部では無冠で一生を終えたこと、僕の勘違いかも知れないけれど、国立大学はひどい扱いするところだ、とずっと思いつづけたまま今に至っている。

彼はさるに愛情をもって接している。決して裏切らないこと、惜しみなく与えること。今西さんと通じるところがあるのだ。

今西錦司はダーウィンの進化論に異をとなえた人として知られている。

生存競争の結果、適者だけが生き残るという「自然淘汰」に疑問を投げかけるのである。
「創世記」が席巻していた西洋社会に「進化」の事実を突きつける勇気は並大抵ではなかったと思うけれど、「自然淘汰説」が今でも通念として定着したままである。そのままでは、強い者だけが生き残って、生物32億年の時間の間に170万種もの様々な生物が現存する多様性が説明できない。※2
弱い者も弱いなりに生き残っているのであるから。

「種」はその時が来れば一斉に変わるべくして変わる。と今西さんは考える。
そこが解り難いところなのだが、赤ん坊がある日突然二足歩行を始める有様を見ていると、「変わるべくして変わる」のだ。と追認せざるを得ない。

今西さんは「人類の誕生」を念頭に置きながら類人猿観察のフィールドワークを続けてきた。
彼の言葉を借りれば「さるから足を洗ったのが人間である」から彼の挙げる「人間家族の四つの条件」には第一の条件として「近親相姦の禁止」がある。
なぜそうなのかについて、今西さんは、フロイトを信奉して止まない文化人理学の現状を「寒心の至りである」という。

精神分析を必要としたような人間から得たわづかな資料でもって人間全体を律することがはたして可能であろうかという疑いをもつのである。タブーに触れる可能性を仮定すること自体が「いかがわしい」仮定なのであって、さる社会を見つめる目は人間中心主義から一歩身を引いている。※3

今西さんと一緒に奥美濃の雷倉に登った。(1969年)
岐阜羽島の新幹線まで送る事になって、僕のニセジープ(イスズユニキャブ・1300cc)は揖斐川の右岸をひた走りに走った。

「踏切やで言うてんのに」。彼の声は聞こえていたがそのまま渡りきったのである。
ブレーキを踏んでクラッチを切ってギアダウンをして再スタートを切る。その間に瞬間的にアクセルをふかすのでクラッチは二回踏む。F1レースでボン・ボンと唸りを上げるいわゆるダブルクラッチの手法である。
「・・・」僕は彼の声を無視した。
今西さんは便利つんぼやでということは承知していた。
それで臍をかんだ幾人もの人に一矢報いる千載一遇のチャンスであった。

※1 昔、嵐山から比叡山まで移動したというオスザル
※2日本文明と近代西洋・川勝平太・NHKブックス・P159
※3 サルP31

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小林 直人(こばやし なおと)

1941年生まれ。同志社大学文学部卒業。京都府南丹市で林業を生業にする。美山森林学校校長。

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【2】(1) 第227回J.I.フォーラム  8月24日 開催

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失敗から学ぶ  ー参院選「落選者」に聞くー

有権者が選挙に「失敗」することは珍しくありません。前都知事のケースもそう言えないでしょうか。

今回の参院選では立候補者のうち121人が当選し、268人が落選しました。この結果は私たちにとって 「成功」 なのでしょうか 「失敗」 なのでしょうか。

私たちもマスメディアも候補者や議員についてはああだこうだいいますが、自らの投票について振り返ることはあまりないのではないでしょうか。

選りすぐりの 「落選者」 に来て頂きます。「何を訴え何を目指してきたか」 「なぜ落ちたのか」 「選挙、政治の課題は何か?」などを聞き、私たち自身が選挙に失敗しないようにしたいと思います。

◯日 時:平成28年8月24日(水)  18:30~20:30 (開場18:00)

◯会 場: 日本財団ビル2階 大会議室  港区赤坂1-2-2 TEL 03-6229-5111

※ 場所にご注意ください。

◯ゲスト : 熊谷 大(自民党・宮城県選挙区)

林 久美子(民進党・滋賀県選挙区)

山田 太郎(新党改革・比例代表)

◯コーディネーター:加藤 秀樹(構想日本代表)

◯主 催:構想日本

◯定 員:160名

◯参加費:一般 2,000円 / 学生 500円 (構想日本会員は無料です)
※学生の方は受付にて学生証をご提示ください。

◯懇親会参加費:4,000円(ご希望の方は懇親会参加とお申込み時に明記して下さい)
※フォーラム終了後、ゲストを囲んで、懇親会を開催いたします。

「頤和園(いわえん)溜池山王店」港区赤坂1-1-12 TEL 03-3584-4531

※フォーラムへのご参加は8月24日(水)12:00まで info@kosonippon.org  にお願いします。

お申し込みはこちらから http://www.kosonippon.org/cp-bin/wp/forum/index.php

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(2)《今後の構想日本の活動》

《その他》

2016年4月~隔週月曜日 京都大学経済学研究科・経済学部 特殊講義「公共経営論1」 (代表 加藤秀樹)

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(3)Yahoo!ニュースオーサー記事更新!

Yahooニュースにオーサーとして投稿している記事が更新されました。ぜひ御覧ください。

代表 加藤秀樹

◇3月8日 防災を「自分事」に

http://bylines.news.yahoo.co.jp/katohideki/20160308-00055180/

ディレクター 伊藤伸

◇7月10日 「1票のコストが500円」を肝に銘じる。

http://bylines.news.yahoo.co.jp/itoshin/20160710-00045082/

◇6月24日 18歳以上なのに投票ができない? ~下宿中で住民票を移動していない学生有権者は選管に確認しよう!~

http://bylines.news.yahoo.co.jp/itoshin/20160624-00059168/

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(4)「現場みらい塾(構想日本×PHP総研)」

第4期 開講中 各回単発の申し込みもできます

税収、人口の奪い合い(=ゼロサム)ではなく、プラスサムを!

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人口減少、高齢化、不十分な予算と人員など、自治体にとってはますます厳しい時代です。政府の「地方創生」も続きそうにありません。

自治体間で税金や人口の奪い合いをするのはゼロサム、つまり持続可能ではありません。

それでも、視点を変え、従来の延長線上で考えることをやめると、解決策が見えてくるのです。

この塾は、従来型の研修ではありません。自治体のどの仕事にも応用できる、「知恵の出し方を身につけるトレーニングの場」です。

他自治体の職員、議員、民間人と一緒に半年間議論し、学び合うゼミ形式のプログラムです。受講生はこれまでに約70名。

問題意識の高い自治体職員、議員のネットワークも大きい財産です。

ここから日本が変わります。

― 第4期カリキュラム ―  ※現時点の予定ですので、変更の可能性があります。

【内 容】

第2回:8月27日(土)10:00~18:00
講義:ディベートで培う実践的思考
熊谷 哲 〔PHP総研 主席研究員〕
実践:ディベート
熊谷 哲 〔PHP総研 主席研究員〕
講義:「事業シートで業務の画期的な効率化を」
伊藤 伸 〔構想日本 総括ディレクター〕

第3回:9月24日(土)10:00~18:00
講義:「財政の自分事化に向けて~国の財政と地方の財政~」
福田 誠 〔財務省 国有財産企画課 政府出資室長〕
講義:「無作為抽出の住民参加で地域の課題を『自分ごと』に」
伊藤 伸 〔構想日本 総括ディレクター〕
実践:模擬事業仕分け1/手法を学ぶ

第4回:11月5日(土)13:00~18:30、6日(日)10:00~16:00
実践:模擬事業仕分け2/チームで体験する
実践:事業シートプレゼンテーション/発表から体得する
セッション:「『わたしのまち』と一人称で呼んでもらえる町を目指して(仮)」
筒井 敏行 〔香川県三木町 町長〕
実践:締めくくり総括ディスカッション

【応募資格】
地域をよりよくしたいという情熱を持ち、地域の課題解決と未来創造のために、自ら考え行動する意志のある人

【募集人員】 50名程度

【会  場】  PHP総研会議室
(江東区豊洲5-6-52 NBF豊洲キャナルフロント11階)

【参 加 費】  各回:10,000円(税込)※旅費・食費等は含まれません

【応募手続き】

現場みらい塾申込みサイト(以下のリンク先)に入力し送信

https://docs.google.com/forms/d/1AaZhsGk6sCIS-UEOtw_VWMgdL6elYrMxwr8UuBAn7dY/viewform

定員に達し次第、締め切らせていただきます。

【お問い合わせ】

構想日本:田中、小川、永由 TEL:03‐5275‐5607、Email:info@kosonippon.org
PHP総研 :皆川      TEL:03‐3520‐9612、Email:genba-mirai@php.co.jp

その他詳細はこちら http://www.kosonippon.org/cp-bin/wp/project/detail.php?id=713

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