メールマガジン

【No.783】「特ダネではないけれど(14) 分断と壁」

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J.I.メールニュース No.783 2016.11.17  発行

「特ダネではないけれど(14) 分断と壁」

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【1】<巻頭寄稿文>

「特ダネではないけれど(14) 分断と壁」

新聞記者     松浦 祐子

【2】<アーカイブ(過去の寄稿文)>

真田紐を作る 真田紐師 江南(えなみ)  和田 伊三男

【職人リレーエッセー(10) 百年後の為に今を生きる】

【3】<お知らせ>

(1) 第230回J.I.フォーラム  11月29日(火)開催

(2) 今後の構想日本の活動

【4】<ご紹介>

「ねっか さすけねぇ」 日本再発見塾 in奥会津

11月18日(金)、19日(土)実施!

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【1】「特ダネではないけれど(14) 分断と壁」

新聞記者     松浦 祐子

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アメリカ大統領選で共和党のドナルド・トランプ氏が当選しました。不法移民の入国を阻止するために「アメリカとメキシコとの国境に壁を築く」と言ったり、女性蔑視の発言を繰り返したりと、何かと分け隔てをしたがる人物です。

私の頭の中のアメリカは「サラダボウル」とも形容される、多種多様な人種や性別の人々が、混じり合わないけれども、共存を目指している社会というイメージだったので、こういう人物が国のトップになるとは、驚きでした。少し前には、イギリス国民が国民投票でEU離脱を決め、びっくりさせられました。

「びっくり」の一番の理由は、アメリカもイギリスも、国全体としては大不況ではない時に、このような「分断」を指向する大統領や方向性を国民が選んだことでした。衣食住に困るような大不況期ならば、自国や自分のことしか考えられなくなり、「内向き」になるのも仕方がないかもしれません。でも今の両国は、決してそのような大不況期では(経済統計上)、ありません。

少しタイムトリップをして、2008年の日本へ行ってみましょう。
同年の秋にアメリカでリーマン・ショックと呼ばれる金融危機が起こりました。当初、日本政府は「日本の金融は健全で、我が国への影響は小さい」と言っていました。にもかかわらず、実際にはアメリカの大不況は、あっという間に太平洋を越え、日本に大失業と大不況をもたらしました。

私は、東京の日比谷公園で「年越し派遣村」の取材をしていました。政府は「大丈夫」と言っていたけれど、働く現場では派遣労働者や期間工と呼ばれる非正社員の人々を中心に次々と仕事を失っている現実がありました。それに気づいた労働組合や支援団体が「失業者が年末年始を過ごせる場所を作ろう」と準備を進めたものでした。

当初は企画した人々も「何人くらい来るだろうか?」「誰も来ない方が、世の中的にはいいよね。そしたら、みんなで『寅さん』のビデオでも見て、みんなで過ごそうか」などと言っていたのです。

ところが開村すると、続々と寝泊まりする場所を求めて失業者がやって来たのです。しかも電車賃がないからと、静岡や群馬から歩いて来た人も一人や二人ではありませんでした。派遣村に到着すると、安心感からかバタッと倒れてしまった人もいました。平成の世の日本で、です。多くのメディアに、政治に、国民に見えていない世界がありました。

私にとって大不況の原体験は、この派遣村となりました。働く場を失った時に、この国で生きていくことの大変さ、そこから抜け出すことの難しさ。派遣村は、日本の現状を「可視化」したとも評されました。

正社員と非正社員の格差や断絶といったものが明らかになり、日本の取り組むべき課題として示されました。

当時、「日本でこれほどの不況なのだから、震源地のアメリカはどれだけすごい不況なのだろうか」と思ったものでした。しかし、その後アメリカは着実に景気回復していき、今では世界経済を引っ張っていく存在に戻っています。

そのアメリカ大統領選で提示された格差の拡大と人々の断絶。そして、国が経済成長しさえすれば格差が解消されるという富のトリクルダウン(富が自然に下層へしたたり落ちる)理論に対して、アメリカの国民がノーを突きつけた意味は、とても大きなものだと感じました。

敗れたヒラリー・クリントンは敗北スピーチで「私たちの国家が思っていたよりもずっと深く分断されていることを目のあたりにした」とした上で、「立憲民主主義は、4年おきの選挙ではなく、常に政治へ参加することを求めている」と述べました。

日本も、より分断が拡がってしまう前に、自分事として取り組んでいかなければならない。壁が高すぎて、見えなくなってしまう前に。今、痛切にそう感じています。

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松浦 祐子 (まつうら ゆうこ)

1974年 神戸市生まれ。大学院修了後、1999年新聞社に入社。和歌山、高知での地方勤務、東京での雇用、介護分野、厚生労働省、財務省担当などを経て、現在は新潟で県政を担当。

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【2】<アーカイブ(過去の寄稿文)>

大河ドラマにも出てきた「真田紐」。

真田昌幸、信繁(幸村)親子が作製し、生計を立てていたという噂の紐。

「真田紐」現代の製作者のメルマガです。 全文はこちらから → http://db.kosonippon.org/mail/detail.php?id=362

JIメールニュースNo.357 2008.7.4発行

【職人リレーエッセー(10) 百年後の為に今を生きる】

真田紐師 江南(えなみ)  和田伊三男

短いサイクルで商品が次々と消費されていく世の中にあって、同じ品種の商品を何百年も売っている老舗がたくさんあります。我々も、代々450年以上、真田紐を作り、売り続けています。

これがなぜこの時代も生きていられるのか? 確かに裕福に続けている店は多くはありませんが、時代の波の中、それを乗り越えてゆく考え方があるのです。

それは、「商売っ気を見せてはならない」事に尽きます。商売っ気を見せた途端その商いは終焉を迎えると言っても良いでしょう。商売と離れた部分に商売のツボがあるのかも知れません。

特に、ものづくりの商売に於いて、商売をする中で、現在の原材料、道具、作る人、お客様、それぞれが末代に至って一つでも欠けてしまっては続くものではありません。我々の商売では、今仕入れる道具を実際使うのも、今入ってきた職人がちゃんと作品を作れるのも何十年後かになります。

それはお客様にも言える事で、ただ単に商品を売って利益を得るというだけではそう長く続く関係にはなりません。真田紐のお客様には異業種の職人さんや作家さんから大きな企業の方も多いわけですが、お客様が真田紐を使う事に慣れていない場合は、包括的な生活風習から使う為のアイデアや使い方などを教え、場合によっては
横について一緒に物を作る事もあります。

お客様を育てると言う事も実際には時間のかかる事ですし、その間は無償もしくは商売上は損をします。たとえば、20歳で作家としてスタートしたお客様が50代・60代になって大きな作家となる様にサポートするのです。こういったお客様を何十人と同時進行でサポートすると多くのお客様と一生関係が続き、また、その後継者も自分の次世代に至るまでのお客様になります。

お客様が大きくなり大きな商売となって得た利益は、次のお客様、その後継者の方の糧となります。そして、その中でこちらの生活もあるのです。

とはいえ、老舗も、同じ物を作っているばかりではありません。その時代時代のニーズにしたがって作る、新しい商品、使うアイデアも必要です。真田紐で言えば、アパレルやインテリア産業や小物などに使われるものです。

しかし、昔から「大木は根や幹を育てる事によって枝が伸びる」という例えに言われる様に、根や幹にあたる“本筋の商売”があってこその枝葉(新しいアイデア)であることを忘れてはなりません。枝葉の部分がどれだけ売れようとも、根や幹から離れて重心を移したら、その大木は枯れてしまうか、もう一度挿し木の苗の状態から育てなければなりません。それにはまた何十年、何百年とかかるでしょう。

一方、枝葉のない木も幹は育ちません。(続く) 続きはこちらから→ http://db.kosonippon.org/mail/detail.php?id=362

*和田 伊三男(わだ・いさお)氏のプロフィール

昭和41年9月、十四代指物師江南・伊三郎と十三代千家十職塗師・中村宗哲次女孝子(十四代真田紐師江南)の間に京都で生まれる。私立帝塚山中学校入学同卒。http://www13.plala.or.jp/enami/

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【3】(1) 第230回J.I.フォーラム  11月29日(火) 開催

トランプ大統領誕生! アメリカ、そして日米関係はどうなるか

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1年前には誰も予測しなかったトランプ大統領の誕生です。

これからアメリカの政治、日米関係はどうなるのか、ますます予測がつきません。

選挙戦での発言どおりの内向き、白人中心の政治になるのでしょうか。さらに、こういう状況をもたらしているアメリカ社会の動向はどうなっているのでしょうか。

3人のトッププロに伺います。

◯日 時:11月29日(火) 18:30~20:30 (開場18:00)

◯会 場:アルカディア市ヶ谷 6階 「伊吹」 (千代田区九段北4丁目2番25号)TEL 03-3261-9921

http://www.arcadia-jp.org/access.htm

※場所にご注意ください

◯ゲスト:久保 文明(東京大学大学院 法学政治学研究科 教授)

河野 太郎(衆議院議員 前行政改革担当大臣)

田中 均 (日本総合研究所 国際戦略研究所 理事長)

◯コーディネーター:加藤 秀樹(構想日本代表)

◯主 催:構想日本

◯定 員:100名

◯参加費:一般 2,000円 / 学生 500円 (構想日本会員は無料です)
※学生の方は受付にて学生証をご提示ください。

◯懇親会参加費:4,000円(ご希望の方は懇親会参加とお申込み時に明記して下さい)
※フォーラム終了後、ゲストを囲んで、懇親会を開催いたします。

アルカディア市ヶ谷  2階 レストラン

※フォーラムへのご参加は11月29日(火)12:00まで info@kosonippon.org  にお願いします。

お申し込みはこちらから http://www.kosonippon.org/cp-bin/wp/forum/index.php

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☆ 次回 第231回J.I.フォーラム  12月20日(火) 開催決定 ☆

テーマは日本酒です。詳細は追って掲載します。

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(2)《今後の構想日本の活動》

11月20日(日)福岡県 大刀洗町 「住民協議会」(全4回中の第2回)

※ナビゲーターとして、河野太郎衆議院議員(前防災担当大臣)と、山中光茂前松阪市長が参加予定。

今年度の構想日本の『事業仕分け・住民協議会・施設仕分け実施一覧』詳細は、以下のURLよりご覧いただけます。

http://www.kosonippon.org/cp-bin/wp/blog/?page_id=1079

《その他》

2016年4月~隔週月曜日 京都大学経済学研究科・経済学部 特殊講義「公共経営論1・2」 (代表 加藤秀樹)

公共政策の各論を毎回ゲストの講義で進めています。これまでのゲストは、
株式会社もり 代表 原野守弘氏、内閣府 迎賓館長 別府充彦氏、一般社団法人瀬戸内サーカスファクトリー 代表理事 田中未知子氏、長岡京市長 中小路健吾氏、厚木市こども未来部長 小瀬村寿美子氏、元朝日新聞社 代表取締役社長 木村伊量氏、財務省 事務次官 佐藤慎一氏。

次回は、株式会社マイファーム 代表取締役社長 西辻一真氏(構想日本メルマガ「農業の現場あるあるシリーズ」執筆者)、日本ポリグル株式会社 代表取締役会長 小田兼利氏。

2016年9月~毎週木曜日 法政大学 「NPO論」講義 (総括ディレクター伊藤伸)

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【4】<ご紹介>

日本再発見塾 in奥会津 「テーマは【ねっか さすけねえ】」※1

参加者 募集中!!

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日本再発見塾は、日本各地に根付いた文化、伝統、歴史に触れ、その魅力を再発見し、地域を日本を元気にしよう。そして自分自身ももっと元気になろうという活動です。

各界で活躍する文化人や著名人が開催地を訪れ、そこに暮らす人びとや参加者と共に地域の文化を体験し、交流し、そして再発見した情報を発信します。

「聞き歩き」や奥会津ならではの食事や体験をとおして、奥会津の魅力や、ひいては日本の良さをいっしょに再発見しましょう!

■開 催 日:2016年11月18日(金)、19日(土)

■開催会場:福島県 奥会津5町村(柳津町/三島町/昭和村/只見町/金山町)

■呼びかけ人・ゲスト(参加予定者):黛まどか(俳人・呼びかけ人代表)、稲垣文彦(中越防災安全推進機構 理事)、玄秀盛(公益社団法人 日本駆け込み寺代表理事)、佐川旭(建築家)、塩野米松(作家)、田中未知子(一般社団法人 瀬戸内サーカスファクトリー代表理事)、田中陽子(株式会社ゆずりは代表取締役)、藤原誠太(養蜂家)、エバレット・ブラウン(湿板光画家)

■当日プログラム

<1日目(18日)>

【 聞き歩き 】
まず始めに、一般参加者と呼びかけ人・ゲストは奥会津各町村に分かれ「聞き歩き」を行います。奥会津に暮らすお年寄りのお話を中心に、地域の文化、伝統、歴史に触れることで、その魅力を再発見する試みです。

【 夕食・親睦会 】
聞き歩き後は、宿泊施設に移動し、同じ地域で「聞き歩き」を行った一般参加者達で、奥会津の郷土料理を味わいながら夕食・親睦会を行います。

<2日目(19日)>

【 てわっさ体験 】
午前中、一般参加者は各町村で地元の「てわっさ(手わざ・手作り・手遊びという意味の方言)」を体験します。

〇柳津町:あわ饅頭作り体験、〇三島町:山ブドウの皮でストラップ作り体験、〇金山町:蜜ロウソク作り、〇昭和村:からむし織コースター作り体験、〇只見町:あがりこの森と叶津番所で文化体験。

【 第11回 日本再発見塾in奥会津・只見線 全体フォーラム 】

午後からは地元住民、一般参加者、呼びかけ人・ゲストが一堂に会し、「1.再発見報告会」と「2.意見交換会」の2つを行います。

1.再発見報告会
一般参加者が、各町村で再発見した「宝(魅力)」の報告をします。
2.意見交換会
『テーマ:奥会津は「宝」の山、山、山!-やんなんねべ-』
地元住民、呼びかけ人・ゲスト、一般参加者とで、奥会津地域の「宝」を再発見し、その活かし方について意見交換します。

※1「ねっか さすけねえ」とは、会津全域で使われている「何にも心配いらないよ!」という意味の方言

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