メールマガジン

【No.865】「なぜ日本郵政と商工中金の運用戦略は失敗したのか(3) 完全民営化へのロードマップ」|京都大学経済学研究科・経済学部  特任教授  宇野 輝氏|

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構想日本メールマガジン【No.865】 2018.06.28 発行

「なぜ日本郵政と商工中金の運用戦略は失敗したのか(3) 完全民営化へのロードマップ」

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【1】活動ニュース

(1)静岡県湖西市「市民会議」(住民協議会)

(2)群馬県太田市「住民協議会」

(3) Yahoo!ニュースオーサー 新記事投稿

【2】会員募集・寄付のお願い

日本をもっと素敵な国にしたいと思っている人へ

【3】お知らせ

「アートで輝く!障がい者作家のための常設ギャラリーを都心に開設」 クラウドファンディング

目標額300万円 達成しました

【4】巻末寄稿文

「なぜ日本郵政と商工中金の運用戦略は失敗したのか(3) 完全民営化へのロードマップ」

京都大学経済学研究科・経済学部  特任教授  宇野 輝

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【1】(1)静岡県湖西市「市民会議」(住民協議会)を開催!!

テーマは「市民会館の建て替え」について

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湖西市は、老朽化で昨年度取り壊した市民会館を、複合施設として新しく建て替えることを検討していますが、その必要性や具体的な中身について、無作為に選ばれた市民が中心になって議論します。

自治体の職員の方をはじめ、皆様ぜひ傍聴にお越しください。

★湖西市「市民会議」の特徴★

1.無作為に選ばれた市民が、公共施設の必要性や具体的な中身を議論するのは全国でも珍しい試み。

2.幅広い世代の意見を取り入れるため、地元の高校生も参加。

3.検討結果は、市の次年度以降の事業の進め方や予算に反映する。

【開催日時】

第2回:7月15日(日)13:00 ~ 16:00(予定)
(市民会館の必要性や、機能、建設場所などについて議論)

第3回:8月18日/第4回:9月30日/第5回:11月4日

【会 場】

湖西市民活動センター2階大会議室(静岡県湖西市鷲津1293‐4)
※会場についてのお問い合わせは、湖西市資産経営課まで(053-576-4875)

【参加者】

湖西市「市民会議」委員24名(湖西市民、地元高校生)*1
湖西市職員
コーディネーター(構想日本 総括ディレクター 伊藤伸)
ナビゲーター(論点提示役)(構想日本より派遣)

*1無作為に選ばれた市民が1000名に案内を送付し、応募のあった20名と公募した高校生4名。

【参加費】無料(事前申し込み不要、途中の入退室可)※どなたでも傍聴できます。

【主 催】湖西市

【協 力】構想日本

※詳細は、湖西市ホームページでもご覧いただけます。
http://www.city.kosai.shizuoka.jp/12766.htm

お問い合せ:構想日本 伊藤/永由
TEL:03-5275-5607、email:shiwake@kosonippon.org

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(2)群馬県太田市 「住民協議会」

テーマは「ごみの減量化」について

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群馬県太田市は、無作為に選ばれた市民が議論する「住民協議会」を昨年度に引き続き実施します。今回のテーマは「ごみの減量化」について。太田市では平成33年度から新焼却施設が稼働します。新焼却施設の稼働に向けて、ゴミの更なる減量化や資源化を進めるために個人、地域、行政は何をすべきか市民視点で議論します。

自治体の職員の方をはじめ、皆様ぜひ傍聴にお越しください。

★太田市「住民協議会」の特徴★

1.清水聖義市長の強いリーダーシップにより2年連続の開催(連続開催は全国2例目)。

2.昨年は参加者全50名のうち、女性が過半数の26名。

3.さらに昨年は、住民協議会に参加したことがきっかけとなってNPOを作る人がでるなど行動の変化にもつながっている。

【開催日時】

第1回:7月14日(土)13:30~17:00(予定)
(開会式、住民協議会の趣旨及びテーマに関する説明、自己紹介など)

第2回:8月18日(土)13:30~16:30(予定)

第3回:9月29日/第4回:10月21日/第5回:11月17日

【会 場】

第1回、第4回、第5回:太田市役所本庁舎(太田市浜町2番35号)
第2回、第3回:宝泉行政センター(太田市西野谷町38-2)
※会場についてのお問い合わせは、太田市企画政策課まで(0276-47-1892)

【参加者】

太田市住民協議会委員(太田市民)*1
太田市職員
コーディネーター 田中 俊  (構想日本政策スタッフ)
コーディネーター 高澤 良英 (市原市総務部次長)

*1無作為に選ばれた市民1300名に案内を送付し、応募のあった人(現時点で40名)。

【参加費】無料(事前申し込み不要、途中の入退室可)※どなたでも傍聴できます。

【主 催】太田市

【協 力】構想日本

お問い合せ:構想日本 田中/徳永
TEL:03-5275-5607、email:shiwake@kosonippon.org

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(3) Yahoo!ニュースオーサー 新記事投稿

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Yahooニュースにオーサーとして新しい記事を投稿しました。ぜひ御覧ください。

代表 加藤 秀樹

◇2018年4月2日 ヤフーニュース 森友・加計問題が私たちにつきつけていること

https://news.yahoo.co.jp/byline/katohideki/20180402-00083471/

◇2018年4月20日 ヤフーニュース 相撲の神様の思し召し

https://news.yahoo.co.jp/byline/katohideki/20180420-00084241/

ディレクター 伊藤伸

◇2018年6月12日 ヤフーニュース 政府の事業チェック ~消費税増税に伴う「買いたたき」調査(公正取引委員会)~

https://news.yahoo.co.jp/byline/itoshin/20180612-00086400/

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【3】会員募集・寄付のお願い

政治がこのままではいけないと思う人、日本をもっと素敵な国にしたいと思っている人・・・是非、構想日本の活動にご参加、ご支援ください。

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昨日フォーラムご参加の皆様は、当日配布の紙でお申込みいただくと入会金が無料となるキャンペーン中です。この機会にお申し込みください。

◯構想日本会員(個人)年会費1口10,000円(1~10口)、入会金2,000円 (WEBからお申し込みいただく場合は入会金免除)

◯構想日本会員(法人)法人会員A 年会費1口300万円、入会金30万円/ 法人会員B 年会費1口 50万円、入会金30万円/ 法人会員C 年会費1口 10万円、入会金5万円

詳細は、こちらからご覧ください。 http://www.kosonippon.org/cp-bin/wp/info/index.php#member

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【3】ご紹介

クラウドファンディング「アートで輝く!障がい者作家のための常設ギャラリーを都心に開設」

目標額300万円 達成!!

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NO.862のメルマガ執筆者、杉本様の「アートで輝く!障がい者作家のための常設ギャラリーを都心に開設」クラウドファンディング

お陰様で標額の300万円達成しました!! とはいえ、明日まで受け付けております。

6月29日(金)午後11:00までです。ご興味のある方はどうぞこちらから →  https://readyfor.jp/projects/16236

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【4】寄稿文 「なぜ日本郵政と商工中金の運用戦略は失敗したのか(3) 完全民営化へのロードマップ」

京都大学経済学研究科・経済学部  特任教授  宇野 輝

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(1)は こちらから→ http://www.kosonippon.org/cp-bin/wp/mail/detail.php?id=860
(2)は こちらから→ http://www.kosonippon.org/cp-bin/wp/mail/detail.php?id=871

3.商工中金の2つの失敗

最初に度重なる(株)商工組合中央金庫法の改正の経緯を述べる。

◆平成19年5月 株式会社商工組合中央金庫法が成立し、商工中金は特殊会社として発足。5~7年後を目途に政府が保有する株式の全部(46.6%)を処分する。完全民営化を目指し、平成20年10月1日民営化がスタート。このとき、政府出資金4,053億円から3,037億円を、中小企業への特別準備金として振替え自己資本とした。政府保有の株式は1,016億円となった。

参照図 2 http://www.kosonippon.org/cp-bin/wp/documents/2018/mail/zu2.pdf

◆平成21年6月 リーマンショック後、改正。平成24年3月末まで政府の出資が可能とされ、平成24年4月から5~7年後を目途に完全民営化するものとした。危機対応準備金1,500億円を自己資金に組み入れた。

◆その後、東日本大震災が発生。平成25年5月商工中金に財政援助を行う「財特法」が成立した。これにより政府出資可能期限が3年延長され、完全民営化は更に延長された。政府は株式保有のあり方を含めた組織のあり方等を見直すとした。

◆平成27年5月改正。その要旨は「商工中金の完全民営化の方針は維持しつつ、危機対応及び成長資金供給に対し、投融資機能を活用すること」であった。
これにより政府は当分の間商工中金に出資することができ、成長資金(身の丈以上の資金)を集中的に供給し、平成37年度までに商工中金がこれまで投資にまわしていた資産をすべて処分するよう努める。
政府の保有する株式については、市場動向を踏まえつつ、出来る限り早期に全部を処分する。
また、当分の間、政府に対し株を一定額保有することを義務付けることとした。

以上のように、度重なる法改正により完全民営化への道は厳しい条件が付けられた。更に民営化の基本的な条件であった経営トップ人事において、当初の民間人出身の社長人事が官僚出身(経財産業省事務次官)の社長人事に代わり、その後も続いている。

<社長人事の推移>

民営化以前 平成5年~平成13年  児玉幸治(通産省事務次官)
平成13年~平成20年 江崎格(通産省産業政策局長)
民営化以後 平成20年~平成25年 関哲夫(新日鉄代表取締役副社長)
平成25年~平成28年 杉山秀二(経産省事務次官)
平成28年~現在    安達健祐(経産省事務次官)

なお、民営化された他の政策金融機関、日本政策投資銀行、および日本郵政グループ4社の経営トップ人事は民間人出身者で維持されている。

以上のように、政府及び経済産業省は商工中金の経営に深く関わり、官製金融へ逆戻りしている。商工中金の完全民営化の道は遠のいてしまった。

「危機対応融資制度」が機能している間は、官主導の経営が可能であったかもしれないが、震災復興が一段落すると当然「危機対応融資」の案件が減少してくる。

金利補助や保証付き融資でリスクのない危機対応融資は、顧客も商工中金にもメリットがあり、不正融資が横行する環境が整っていた。そのような時期にノルマを課したため、今回のようなノルマ達成のための不正融資がまかり通ることになったのである。
この不正融資について、第三者委員会が実態を報告したが、サンプル調査であったため不十分とされ改めて全件調査を行った。その結果平成29年10月、商工中金は中小企業庁に97支店、4,609口座で不正融資があったと報告した。
これを受けて経済産業省に有識者による「商工中金の在り方検討会」が設置され、6回にわたって審議されたが、その方向性は完全民営化か或いは官主導の民営化か、に意見が分れ越年してしまった。

そもそも不正融資の原因の第1は、中小企業庁の予算計上が過大かつ継続的だったため支店への過大な配分となりノルマを課すことになった。第2は危機対応融資制度が創設された時、官主導の経営を資本政策に盛り込んだことにある。

その資本政策とは中小企業のためとして政府出資金と利益剰余金の一部を合わせて4008億円を特別準備金へ振替えたことや、危機対応準備金に1,500億円を自己資金に組み込んだことである。これらの準備金合計5,508億円を自己資本の中核と位置づけて、経営内容の情報開示で明記していることから考えれば、実質的な政府保有シェアは平成29年3月末で71%におよぶ。完全民営化に向けてこの資本政策を見直すことが喫緊の課題である。

参照図3 http://www.kosonippon.org/cp-bin/wp/documents/2018/mail/zu3.pdf

全国の支店で不正融資が行われたことは、官主導の経営資質の問題と言わざるを得ない。政府は特殊法人改革の原点に立ち返り、商工中金の根拠を特殊法から一般的な銀行と同じ銀行法に変えて、上場による経営の透明性を高め、完全民営化へのロードマップを明確に示すべきである。

(4)へ つづく

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宇野 輝 (うの あきら)

京都市出身。京都大学経済学部卒業後、住友銀行に入行。住友銀行取締役。三井住友カード副社長、SMBCコンサルティング会長を経て平成18年日本郵政(株)執行役員となり郵政民営化に従事。ゆうちょ銀行常務執行役退任後、平成22年より京都大学経済学部特任教授「官製金融と民間金融概論」の講義を担当。平成23年京都大学大学院経済学研究科フェローの称号を授与され現在に至る。
現在の役職:DMG森精機(株)顧問、橋本総業ホールディングス(株)社外取締役、(株)三社電機製作所 社外取締役、(一社)金融経済みらい研究所 代表理事、京都大学経済学部同窓会 副会長兼東京支部長。

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(編集後記)

昨日のフォーラムは久しぶりに大盛会でした。(別の名は天手古舞)
足をお運び頂いた皆様、見守ってくださった皆様、ありがとうございました。
次回のフォーラムは鋭意検討中です。もう少々お待ちいただければと思います。

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