【No.931】「オリンピック・レガシー 前編 ~歴史的保全と世代間倫理~」 |神宮外苑と国立競技場を未来へ手わたす会 共同代表  清水 伸子氏|
2019.10.10

【No.931】いよいよ明日!ここでしか聞けない話 J.I.フォーラム10月11日(金)

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構想日本メールマガジン【No.931】 2019.10.10 発行

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<目次>

【1】第253回J.I.フォーラム 10月11日(金)

「税も財政も、もう他人事ではすまない 今日から自分ごとに」

【2】今後の活動予定

(1)鹿児島県 志布志市「ふるさと住民協議会」10月10日(木)本日開催

(2)鳥取県 琴浦町「事業レビュー」10月12日(土)、13日(日)

(3)和歌山県 海南市 「住民協議会(4)」10月14日(月・祝)

(4)群馬県 太田市「自分ごと化会議2019(3)」開催延期

【3】各地からの報告 <注目点>

(1)兵庫県 川西市「第5回かわにし市民会議」

(2)群馬県 富岡市「第2回とみおか未来会議」

(3)北海道 清水町「第2回清水ミライ自分ごと化会議」(FBより)

【4】巻末寄稿文

「オリンピック・レガシー 前編 ~歴史的保全と世代間倫理~」

神宮外苑と国立競技場を未来へ手わたす会 共同代表   清水 伸子

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【1】第253回J.I.フォーラム

「税も財政も、もう他人事ではすまない。 今日から自分ごとに」

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消費税が2%アップしました。メディアでは還元策や景気への影響などが云々されていますが、そもそもは財政赤字をどうするかです。

一方で、政府の来年度予算要求は史上最大の105兆円。これらについての真剣な議論がなさすぎないでしょうか。

財政が危機になれば、一番困るのは国民です。増税を機に生活と国の事業や財政のつながりを自分ごととして考えます。

税や財政を自分ごととし、考えるきっかけにしていただけると思います。

◯日 時:2019年 10月11日(金)19:00~20:50 (開場 18:30)

◯会 場:アルカディア市ヶ谷 4F 鳳凰(千代田区九段北4-2-25、TEL:03-3261-9921)

◯登壇者:(敬称略・五十音順)

越智 隆雄(衆議院議員・自由民主党 前財務金融部会長)

玉木 雄一郎(衆議院議員・国民民主党 代表)

土居 丈朗(慶應義塾大学経済学部 教授)

◯コーディネーター:加藤 秀樹(構想日本 代表)

◯参加費 : 一般 2,000円 / 学生 500円(構想日本会員は無料です)※学生の方は受付にて学生証をご提示ください。
事前にお申し込みください ☆懇親会はございません。

◯フォーラムの申し込み方法

⇒HPから申し込み:https://www.kosonippon.org/wp-manager/forum/regist.php
⇒メールをする:info@kosonippon.org
⇒Facebookイベントページの「参加」をクリック
:https://www.facebook.com/events/2325371987715443/
⇒電話をする:03-5275-5607
⇒FAX.をする:03-5275-5617

いずれかの方法で、お申し込みください。

◯お問い合せは TEL 03-5275-5607

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【2】今後の活動予定

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(1)全国初「ふるさと住民協議会」鹿児島県 志布志市で10月10日(木)開催

テーマは「ふるさと住民票(*)でできること」

★志布志市「住民が語る会」の特徴★

1.「まち・ひと・しごと創生総合戦略」作成にあたり、住民協議会の手法を用いる。
2.無作為に選んだ市民と「ふるさと住民」とがコラボした住民協議会は全国初。
3.市民同士、ふるさと住民同士、市民とふるさと住民という複層的な交流を作り、継続させることが目的の一つ。

<志布志開催>

【日 時】10月10日(木)18:30~20:30(予定)

【会 場】志布志市役所志布志支所 5階会議室 (鹿児島県志布志市志布志町志布志2-1-1)

無作為に選んだ志布志市民15名が参加。市の魅力や課題、ふるさと住民との関わり方などについて意見を出し合う。
市の魅力をアピールするため、また課題を解決するために何ができるか、ふるさと住民にどういう関わり方をしてもらいたいかなどを話し合う。

【主催】志布志市

詳細は、志布志市HPをご覧ください。
http://www.city.shibushi.lg.jp/docs/2019100300024/

▼「住民が語る会」に関するお問合せ(一般傍聴、取材など)につきましては、すべて以下へご連絡ください。

志布志市 企画政策課 地方創生推進室(電話:099-474-1111)

*ふるさと住民票(R)とは

TOP

志布志ふるさと住民票とは
http://www.city.shibushi.lg.jp/docs/2019071000022/

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☆台風19号の接近に伴う会議延期もありえます。傍聴の際には事前にご確認ください。

下記の3自治体【参加費】無料 どなたでも傍聴できます(事前登録不要、途中入退室可)

お問合せは、構想日本まで TEL:03-5275-5607 E-MAIL:shiwake@kosonippon.org

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(2)鳥取県 琴浦町「事業レビュー」10月12日(土)、13日(日)

★琴浦町事業レビューの特徴★

1.無作為に選ばれた町民43名が町の事業について評価する。
2.納税者である住民が自分ごととして町の事業を評価、また職員の意識改革、説明能力の向上が目的。
3.「社会福祉協議会」「商工会」への補助金事業など全9事業を評価。翌年度以降の予算編成に反映。

【日 時】10月12日(土)、13日(日)9:00~17:00

【会 場】生涯学習センター(まなびタウンとうはく)4階多目的ホール(鳥取県東伯郡琴浦町徳万266-5)
※会場についてのお問い合わせは、琴浦町役場総務課まで(電話:0858-52-2111)

【対象事業】
(1日目)
1)地区公民館事業、2)斎場管理、3)地域おこし協力隊活動事業、4)交通費助成制度
(2日目)
5)社会福祉協議会補助金、6)シルバー人材センター運営費補助金、7)商工会補助金、8)観光資源発信業務、9)白鳳祭

詳細は、琴浦町HPをご覧ください。
http://www.town.kotoura.tottori.jp/docs/2019062100021/

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(3)和歌山県 海南市「住民協議会」10月14日(月・祝)

★海南市「住民協議会」の特徴★

1.公民館等のあり方を、無作為に選ばれた市民と、地域の実情に詳しい地区代表者等が議論。
(無作為に選ばれた1,000人の中から応募のあった33名と自治会長など地区代表者16名)
2.昨年度の行政事業レビューに参加した市民判定人OB・OGがオブザーバーとして参加。
3.議論の結果は、来年度に作成予定の施設を見直す計画(個別施設計画)に反映。

【日 時】第4回 10月14日(月・祝) 14:00~17:00(予定)

【会 場】海南市役所(和歌山県海南市南赤坂11番地)
※会場に関する問い合わせ先:海南市役所総務部企画財政課(電話:073-483-8405)

詳細は、海南市HPをご覧ください。
http://www.city.kainan.lg.jp/kakubusho/soumubu/kikakuzaiseika/kikakuzaiseikatorikumi/jyuuminkyougikai/1559805096309.html

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群馬県 太田市「自分ごと化会議2019(3)」 台風19号の接近に伴い、開催「延期」

★太田市「自分ごと化会議2019」の特徴★

1.「行政情報のあり方」がテーマ。
2.無作為に選ばれた1,300人の中から応募のあった33名の市民が参加。
3.今回は市職員の中で無作為に選ばれた職員が市民にまざり議論に参加。

【日 時】第3回 開催延期

今後の予定については、順次市HPに情報掲載いたします。(太田市HPより)

詳細は、太田市HPをご覧ください。
https://www.city.ota.gunma.jp/005gyosei/0020-001kikaku-kikaku/2017-0710-jk.html

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【3】各地からの開催報告

皆さまのところでも当てはまることがきっとあります。
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(1)兵庫県 川西市「第5回かわにし市民会議」<注目点>

テーマは5つ 1,産業の活性化 2,子育て・教育の充実 3,住宅都市としての魅力向上 4,文化・歴史の活かし方 5,やりがいの持てる地域活動の促進

出された提案(抜粋):「情報は出している」という行政側の意識と、「知らなかった」という市民の意識のギャップを埋めるための仕掛けを考える。「災害時にお互いが助け合える関係を、日常の地域交流を通じて育む」「歴史や文化財に対して誇りや愛着をもち、市の歴史を自慢できるまちを目指す」「子育て世代からシニア世代まで多様な働き方を可能にする環境を整える」等。

詳細はこちら → https://www.kosonippon.org/wp-manager/blog/?p=2106

(2)群馬県 富岡市 「第2回とみおか未来会議」<注目点>

テーマは「子育て支援の充実(子どもの遊び場整備)」

出てきた意見(抜粋):「人が集まる遊び場は周辺環境(買い物や食事、綺麗なトイレやおむつ替えの場所がある等)が整っているところ」「未就学児は、空間と要素(土や水)を与えれば、あとは自由に発想しながら遊ぶ」「大人は、おおらかな気持ちで子どもの遊びを見守ってほしい」「既存の場所を活かす。学校を活用するのは面白い」等。

詳細はこちら → https://www.kosonippon.org/wp-manager/blog/?p=2148

(3)北海道 清水町「第2回清水ミライ自分ごと化会議」(FBより)

テーマは「文化・スポーツ」。文化センターやアイスアリーナをはじめとする社会教育施設は今後どのように活用していくのかなどについて議論。

全文はこちら → https://www.facebook.com/shin.ito.9235/posts/2533415940111575

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【4】「オリンピック・レガシー 前編 ~歴史的保全と世代間倫理~」

神宮外苑と国立競技場を未来へ手わたす会 共同代表   清水 伸子

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五輪開催まで1年を切り、競技場完成、レガシーといった言葉が紙面を賑わしているが、その陰で神宮外苑の再開発がすすんでいる。2013年に絵画館周辺を対象とする都市計画規制の大幅緩和がなされ、これにより新国立競技場地区の高さ規制は15メートルから緩和され、現在では85mもの高層ビルが建ち並ぶエリアになった。

「明治神宮は内苑と外苑で構成する。内苑は国費、外苑は国民の献費で造営する。」との覚書の元、神宮外苑は旧青山練兵場跡地に整備された。明治天皇の功績を残す公園をつくる目的で、国民からの寄付と献木、青年団による勤労奉仕によって様々なスポーツ施設が造られ、明治神宮の管理下となった。戦後、国と明治神宮の間で土地の帰属問題が生じたが、最終的には宗教法人となった明治神宮に、時価の半額で払い下げられた。

現在、神宮外苑地区には、野球場が3つ、ラグビー場、テニスコートやクラブハウス、アイススケート場、ゴルフ練習場、フットサルコート、バッティングドーム、サイクリングセンター等のスポーツ施設や環境が整っている。また、絵画館前の銀杏並木は、東京を代表する並木道として多くの人に親しまれている場所だ。

しかし今、「神宮外苑地区市街地再開発事業」として、絵画館前の銀杏並木をとり囲み見おろすかのように高層ビル群の建設が始まろうとしている。

老朽化した秩父宮ラグビー場建替えのため第二球場を取り壊し、そこに新ラグビー場を建設。その後ラグビー場跡地に新球場を建設する計画をお聞きになったことがあると思う。

絵画館を含む外苑一体は景観保護を目的とした風致地区であり、厳しい規制が引かれていた。しかし2013年東京都は公園まちづくり制度を作った。

その要旨は「民間からの提案を基本とし、都心部で都市計画決定からおおむね50年をへた都市計画公園および緑地の一部を廃止または変更し、周辺地域も含め都市空間を形成する」。冒頭でお伝えしたように新国立競技場建設で高層化に加え、公園まちづくり制度で商業施設の建設が可能になったことで、外苑再開発は一気に進み始めた。

加えて都市公園法も改正され、国土交通省による解説では「公園管理者も資産管理を考える時代」という。

新野球場はラグビー場跡地に加え現室内テニスコート場も含めた広大な敷地となり、ホテルを併設した大型の複合球場になる。新ラグビー場も音楽イベントやフィギアスケートも可能な全天候型アリーナスタジアムに建て替える。ラグビーだけでは年間稼働日数が低いことから収益性を高めるためだという。

さらに新野球場を取り巻くようにホテル、スポーツ関連施設、商業施設を併設した超高層のオフィスビルが建ち、銀杏並木の入り口にある伊藤忠ビルも190mの超高層ビルに建替えられる。

極めつけは銀杏並木に沿って、商業施設が建設されることだ。

これにより、銀杏並木の東側に広がる鬱蒼とした緑地が消える。この緑地は御観兵榎を擁する地区へと続いている。

公園とは本来、子どもが遊んだり、ベンチで本を読んだり、木陰を散歩したりと人々が憩う場所であった。しかし、公園管理が指定管理者制へ移行し、結果、採算が求められる場所になり、否応なしに公園の営利化が進むことになる。

今回の外苑再開発の商業地化手法が、各地の公園、緑地で利用される前に、私たちは望ましい公園の姿について、改めて考える必要があるのではないだろうか?

外苑の場合、地権者である明治神宮、日本スポーツ振興センター、伊藤忠商事、三井不動産が提案者となり、スポーツ施設に加え商業施設やホテルを柱とする採算性のある開発事業を計画し、現在は環境アセスメントの意見募集が終わった段階にある。

この国民の財産とも言える神宮外苑の開発に関する環境アセスメントの意見募集を、どれだけの方がご存じだろうか。

東京都は環境アセスメントを「公害防止、自然環境、歴史的環境の保全及び景観の保持などについて適正な環境配慮がなされるための手続き」と説明している。

事業者の考えだけで都市公園が再開発されて良いのか?

高層ビルや商業施設の建設はヒートアイランド現象を加速し、公害とならないのか?

高層ビルにより風の通り道が塞がれ、さらに建物からの排熱により自然環境は損なわれないのか?

銀杏並木に沿って建つ施設は景観を阻害しないのか?

疑問がいくつも浮かぶが、最も疑問に思うのが歴史的環境の保全だ。

前述のように、神宮外苑は明治天皇の没後、広く国民に寄付を募り、多くの国民の労働奉仕により建設されたという歴史的背景を持つ。このような文脈の中で、樹木を伐採し、ホテルや商業施設を建設することが歴史保全といえるのか?

先達から託された都心に残るオープンスペースと樹木を守り、50年後、100年後の社会に渡すのが現世代の責務であり、商業地域に改変することは世代間倫理に反する行為ではないだろうか。

後編へ つづく

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清水 伸子 (しみず のぶこ)

ニューヨーク大学教育大学院卒。国際教育を専攻する傍ら、社会を映す鏡としての都市・建築物に興味を持ち現在に至る。

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(編集後記)

10月10日は体育の日。既に日付は意味をなさず、由来も忘れられてきているようです。
来年からは体育の日はスポーツの日と名前も変わるという話ができています。
地名もそうですが、本来持っている意味や由来が失われていくのは、とても残念ですね。

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