【No.932】「今こそローカリズム・日本の祭シリーズ 第四十三弾 三谷祭(みやまつり)」|至学館大学・コミュニケーション研究所長 石田 芳弘氏|
2019.10.17

【No.932】全国各地から、続々現場の声が届いています。

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構想日本メールマガジン【No.932】 2019.10.17 発行

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<目次>

【1】各地からの報告 <注目点>

(1)鹿児島県 志布志市 「住民が語る会」第1回

(2)北海道 清水町「清水ミライ自分ごと化会議」第2回

(3)福岡県 大刀洗町「住民協議会会議」第3回

(4)埼玉県 越谷市「外部評価」公開ヒアリング

(5)岐阜県 羽島市「事業仕分け」

【2】今後の活動予定

(1)千葉県 香取市 「市民事業仕分け」10月19日(土)、20日(日)

(2)鹿児島県 志布志市と東京で 全国初「ふるさと住民協議会」を開催

(3)群馬県 富岡市 「とみおか未来会議」第3回 10月19日~開催延期~

【3】巻末寄稿文

「今こそローカリズム・日本の祭シリーズ 第四十三弾 三谷祭(みやまつり)」

至学館大学・コミュニケーション研究所長  石田 芳弘

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【1】各地からの開催報告

皆さまのところにも当てはまる事例がきっとあります。

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(1)鹿児島県 志布志市 「住民が語る会」第1回

テーマは「ふるさと住民票(R)でできること」

「志布志の好きなところ」と「困っていること」について発言しました。

好きなところ(抜粋):「自然が素晴らしい」「子どもも大人も人が温かい」「食べ物が新鮮、美味しい」など。

困っていること(抜粋):「若者が少ない」「県内就職率が低い」「休日を過ごすところがない」「車が必須、運転できなくなったら?」など。

詳細はこちら → https://www.kosonippon.org/wp-manager/blog/?p=2158

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(2)北海道 清水町「清水ミライ自分ごと化会議」第2回

テーマは「文化・スポーツ」

3班に別れて議論しました。1,アイスホッケー 2,第九 3,文化、スポーツ施設

出てきた意見(抜粋):「アイスホッケーを町としてアピールできていない」

「もっと文化センターを活発に利用するべき」

「なぜ、第九なのか。第九である必要性をもう一度確認するべき」など。

詳細はこちら → https://www.kosonippon.org/wp-manager/blog/?p=2216

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(3)福岡県 大刀洗町「住民協議会会議」第3回

テーマは「わたしたちの健康づくり」

3点を主に議論しました。1,食から考える健康 2,居場所づくりから考える健康 3,検診の受診率向上の方策

出てきた意見(抜粋):「食事は誰と食べたいか、何を食べたいかなど、コミュニケーションのツールの役割がある」

「食育を地域・町単位で行うことで、住民の居場所づくり、地産地消に繋がるのでは」

「学校で子供たちに検診の案内を配布すれば、子育て世代の受診率が上がるのでは」

「検診の流れがわからないので不安」「子供を預けられる場所がないので受診に踏み切れない」

傍聴の方からは「子供のお弁当を介して会話が生まれる」という意見もありました。

詳細はこちら → https://www.kosonippon.org/wp-manager/blog/?p=2205

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(4)埼玉県 越谷市「外部評価」

対象事業は17と多岐にわたリました。

外部評価員2名×2班体制で対象事業(17事業)について「外部評価」公開ヒアリングを実施しました。

結果は、ポンプ場改修事業 A(事業内容は適切である)判定から、介護保険利用者負担軽減対策事業 D(事業の休・廃止を含めた検討が必要)判定まで様々ありました。

詳細はこちら → https://www.kosonippon.org/wp-manager/blog/?p=2189

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(5)岐阜県 羽島市「事業仕分け」

羽島市は3つ事業を対象に事業仕分けを行いました。

評価結果と主な見直しポイント

1,集落活動促進事業 一部見直し「集落活動の実態を把握せず、補助金が交付されている。補助金の出し方を見直す。」

2,トレーニングジム運営事業 抜本的見直し「年間利用者数の目標を設定する。目標がないと利用促進の普及啓発をどれだけ行ってもその効果を測れない。」

3,放課後子ども教室推進事業 現行通り・拡充「住む地域によって参加できない児童がいることは問題。市内全ての小学校で実施できるよう教室の活動内容を見直す。」

仕分けの様子はYouTubeでご覧いただけます。

詳細はこちら → https://www.kosonippon.org/wp-manager/blog/?p=2163

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【2】今後の活動予定

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(1)千葉県 香取市で「市民事業仕分け」を開催 10月19日(土)、20日(日)

★香取市事業仕分けの特徴★

1.2年連続2回目。15の各課から提出された36の事業を2日間かけて仕分ける。
2.無作為に選ばれた2,000人の中から、応募のあった158名が市民評価員として参加。
3.昨年実施した仕分けで改善と判断されたものの約5割は既に予算に反映。

【日時】10月19日(土) 9:00 ~ 16:35(予定)、10月20日(日) 9:00 ~ 16:50(予定)

【会場】香取市役所(千葉県香取市佐原ロ2127番地)
※会場に関する問い合わせ先:香取市 総務企画部 総務課 総務班(0478-50-1201)

【対象事業】(抜粋)

(1日目)
・高齢者等入院時おむつ代助成、がん検診、公園維持管理、空き家対策、木造住宅耐震改修等助成、伊能忠敬記念館管理運営

(2日目)
・中小企業資金融資、ふるさと農園運営、農業後継者新規就農助成、児童館運営、バス路線運行、乗合タクシー運行、ごみ処理施設運営

詳細は、香取市HPをご覧ください。
https://www.city.katori.lg.jp/smph/government/plan_policy/gyokaku/20190902_siwake.html

【参加費】無料 どなたでも傍聴できます(事前登録不要、途中入退室可)

お問合せは、構想日本まで TEL:03-5275-5607 E-MAIL:shiwake@kosonippon.org

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(2) 鹿児島県 志布志市と東京で 全国初「ふるさと住民協議会」を開催

テーマは「ふるさと住民票(R)でできること」

★志布志市「住民が語る会」の特徴★

1.「まち・ひと・しごと創生総合戦略」作成にあたり、住民協議会の手法を用いる。
2.無作為に選んだ志布志市民15名と「ふるさと住民」34名とがコラボした住民協議会は全国初。
3.市民同士、ふるさと住民同士、市民とふるさと住民という複層的な交流を作り、継続させることが目的。

【日時と内容】

<志布志開催>「住民が語る会」

10月24日(木)18:30~20:30(予定)

志布志市役所志布志支所 5階会議室 (鹿児島県志布志市志布志町志布志2-1-1)

市の魅力をアピールするには、課題解決のためには何ができるか。ふるさと住民にはどういう関わり方をしてもらいたいか、などを話し合う。

<東京開催>「ふるさと住民ファンミーティング」

10月26日(土)17:00~18:30(予定)

芋蔵 銀座店 (東京都中央区銀座8-3 東京高速道路西土橋ビル2F)

関係人口として志布志に期待すること、志布志への関わり方などについて議論する。
終了後は、志布志の“うまいもん”を味わう懇親会を開催。

▼「住民が語る会」に関するお問合せ(一般傍聴、取材など)につきましては、すべて以下へご連絡ください。

志布志市 企画政策課 地方創生推進室(電話:099-474-1111)

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☆台風19号の影響で開催延期

(3)群馬県 富岡市 「とみおか未来会議」第3回

テーマ「子育て支援の充実(子どもの遊び場整備)~地域の課題を自分ごと化する~」

★富岡市「とみおか未来会議」の特徴★

1.富岡市は、住民協議会の開催は今回が初めて。
2.無作為に選ばれた1,200人の中から応募のあった52名と高校生5名の計57名が参加。
3.議論で挙がった論点は提言にまとめ、子ども・子育て支援事業計画につなげる。

【日時】第3回 開催延期

今後の予定については、順次市HPに情報掲載いたします。

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【4】「今こそローカリズム・日本の祭シリーズ 第四十三弾 三谷祭(みやまつり)」

至学館大学・コミュニケーション研究所長  石田 芳弘

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三谷祭は蒲郡市三谷地区の祭である。

蒲郡を「がまごおり」と読める人は愛知以外では少数派であろう。と、私の親友元蒲郡市長の鈴木克昌さんはよくそう嘆いていた。明治期、蒲形村と西之郡村が合併し合成地名を付けたのが「蒲郡」の始まりという。自治体名はそのまちの歴史と時代背景を語る。

そして現在の蒲郡市だが、三河の山々を背景に陽光まぶしい三河湾国定公園の美しいまち。我が犬山市は木曽川国定公園の景勝地であり、愛知県の2大観光地としてお互いに交流を深めた仲だ。

その蒲郡市の三河湾を望む温泉リゾート地が三谷であり、その産土八釼神社の祭が三谷祭である。八剱は「はっけん」あるいは「やつるぎ」と読むが、全国八剱神社共通のご祭神は、日本武尊命(ヤマトタケル)と大国主神(オオクニヌシ)と素戔嗚尊(スサノオ)の3柱である。3柱とも古事記の中で実に生き生きした人物像として語られる日本神話のヒーローであり、共通するのは日本的「武」の象徴として登場する神々、三谷祭の海中渡御にふさわしい荒ぶる神たちだ。

八釼神社から、三韓征伐の神功皇后を母に持つ武神・応神天皇を祀る若宮神社へ、神輿の先導で4台の山車が三河湾を海中渡御するのがこの祭のハイライトらしい。先導役の東区の白酒に、神幸儀式主催の松区の清酒を混ぜる神事が行われる。この神事は三谷を構成し祭に参加する6地区(松区、上区、東区、西区、北区、中区)の和合と団結を象徴する行為であり、それはまたこの祭を大いに奨励した江戸期の為政者の意図を感じるという郷土史「三谷祭」の解説を読み、祭と政治の関わり合いについて腑に落ちるところがあった。

実は2005(平成17)年愛知県で万博が開催された。愛知県内それぞれ各地に祭はあってもそれをネットワークする組織はない。当時犬山市長であった私は教育委員会に号令をかけ、犬山市が事務局を務め県内の「山車百両揃え」を敢行し、世間の耳目を集めた。その時三谷祭ももちろん誘ったのだが、山車を解体した部材をヘリコプターで会場まで運ばねばならぬから金がかかるとか、何となくノリが悪かった。

その後、県内の山車連盟のネットワーク結成集会の案内を出しても欠席であった。三谷祭は、蒲郡市指定のみの文化財なので、正直この祭関係者は内向き傾向ではないかという感じを抱いていた。が、どっこい。この地に来て、惚れ惚れするほどいい祭だと知った。

私の経験から山車の数や揃え方にはさほど打たれはしなかったが、練り物(祭礼行列)の多様さに驚嘆した。練り物は「風流・ふりゅう」ともいい、その時代時代の流行を追ったハヤリモノ、いわば歌舞伎の語源となったカブクことだ。現在なら札幌のYOSAKOIソーランや名古屋のどまつりを思えばいい。くぐり太鼓・スサノオの舞・大名行列・子躍り・連獅子・七福神踊りなどなどまさに練り物の百貨店の様相を呈した。

祭を紹介する資料も豊富だ。先述した「三谷祭」の著作は、民俗学・考古学の専門家の立場から以上に、著者の武内尚武氏の郷土愛が横溢していた。三谷祭保存会作成の小冊子「三谷まつり」は、祭に登場するその地区独特の言葉を丁寧に解説して秀逸だ。全国それぞれの祭で使う言葉の中には土地特有の言葉、いわば“方言”がある。そこが祭の持つローカリズムの魅力でもあるが、例えば緋幟(ひのぼり)や鑷(けぬき)あるいは瀬踏み、盛り砂、黒ごま等々の理解を、この冊子に助けられた。

祭当日は秋晴れの上天気だった。祭人達は一杯入ったせいもあり、上機嫌で私の問いかけに饒舌に答えてくれた。祭保存会を置く三谷公民館の主事平野良則さんは、元市役所職員らしく客観的な説明をしてくれたし、訪れた蒲郡市博物館の三浦彰司館長も丁寧に遇してくれた。

私はこの三谷祭が市の無形文化財レベルでとどまっていることが不思議なのだが、蒲郡の人たちは官・民含めて○○指定とか××登録とかには無頓着なのだろう。祭になればみんな寄ってきて、おらが祭の自慢に酔いしれ、ワイワイ仲良く騒げれば、それ以上何も考えることはないと思っていればそれはそれで結構なこと。それもまた祭の持つ、イーチアザース・ヒーローの民主主義と理解しよう。

三谷祭(みやまつり) 2019年10月26日、27日開催予定  → http://www.38fes.jp/

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石田 芳弘(いしだ よしひろ)

愛知県議会議員、犬山市長、衆議院議員など、地方、中央の政治と行政を経験。特に教育、文化行政に力を入れた。「まちは生涯学習の最良の教室である」というのが持論であり、学校教育も生涯学習の一環であると考え、市民が教師の総合学習や全市博物館構想を推進。また、シンクタンクの研究員として先進国の地方議会を視察、研究。我が国地方議会も議院内閣制を導入すべしという、地方議会改革論議のオピニオンリーダーである。

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(編集後記)

度重なる自然災害による被害に遭われた皆さまに、謹んでお見舞い申し上げます。
現代人の想定を超えるという自然の脅威を前に、「信玄堤」を思い出しました。
秋が深まり、肌寒いくらいの季節となりました。皆さまお身体大切にお過ごしください。

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