メールマガジン

【No.951】「特ダネではないけれど(37)新型コロナウイルス」 |新聞記者 松浦 祐子氏|

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構想日本メールマガジン【No.951】 2020.03.12 発行

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<目次>

【1】第256回J.I.フォーラム 延期のお知らせ

【2】お知らせ

(1)~辰巳 琢郎氏 舞台のお知らせ~ 開催中!

(2)Yahoo!ニュースオーサー 記事 ほか

【3】巻末寄稿文

「特ダネではないけれど(37)新型コロナウイルス」

新聞記者   松浦 祐子

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【1】 第256回J.I.フォーラム 【開催延期】

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3月19日(木)開催予定の第256回J.I.フォーラム「低コスト、高満足の医療を目指して」は、今般のコロナウィルスに伴う新型肺炎感染拡大の状況に鑑み、誠に残念ではございますが、開催延期とさせていただきます。

すでにお申し込みいただいている皆さま、またご検討をいただいておりました皆さまには、大変申し訳ございません。 日程等が決まり次第、改めてお知らせいたします。

【開催延期】 第256回J.I.フォーラム

元々のご案内は下記

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第256回J.I.フォーラム  「低コスト、高満足の医療を目指して」
◯日 時:2020年 3月19日(木) 18:30~20:30(開場18:00)
◯会 場:アルカディア市ヶ谷 4F 鳳凰(千代田区九段北4-2-25、TEL:03-3261-9921)
◯登壇者:(敬称略・五十音順)
松本 小牧(豊明市健康福祉部健康長寿課 課長補佐)
矢田 明子(Community Nurse Company株式会社 代表取締役)
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ご不明の点は、お問い合わせいただければと思います。
お問い合せは TEL 03-5275-5607 までお願いいたします。

なにとぞ、ご理解いただけますよう、お願い申し上げます。

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【2】構想日本が応援している活動などに関するお知らせです。

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(1)~辰巳 琢郎氏 舞台のお知らせ~

「愛する母、マリの肖像」

◯日 程 2020年3月11日~15日
◯場 所 東京:赤坂RED/THEATER

●日 程 2020年3月27日~29日
●場 所 大阪:ABCホール

☆料 金(全席指定)前売:5,000円 当日:5,500円

時間など詳細は チラシ 表 http://www.kosonippon.org/cp-bin/wp/documents/2019/mail/omote.jpg
チラシ 裏 http://www.kosonippon.org/cp-bin/wp/documents/2019/mail/ura.jpg

辰巳氏、丹下氏インタビュー http://entre-news.jp/2020/02/63528.html
丹下氏、古川氏インタビュー https://www.confetti-web.com/sp/feature/article.php?aid=757

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(2)Yahoo!ニュースオーサー 記事投稿

総括ディレクター 伊藤 伸

◇2020年 2月28日 「議会の本来の機能を回復させる! いま地方議会が注目する無作為抽出の手法(自分ごと化会議)―新庄村議会」

https://news.yahoo.co.jp/byline/itoshin/20200228-00164630/

◆2020年 3月 ヤフーオーサーコメント 新型コロナウィルス関連ほか

https://news.yahoo.co.jp/profile/author/itoshin/comments/

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【3】「特ダネではないけれど(37)新型コロナウイルス」

新聞記者   松浦 祐子

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「インフォデミック(infodemic)」という言葉があります。インフォメーション(情報)とエピデミック(流行)を組み合わせた言葉で、不確かな情報が広がっていくことで混乱が生じるといったことを意味します。

新型コロナウイルスが世界的に流行しています。それと同時に、または、それ以上の速さでインフォデミックも広がっているように思います。

店頭から消えていくマスクやトイレットペーパー。インターネット上などで語られる様々な陰謀論。科学的に明らかに誤ったデマは反論や否定がしやすいのですが、陰謀論は、そうでないことの証明が案外難しく、広がってしまいがちです。

感染症の歴史は、これまでもデマと差別の歴史でもありました。けれど、そのようなあやふやな情報に惑わされて、結果として感染を広げることになってしまっては元も子もありません。

このような時、どのように情報を取捨選択していけば良いのでしょうか。私は、新型コロナウイルスもしくは感染症については「その情報は、一つでも命を救えるか」という1点に集中して情報を選んでいけば良いのではないかと思っています。

最初は、未知な部分が多かった新型コロナウイルスも、日々、特徴が明らかになってきています。世界保健機関(WHO)と中国の専門家チームは、すでに中国国内の約5万5千人分の患者データを分析し、結果を公表しています。これによると、8割の人は軽症のまま回復しています。重症化しやすいのは、主に60歳以上の高齢者や、高血圧や糖尿病などの持病がある人です。日本国内の分析では、感染しても8割の人が他の人には感染させていません。

一方で、このウイルスがとても「やっかい」な性質をもっていることも分かってきています。発症までの潜伏期間が長く、初期の症状は発熱やせきといったかぜやインフルエンザと同じです。患者を診察した複数の医師が「初期の症状で、新型コロナウイルスを見分けるのは難しい」と言っています。すぐに重症になるのであれば感染が分かりやすく、その人々を隔離すれば感染を止めることにつながります。しかし新型コロナウイルスの場合は、感染しても気づかないままの人も一定数いるとみられていて、完全に封じこめることが難しいウイルスと言わざるを得ません。

このようなウイルスに対して、どのような戦略を立てれば良いのか。

安倍首相が2月29日に行った新型コロナウイルスについての記者会見では、「最悪の事態を想定し、あらかじめ備えることが重要」と言いつつも、どういうことが「最悪の事態」なのか具体的に示されず、小中高校などを臨時休業にする根拠も、残念ながら明確に示されませんでした。

この点については、例えばイギリスの行動計画は明確で、参考になります。最悪の場合、人口の最大80%が感染。労働者の20%が働けなくなる。このため、特に医療職の人に対しては、退職した人に働いてもらうよう要請する可能性があるとしています。この計画を説明する3月3日の記者会見に、ボリス・ジョンソン首相は主席医務官と主席科学顧問という医療と科学の専門家とともに臨んでいます。そして、これだけの厳しい想定をしていながらも、科学的な根拠があることとして、国民にできる最も重要なことは「ハッピーバースデーを2回歌いながらせっけんとお湯で手を洗うこと」と訴えています。

日本では、それに加えてもう一つ国民にできる重要なことがあります。それは、かぜのような症状が長引いたら、必ず各地の保健所などに設けられた「帰国者・接触者センター」に電話連絡をした上で、指示された特定の医療機関を受診するということです。決して、いくつもの医療機関を巡るドクターショッピングをしないこと。

ふだんは、日本は医療に関してフリーアクセスが認められ、好きな時に好きな医療機関を受診できますが、そうした慣れ親しんだ行動が感染を拡大させかねません。

感染が広がるにつれて「自分が感染しているかどうか、はっきりさせたい」「少しでも早く治療を始めたい」と思い、感染の有無を調べる検査を受けたいと考える方もいると思います。けれど、今、新型コロナウイルスで行われているPCR検査の結果の正確さは、公式にはまだ、分かっていません。専門家の間では、感染している人のうち陽性と判定できる割合は、高くても7割ほどと言われています。つまり、100人の感染者のうち陽性と判定されるのは約70人で、残りの30人は見逃してしまうということです。本当は感染しているのに、検査で陰性の結果をもらって安心し、ライブや会食などに出かければ、感染を拡大してしまうことになりかねません。

また、この検査は、遺伝子を抽出する工程があり、それをするにはスキルのある人材が必要になります。検査技師でも誰でもできるわけではなく、トレーニングを受けなければなりません。残念ながら、日本は、こうした人材の育成について準備不足だったと言わざるを得ません。

そして何よりも新型コロナウイルスについては、まだ根本的に治せる薬や治療法が開発されていません。このため検査で早くに感染が分かっても、重症化を防げるわけではなく、病院では症状に合わせて、水分補給や解熱剤の投与といった対症療法しかできないのです。早期に検査で感染者と非感染者を分けることが、必ずしも命を救うことにつながらないのです。そればかりか、病院には高齢者や持病のある人など、感染すると重症化しやすい人が集まっています。

軽症な人が医療機関に行くことで院内感染が起これば、深刻な事態になりかねません。こうして次々と医療機関で診療ができなくなれば、ドミノ倒しのように医療機能がマヒしかねません。人工呼吸器などが必要になる重症化した人への治療が益々難しくなってしまい、救える命が救えなくなってしまいます。

難しいことを言っているように思われるかもしれませんが、実は本来は、かぜやインフルエンザなどの感染症では、同じような対応が求められるのです。欧米諸国では一般的に、ふだんから予約をしなければ医療機関を受診することはできません。かぜやインフルエンザでは、まずは自宅で療養するというのが定着しています。

不安な日々が続きます。長引く可能性も高いです。体調が悪い時には、休める社会をつくること。医療機関とのかかわり方も適正な形に変えていく。そんなきっかけに、新型コロナウイルスによる災禍をしていければいいなと思います。

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松浦 祐子 (まつうら ゆうこ)

1974年 神戸市生まれ。大学院修了後、1999年新聞社に入社。和歌山、高知での地方勤務、東京での雇用、介護分野、厚生労働省、財務省担当、新潟で県政取材、内閣府担当などを経て、今は、科学医療部で医療分野を担当。

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(編集後記)

3.11から9年経ちます。赤ん坊が小学4年に、小学1年生が、高校生になる歳月です。
アンダーコントロールの原発は、規制基準を上回る汚染処理水の海洋放出を検討中。
PCR検査のあり方も原発も、正しいデータと情報に基づき、両論を比較検討したいと思います。

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