【No.955】代表コラム(13)「見えない敵と闘う…飯舘村の経験に学ぶ」|代表 加藤 秀樹|
2020.04.09
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構想日本メールマガジン【No.955】 2020.04.09 発行

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<目次>

【1】代表コラム(13)「見えない敵と闘う…飯舘村の経験に学ぶ」

構想日本 代表  加藤 秀樹

【2】お知らせ

(1) 構想日本ホームページをリニューアルしました!!

(2) Yahoo!ニュースオーサー 記事 NEW!

(3) コロナ関連にも使える「JUDGIT!」「感染症」などで検索!

(4) 自治体との今後の活動

【3】会員募集・寄付のお願い

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【1】代表コラム(13)「見えない敵と闘う…飯舘村の経験に学ぶ」

構想日本 代表  加藤 秀樹
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飯舘村の菅野村長に初めて会ったのは20年余り前です。構想日本がスタートして間もない頃で、各地でユニークな活動や行政を行っている人を訪ねては話を聞いていました。

そんな中で、目を引いたのが福島県飯舘村の「若妻の翼の会」です
行政らしくない、というより怪しげとさえ言えるようなネーミングです。村の女性をヨーロッパの国々へ研修に送る事業だとのこと。

「飯舘は小さな閉鎖的な村です。しかし、1週間ほどでも女性たちがホームステイして帰ってくると、いろんなことが起こるんです。『お父さん、イギリスではこうだった』とか言われると、お父さん何も言えなくなるとかね」

「女が変われば男が変わる。そして村も変わる。税金をたくさん使ってハコモノ作るよりも、この方がずっと少ない予算で効果が大きいのです」
菅野さんの楽しそうな顔が今でも思い浮かびます。

「までい」という言葉も知りました。ていねいとか、心をこめてという意味で(真手と書くこともある)、ずっと飯舘村が旗印に掲げてきた言葉です。

2011年、その飯舘村が原発事故によって全村避難になりました。誰も知らないような村だけど、合併もせず、までいに村づくりをしてきた。その村から、原発が近くにあるわけでもないのに、すべての村民が出て行かないといけなくなったのです。

全村避難から6年後、ようやく避難解除が始まりました。それから更に3年、村内に住む人の数は約1500人。住民登録者数の四分の一程度ですが、避難解除の直後と比べると30倍に増えました。

この間、会う度に菅野さんが口にしたのは「見えない敵と闘うことのつらさ」です。放射能は見えない。だから、いくら説明しても理解してもらえない。除染が始まる前はあの黒いフレコンバッグもありません。津波の被災地と違い、誰もいないけれど以前と変わらない景色がそこにあるのです。敵の存在を示すのは線量計だけです。

しかし、菅野村長も村の人たちも、同時に「見える敵」とも闘ってきたのです。国、電力会社、さまざまな制度、風評被害、そして無数の噂話。見える敵は往々にして見えない敵を誇大に見せたり、ないことにしようとします。

避難後まもなく、菅野村長は「数年後村民がスムーズに帰村できるよう、飯舘と避難地の両方で住民票を持てるようにしてほしい」と総務省に要望しました。これは大臣まで上がり、きちんと検討されましたが、結果は「ノー」でした。構想日本が数年来進めている「ふるさと住民票」は、この時のことが端緒になっています。

さる4月5日、飯舘村で小中一貫の義務教育学校「いいたて希望の里学園」の開校式が行われました。日本全国がコロナ感染対策に追われている真っ只中です。菅野村長はじめ学校の関係者も開校式を行うかどうか、迷ったに違いありません。
決断を求められた時、間際まで様子を見て、最後は回りを見渡しながら無難なところに決める。これが、一般的なお役所です。いまや日本中がそうなってるような気もします。
しかし、飯舘は足かけ10年に及び、常にはるかにギリギリの選択、決断を迫られ続けてきたのです。

この学校にはまでいな村作りの将来が託されています。すべての村民、そしてすぐには動けないけどいずれは飯舘に帰りたいと思いながら村外で暮らす人たち。
この開校式には、それらすべての人々の忍耐と希望と思いが籠もっていたと思います。

だから飯舘村の歴史にとってもとても大事な一日だったと思うのです。

一部の新聞には、批判めいた記事もありましたが、それこそ、何の思慮もない、回りを見渡しながらの記事に見えました。

新しい学校の生徒は小中あわせて65人。多くはないですが、この子たちがまさに校名のとおり、飯舘の希望を背負い、歩き始めたのです。この子たちには放射能に加えて、さらにコロナという見えない敵が加わっています。しかし今や、日本中いや世界中が見えない敵と格闘している。だからこそ、私たちは飯舘村の10年に及ぶ「見えない敵」との闘いに学ばないといけないと思います。

(次回4月15日のメルマガでは、飯舘村菅野村長の寄稿を掲載する予定です。今回はその前書きです。是非、次回の本文をお読みください。)

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【2】お知らせ
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(1)構想日本ホームページをリニューアルしました!!

4月1日 構想日本ホームページをリニューアルしました。

工事中の部分もまだちょっとありますが、新たな構想日本をご覧いただければと思います。

こちらから →  https://www.kosonippon.org/wp-manager/
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(2)Yahoo!ニュースオーサー 記事投稿

代表 加藤 秀樹

◇2020年 4月 2日 「パンデミックの出口を考えよう」
 https://news.yahoo.co.jp/byline/katohideki/20200402-00171082/

総括ディレクター 伊藤 伸

◇2020年 3月31日 「新型コロナ対策」正しく恐れるために、冷静に知る努力を ~事業検索サイトで現状を把握する~
 https://news.yahoo.co.jp/byline/itoshin/20200331-00169741/

◆2020年 3月 ヤフーオーサーコメント 新型コロナウィルス関連ほか
 https://news.yahoo.co.jp/profile/author/itoshin/
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(3)コロナ関連にも使える「JUDGIT!」

『JUDGIT!』を使って、国がどんな政策をしているか、「感染症対策」や「芸術」などのキーワードで検索をしてみよう!

まずは、こちらへアクセス →  http://judgit.net/
興味のあるキーワードを入れるだけ!

・どなたでも、手軽にキーワード検索が出来ます。
・国が行う5,000以上の事業の「金額」「支出先」などが書かれたシートを見られます。

トピックス「新型コロナウイルス感染防止のために、在宅勤務を行う企業が増えている。その環境整備のためにどのような補助があるのだろう?」

☆厚生労働省 国家戦略特区のテレワークに関する援助     https://judgit.net/projects/602

☆厚生労働省 障害者テレワーク(在宅勤務)導入のための総合支援事業  https://judgit.net/projects/1241

例:キーワード「芸術」で検索すると

☆文部科学省 メディア芸術の創造・発信  https://judgit.net/projects/807

例:キーワード「イベント」で検索すると

☆内閣官房 拉致問題対策経費  https://judgit.net/projects/23

☆厚生労働 医師の働き方改革の推進関連事業  https://judgit.net/projects/8008

ほか 多数。色々と出てきます。是非、気になるワードで検索してみてください。

今後、コロナ対策に関するものも、どんどん見られるようになります。
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(4) 自治体との今後の活動

新型コロナウイルス問題に関して、これまで自分ごと化会議に参加経験のある複数の自治体の市民とともに、今後自分たちができることなどについてをオンラインで議論する場を現在準備中です。

4月下旬にも行う予定ですので、改めてお知らせします。
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【3】会員募集・寄付のお願い

政治がこのままではあやういと思う人、日本をもっと民主主義な国にしたいと思っている人・・・是非、構想日本の活動にご参加、ご支援ください。
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「住民協議会」「ふるさと住民票」など、地方自治から日本の底上げを図っていきたいと思っています。
皆様のご参加、ご協力いただければ幸いです。

構想日本会員(個人)年会費1口10,000円(1~10口)、入会金2,000円 (WEBからお申し込みいただく場合は入会金免除)

構想日本会員(法人)法人会員A 年会費1口300万円、入会金30万円/ 法人会員B 年会費1口 50万円、入会金30万円/ 法人会員C 年会費1口 10万円、入会金5万円

詳細は、こちらからご覧ください。  https://www.kosonippon.org/wp-manager/info/index.php#member
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(編集後記)
必要なのは「検査と感染者の隔離」、「検査すべきか否か」議論しているのは日本だけ。
WHOのテドロス事務局長の上級顧問も務める英キングス・カレッジ・ロンドン教授、渋谷健司氏の言葉。
厚生労働省はPCR検査の「ドライブスルー方式」の「検討」を、はじめたそうです。
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