メールマガジン

【No.964】シリーズ 現代の地域医療 ―地域づくりをする医療―(3)

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構想日本メールマガジン【No.964】 2020.06.11 発行
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<目次>
【1】加藤秀樹×奥田知志氏 WEB対談 6月23日(火)20時~
【2】お知らせ
(1)「サービスデザイン推進協議会」再委託問題などでTV出演 総括ディレクター伊藤
(2) 新しい民主主義の可能性を拓く【スマート市民議会】
(3) 国のお金の使い道がわかります 『JUDGIT!』
【3】巻末寄稿文
シリーズ 現代の地域医療 ―地域づくりをする医療―(3)
鳥取県・日南町国民健康保険日南病院名誉院長  高見 徹
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【1】加藤秀樹×奥田知志氏 WEB対談 6月23日(火)20時~
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『NPO法人抱樸 対談番組 #コロナ禍を生きる』 ライブ配信放送は、2020年6月23日(火)20時~ YouTubeにて。URLなど、詳細は改めてご案内します。

NPO法人抱樸では、コロナ関連緊急事業「家や仕事を失う人をひとりにしない支援」のためのクラウドファンディングを実施しています。

このクラウドファンディングPRの対談番組に、代表の加藤秀樹が出演します。

★ NPO法人抱樸が行っているクラウドファンディングの詳細はこちら⇒   https://readyfor.jp/projects/covid19-houboku

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【2】お知らせ
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(1)「サービスデザイン推進協議会」再委託の問題などでTV出演 総括ディレクター 伊藤

1:TBS「ニュース23」に初・生出演

持続化給付金の交付をする一般社団法人「サービスデザイン推進協議会」の再委託の問題について。
詳細はこちらから →  http://www.kosonippon.org/news/2020/shin0609/

伊藤のコメント抜粋
「再委託すること自体が悪いわけではない。ただし、再委託の階層が深くなればなるほど、一般管理費がかかるのでコストが高くなり非効率。」
~~~~~~~~~~~~~~~~~
2:テレビ朝日 情報番組「グッド! モーニング」 にコメントと写真が登場

補正予算の中で、コロナ対応に関係ない事業があるのではないかという質問について。
お知らせのフェイスブックはこちらから →  https://www.facebook.com/shin.ito.9235/posts/3063173327135831

伊藤のコメント抜粋
「緊急度の高くない事業が補正の中に入っていた事例もあるため、事後の検証ができる仕組みを作ることが必要。」

どちらも、伝えきれなかった思いがあります。全文は上記URLからご覧ください。
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(2) 新しい民主主義の可能性を拓く【スマート市民議会】

緊急事態宣言の真っただ中に行われた、オンラインでの議論。
市民の生活実感はどうだったのか?今に通じる、生の声が飛び交います。

You Tubeにて、ご覧いただけます →    https://youtu.be/J8w2pIrKzXE

構想日本の「自分ごと化会議」参加経験者約1万人の中から希望者を募り、専門家会議メンバー岡部信彦氏、終末期医療の山中光茂氏、児童精神科医の小澤いぶき氏など、総勢35名が本音を語りました。

チャットで出た意見(抜粋)
・働き方が大きく変わりました。良い面も沢山あると思います。
・ハンコを使うか使わないかが象徴的なことだと感じました。
・家庭での学習が困難な環境だと学習格差が起こっている。
・オンライン授業の有無が、受験の時に大きな格差になると思うと不安。
・課題が沢山出され、やりたくない子供と、それを見ている親、双方にストレスがひどい。

YouTubeでは見られないチャットの話題やアンケート結果は、抜粋して来週以降もお伝えします。
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(3)国のお金の使い道がわかります 『JUDGIT!』

再委託の問題はこれまでもあったのだと思います。
レビューシートが出るのが1年後でも、継続して常にチェックをしていれば防げたことかもしれません。

これからの日本の未来のために、ぜひ『JUDGIT!』をご利用ください。
まずは、こちらへアクセス →    http://judgit.net/

例:キーワード「再委託」で検索すると

☆支出先 支出額(百万円)上位3社   https://judgit.net/?keyword=%E5%86%8D%E5%A7%94%E8%A8%97
株式会社電通    3,245(百万円)
株式会社電通ライブ    1,948(百万円)
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社    1,937(百万円)

例:キーワード「放射性物質」で検索すると
☆復興庁 除去土壌等の適正管理・搬出等の実施   https://judgit.net/projects/2620
☆復興庁 放射性物質汚染廃棄物処理事業   https://judgit.net/projects/2461
☆復興庁 放射性物質対処型森林・林業再生総合対策事業   https://judgit.net/projects/2457
ほか多数。目的と成果の間にあるギャップも見えてきます。気になる言葉で検索してみてください。皆さんのご意見を反映して、どんどん充実した『JUDGIT!』にしていきます。
ご意見、ご感想をお待ちしております。
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【3】シリーズ 現代の地域医療 ―地域づくりをする医療―(3)

鳥取県・日南町国民健康保険日南病院名誉院長   高見 徹
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1)地域づくりをする医療のダイナミズム(流れ)の第一段階(把握)
日南町では昭和58年から保健師・医師・看護師が中心になり、地域を回り情報を集め各地域の状況を把握しつづけました。これにより地域のニーズが具体的に明らかになりました。

翌59年には訪問看護がボランティアとして開始され、保健師と看護師を中心に訪問看護の連絡会が毎週開かれるようになりました。そして「どうすれば安心して地域で生活し続けられるようになるか」が検討されるようになりました。

この第一段階はとても重要で、ここがキチンとできるようになれば、地域づくりをする医療の半分以上は終わったと考えても過言ではないと思います。

現在、日南町では週1回在宅支援会議を地域包括支援センターが開催し、保健師・医師・薬剤師・看護師・リハビリのスタッフ・ケアマネージャー・介護師・福祉関係者が情報提供し、地域包括支援センターが中心になって情報をまとめてくれています。地域包括支援センターには各地域からの情報が集まり、1箇所で多くの情報が得られるようになっています。

この多職種の情報の共有があって、はじめてバラバラではなく総合的一体的に保健・医療・介護・福祉サービスをすることができます。多職種が同じ方向を向いてサービスを提供しなければ、地域づくりは難しいと思います。

地域を把握するとは地域の何処に誰がどんな状況で生活しているかを把握することですが、もっと具体的にいえば多職種が持っている情報を出し合って共有することと言い換えることができます。

2)地域づくりする医療の第二段階(実践)
次の段階は、第一段階で明らかになった地域の具体的なニーズに保健・医療・介護・福祉の関係者が同じ方向を向いてサービスを提供し続ける段階です。地域の様子がきちんと把握されていれば、何をなすべきかを地域が教えてくれます。また、地域のニーズや保健・医療・介護・福祉のハード・ソフトは地域ごとに異なります。

「百の地域があれば百通りの地域医療がある」とよく言われますが、「百の地域があれば、百通りの地域医療の実践の仕方がある」のであって、これは単に第二段階の実践の仕方が異なるだけで、地域医療のダイナミズム(流れ)は一つしかありません。この第二段階の医療には高度先進医療・一般医療も勿論入って来ます。

現在、地域医療はこの第二段階の中だけで議論されることが多く、医学生が「地域医療とは何かよく分からない」と言うのは、地域医療の実践の違いで地域医療を定義しようとするためではないかと思います。現代の地域医療は、この3段階論を使って定義できるかもしれないと考えています。

3)地域づくりをする医療の第三段階(成果)
第三段階は、住民―保健・医療・介護・福祉の関係者―行政のトップとの間によい連携ができ、地域づくりが進んで行く段階です。日南町で安東院長が「地域包括医療」を始められて3年目の頃(1985年)、後遺症は残るが病気の治療が終わった患者さんを在宅へ帰そうとすると「家では看ることができません。病院において下さい。」と言う町でした。ところがその8年後には「落ち着いていれば家で看ます。何かあれば病院の方でお願いします。」と言う町に変わっていました。

この経験から第一段階で把握した地域のニーズに、第二段階で保健・医療・介護・福祉の関係者が同じ方向を向いてサービスを提供し続ければ、地域は自然に変わって行くことを実感しました。

このことから地域医療を評価するには5年、10年という長い期間でみていかないといけないことも学びました。地域を変えようと一生懸命に頑張ったこともありますが、地域のニーズに答え続けていれば、自然に地域が変わって行くことも多かった様に思います。

おわりに
地域づくりをする医療はこの三つの段階を螺旋状に進んで行くダイナミズムを持っていることは、日南町での経験と実績から学んだものです。逆にこの三つの段階を経て進んでいく医療が地域医療と考えれば、若月俊一院長の「医療はすべからく地域医療である」と言う言葉の意味は理解出来ると思います。

日南町での例をひとつ挙げます。昭和58年に保健師さんから「最近動きが悪くなり、病院受診が出来なくなっているおばあさんがおられる」と病院に連絡が入り、安東院長が訪問診療に初めてでかけられた時、そのおばあさんの最初の言葉は「先生には診てほしくない」と言うものでした。どうしてですかと尋ねると「私はもう3ヶ月も風呂に入っていません。こんな汚い体を診てもらうことは失礼なので、話だけ聞いてもらえばよいです(第一段階)」と言われたそうです。

安東院長の次のアクションは「分かった。風呂に入れよう(第二段階)」というものでした。

日南町ではその後、看護師も保健師も医者も簡易組み立て浴槽を担いでまわり、体をきれいにしてから診察をしようということを昭和58年から平成12年の介護保険が施行されるまでの16年間続けました。この意味からすれば日南町は訪問入浴発祥の地と言えるかもしれません。

このような地域の具体的なニーズへ取り組みは、「病院において下さい」という地域を、徐々に「家で看ますよ」と言う地域に変えていきました(第三段階)。この例の中には地域医療のダイナミズムの全て」があります。

シリーズ 現代の地域医療 ―地域づくりをする医療―(1)はこちら →   http://www.kosonippon.org/mail_magazine_page/945/
(2)はこちら →   http://www.kosonippon.org/mail_magazine_page/950/

高見 徹(たかみ とおる)
鳥取県日南町国民健康保険日南病院名誉院長。昭和24年、鳥取県大山町生まれ。東京大学医学部保健学科、鳥取大学医学部医学科卒業。鳥取大学附属病院第一内科へ入局。平成5年から日南病院副院長として赴任、院長兼日南町健康福祉センター長、事業管理者を歴任。平成27年3月事業管理者を退任。以降名誉院長として外来、訪問診療に従事している。高齢化社会のモデルとなる地域医療を実践している。

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(編集後記)
3回に渡りお届けした日南町の、地域に寄り添う医療とそれを支える人々の心遣い。
こうした取り組みが、医療のみならず、社会的包摂の光明になるのではと思っています。
人の心に寄り添う取組みが、より多くの地域で実現していってほしいと願っております。
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